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はじめに
アクアリウムでよく遭遇するトラブル。
それは
「油膜」
唐突に発生し、水槽の景観を損ないます。
逆に水面がきれいだと気持ちがいいですよね!
油膜の対策には次のようなものがあります。
- 専用の機器(例えばコトブキ工芸 ユマクリアなど)で吸い取ってろ過
- エアレーション
- 新聞紙などで吸着
- 水換え
このうちエアレーションは手軽に導入できるため私もよく実施します。
私の水槽でも効果がありました。
そんなエアレーション。
油膜に効果がある理由として二つの説があります。
- エアレーションで油膜がバラバラになり、視認できないくらい細かくなることで透明度が回復する
- 好気性微生物の活動が活発になって有機物である油膜が分解される
私はどちらの影響もあると考えています。
今回はその理由について述べます。
よく言われるのが
「水中の酸素が足りないと微生物の働きが悪くなって油膜が生じる。だからエアレーションで酸素が増えれば油膜が消える」
という説明です。
しかしながら下水処理と油膜表面の表面積に着眼した解説は少ないので今回の記事となった次第です。
やみくもに色々試す前に、理由を考えれば判断の助けになります。
今回の話をその一助としていただければと思います。
なお実験したわけではないので、あくまで推測の域の話となるのでご了承ください。
下水処理を参考に考えてみる
下水処理では微生物の力で汚れを分解する活性汚泥法という手法が一般的。
好気性微生物は、水中に溶解している酸素(溶存酸素:DO)を使って有機物を水と炭酸ガスに分解し、そのエネルギーを使って増殖します。この働きを利用した排水処理が好気性生物処理で、排水処理や下水処理に多く用いられている活性汚泥法が代表的です。
参考:栗田工業株式会社, 微生物を使って水をきれいにする生物処理, 閲覧日:2023-01-16
好気性微生物は酸素が大切なので下水処理では曝気槽という酸素供給のための設備があります。曝気槽にはポンプで空気が送られます。エアレーションと同じですね。
また、曝気槽の底の部分には散気管が設置されており、空気の微細な気泡が槽内に吹出しています。そのことによって曝気槽内を満たしている汚水に酸素を溶解させ、汚水に含まれている好気性微生物を活性化させて増殖させます。
参考:株式会社夢真, 曝気槽とは?曝気槽における浄水処理の流れ4つと浄化槽の役割を解説, 閲覧日:2023-01-16
要するに下水処理場では好気性微生物で汚水中の有機物を分解していて、好気性微生物には酸素が必要という話です。
エアレーションして水槽中の酸素量を増やすと、好気性微生物の活動が活発になります。
油膜は有機物ですから、好気性微生物が分解できるので、酸素量の増加によってより分解性能が上がるという話です。
表面積の増加
エアレーションすると水面が波立つので油膜がバラバラになります。
そうなると油膜の水と触れ合う表面積が増加します。
次の図をご覧ください。
ただの板とそれを正方形のブロックに分割した図です。
板だった頃は板の上と下の面積しか水に触れることができません。
しかしながらブロックに分割すると、ブロックの左右も水に触れることになります。
水に触れる面積が増えると、それだけ微生物がブロックに触れる面積も増えます。
エアレーションすると油膜として平面的だった膜がものすごく細かいブロックに分割され、平面のときよりたくさんの微生物がブロックの分解に従事することができます。
結果として油膜の分解が促進されると考えられます。
根本原因を解決しないと消えないかも
油膜は水中の魚の死骸や水草・餌の残骸や魚の排泄物などを栄養に発生します。
頻繁に発生するようならそういう水中の栄養が多すぎる可能性があるので、一度ろ過力を見直すとか、餌の量を見直すとか、水槽の掃除(砂掃除も含めて)をするとかしないと対処療法ばかりでいつまでたっても解決しないことがあります。
そうした要素も考えるようにしましょう。
まとめ
今回は水槽に発生する油膜に対してエアレーションが効果的な理由を、下水処理と油膜表面積の増加に関連付けて述べました。
なんとなく酸素が足りないから微生物の活動が弱いという理由を補足できたのではないでしょうか。
アクアリウム生活の一助になれば幸いです。