\欲しい魚も用品もcharmでだいたい見つかる!/
〜ネコポス対応で単品購入の送料が安い商品多数!〜

今回は外掛けフィルターで水槽のCO2はどのくらい漏れるのかというのを計算してみたという内容です。
過去記事で外掛けフィルターではCO2が多少漏れますよという話をしました。

ただこの中では「どのくらい」漏れるのかというのを考えませんでした。
それほど漏れないなら外掛けフィルターでも水草水槽やっていいんじゃない?となります。
今回は素人のなんちゃって計算ですが、一応どのくらい外掛けフィルターでCO2が漏れるのかというのを計算してみたという内容です。
CO2の大気と海洋や河川の交換量をCO2フラックスといいます。
これはフラックスをFとすると以下の式で表せます。
F=kS⊿pCO2
溶解度S(mol-C/m3 /atm)は水温と塩分による既存 の経験式(Weiss,1974)、交換係数k(m/s)は水面から10mの高さの風速(m/s)と、Scつまりシュミッ ト数と呼ばれる無次元数(動粘性係数を ν [m²/s]、物質の拡散係数Dから成ります )で決まります。
参考1:田多 一史, 所 立樹, 渡辺 謙太