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今回はグッピーが繁殖しないという場合の原因と対策について解説します。
私はグッピーを買い始めて8年くらいは経っているんですが、「たくさん繁殖するとき」と「全然繁殖しないとき」がありました。
繁殖しないときの理由はなんなのか、ということを今回は解説します。
なおグッピーの産卵は「産仔」と呼びますが、当記事では産卵と産仔を同じ意味で使っています。
グッピーの繁殖まで
まずグッピーが繁殖するための条件について簡単にご説明します。
- 生後3〜4ヶ月で産卵可能になる
- 年中産卵可能
- 卵胎生
まず生後3〜4ヶ月程度で産卵可能になります。隔離した稚魚は生後1ヶ月程度で本水槽に戻せる場合が多いです。
メダカは日長が長く、水温が温かい条件でしか産卵しませんが、グッピーは基本的に年中26℃程度の水槽で飼育する熱帯魚なので、年中産卵できます。
また卵胎生という性質があり、メスのお腹で卵を孵化させて産まれた小さな稚魚がメスのお腹から出てくる形式を取ります。そのため稚魚の生存率が比較的高いので、一度スイッチが入るとかなり殖えます。
グッピーが繁殖しない…
そうは言っても全然繁殖しない場合もあります。ここからはその原因について述べていきます。
国産と外国産グッピーの混泳をしている
これが結構ありえるんじゃないかと思います。我が家もこのパターンで買ってきたグッピーを死なせてしまう場合が多かったです。
グッピーエイズと呼ばれる、本当のエイズとは違うカラムナリス系の細菌性感染症の一つと言われる感染症があります。
これは外国産グッピーが体内に原因細菌を保有している可能性が高く、国産グッピーは保有している可能性が低いです。
致死性の感染症で、外国産グッピーは体内に抗体を保有していて原因細菌を保有しつつ死なない場合があります。
つまり外国産グッピーを国産グッピーと混泳させると抗体の無い国産グッピーが感染して死んでしまいます。
まず外国産グッピーと国産グッピーを混ぜないというのが大切です。
国産は国産と表記されている場合が多いです。
外国産は外国産と表記されている場合が多いです。安いですが国産と混ぜないほうがよいです。
メスの縄張り争い
元気なお腹の大きなメスはたくさん子供を産んでくれてよさそうですが、そういうグッピーは「他のメスを攻撃する」場合が多いです。
どうも生存本能なのか、強いメスほど他のおとなしいメスを攻撃します。攻撃されたメスは弱って死んでしまいます。
こういうメスを見つけたら隔離してオスを2匹くらい入れておけばどんどん産卵しますし、他の本水槽のメスが傷つかないので産卵可能なメスがたくさん生き残って殖えやすくなるでしょう。
自然に任せている
基本的によほど隠れる場所があるなら別ですが、そうでないなら産まれた稚魚はすぐ他の成体のグッピーに食べられてしまいます。放置は危険ということです。
かといって産卵箱にお腹の大きなメスを入れる方法だと、産卵箱に一匹しか入れられないので他の産卵しそうなメスをどうするんだ、となりがちです。
我が家の対策としては水草を多めに入れて多少隠れることができるようにして、一日に何回も水槽を眺めて稚魚が産まれていないか確認して、発見次第稚魚ネットに入れるという方法をとっています。
稚魚を見つけたら産卵が続いている可能性が高いので、他に稚魚がいないか確認しつつ、しばらく水槽を見る頻度を上げましょう。
我が家ではミクロソリウムセミナローを入れています。適度な背丈で収まるし、適度に隠れられます。維持管理も簡単ですし、サイアミーズ専用水槽との相性もいいです。
適温から外れている
メダカの仲間だからとヒーター無しで飼育すると活性が下がり産卵周期も長くなり、つまり稚魚を産みにくくなります。
26℃程度の一定の水温で飼育してあげましょう。
水槽がコケまみれ
水槽が汚いと成魚の死亡率が上がります。適切な水換えとこまめなコケ落としが重要です。
また稚魚ネットも汚れてきたら洗います。我が家は塩素系漂白剤を使ってしまいます。本当は良くないのですが、これでも死なないので浸けたらよくゆすいで使ってください。カルキ抜きを入れたバケツに浸すのも効果的です。
酸素不足で油膜
油膜ができると生存率が下がるので、本水槽、稚魚ネット双方にエアレーションしたほうがいいです。
水換え不足
諸説ありますが、通常の週一回1/3の水換えは行ったほうがよいでしょう。
普通に汚い水だと生存率が下がるのでよくありません。まずちゃんとグッピーを飼うというのが大切です。
また水換えの直後に産卵する場合も多いので、水換えをした日は特に水槽を見る頻度を増やしましょう。
この数式から外れると減少するという目安
産卵するメスが少なくなってオスとメスがいなくなってしまったら産卵はどうにもならなくなります。
この減少をシミュレーションしてみます。
まずグッピーの産卵可能数と寿命と産卵周期について確認しておきます。
グッピーの繁殖で一度に生まれる数は、若い個体の初産だと10数匹です。
成魚で30〜70匹、大きいメスになると70〜100匹程出産します。
〔……〕
一般的にグッピーの出産周期は20~30日と言われています。
グッピーjournal, 【完全版】ブリーダーが教えるグッピーの繁殖マニュアル
グッピーの寿命は1年から2年と言われていますが、厳し目の条件として1年とします。
つまり以下のような条件とします。
- 産卵数:10〜30匹
- 産卵周期:1ヶ月
- 寿命:1年
- 産卵可能日数:3ヶ月
- オスとメスの生まれる割合:同率
まず理想的な条件で始めます。3ペアのオスとメスがいるとします。生後3か月とします。
メスがそれぞれ30匹産みます。すると90匹産まれます。
90匹をすべて隔離して育て始めます。
1ヶ月後また産卵します。90匹産まれます。
2ヶ月後また産卵します。90匹産まれます。
3ヶ月後、90匹産まれますが、最初の稚魚が産卵可能になり45匹が30匹産んで1350匹産まれます。
このへんでやめておきましょう。
これは理想状態を言っています。現実は途中で育たないとか死んでしまう個体がいるので、もっと少ない数になります。
どういう条件ならグッピーは殖えないのか。
- 産卵数:x匹
- 一ヶ月生存率:y%
産卵可能日数が3ヶ月なので、3ヶ月で水槽内のグッピー総数がワンペア生き残れば次の産卵が可能で、ギリギリサイクルが回ります。
3ペアから始めるとして0月目は3x匹産まれます。
1ヶ月後は3匹のメスの生存率より3×(y/100)匹の成魚が生き残ります。
このとき稚魚は3×(y/100)×x匹産まれます。生後1ヶ月の稚魚が3x×(y/100)匹生き残ります。
2ヶ月後は3×(y/100)^2匹の成魚が生き残ります。
このとき稚魚は3×(y/100)^2×x匹産まれます。生後2ヶ月後の稚魚が3x×(y/100)^2匹生き残ります。生後1ヶ月の稚魚が3×(y/100)^2×x匹生き残ります。
3ヶ月後は3×(y/100)^3匹の成魚が生き残ります。
このとき稚魚は3×(y/100)^3×x匹と生後3ヶ月の新成魚の半分が産卵して3÷2×x×(y/100)^3×x匹、つまり以下の稚魚が産まれます。
3x(y/100)^3+(3/2)(x^2)(y/100)^3匹
生後3ヶ月の新成魚の数は3x×(y/100)^3匹です。
これが1ペアつまり2匹以上いればとりあえずグッピーはサイクルが回ります。
3x(y/100)^3>2
この不等式を満たすxとyの組み合わせを求めることができれば良さそうです。
xを2から30まで変化させて、そのときの不等式を満たすyを求めると以下の表となります。流石に産卵数1だと生き残ってもオスかメスのどっちかになり破綻するので、産卵数2から求めました。
産卵数 | サイクル維持可能な生存率 |
2 | 70% |
3 | 61% |
4 | 56% |
5 | 52% |
6 | 49% |
7 | 46% |
8 | 44% |
9 | 42% |
10 | 41% |
11 | 40% |
12 | 39% |
13 | 38% |
14 | 37% |
15 | 36% |
16 | 35% |
17 | 34% |
18 | 34% |
19 | 33% |
20 | 33% |
21 | 32% |
22 | 32% |
23 | 31% |
24 | 31% |
25 | 30% |
26 | 30% |
27 | 30% |
28 | 29% |
29 | 29% |
30 | 29% |
長い表になりましたが、一回の産卵数が10匹程度なら、ひと月の稚魚の生存率は、前の月の41%以上でないとサイクルが破綻します。
30匹産めば29%の生存率でよくなります。
全てのメスが10匹産卵するとは限らないので産卵数5匹とするとひと月の生存率は52%以上必要です。
これはサイクルがギリギリ回る数値ですので、もっと増やしたいなら一ヶ月の生存率が60%以上あるといいと思われます。
つまり稚魚を減らさない、親を死なせないという当たり前の話なのですが、どの程度減ると破綻するのかという計算ではひと月に前月の6割が生き残るくらいでないと厳しいことになります。特に新たにお迎えしたグッピーは初出産でしょうから産卵数はよくて10匹程度でしょう。平均すると5匹くらいになると思います。
すごく単純化した話をしているので、実際は1ヶ月目、2ヶ月目の稚魚も加算されもう少し緩い条件でもいいと思いますが、目安として6割は生き残らせるというのは多少役に立つ数値ではないでしょうか。
まとめ【グッピーが繁殖しないときは】
今回はグッピーが繁殖しないという問題に対する原因と対策を解説しました。
きれいな水槽を維持して国産と外国産のグッピーを混ぜないという対策を基本として、他の細々したテクニックを使えば、多少は改善されると思います。
グッピーを減らさないお世話が大切です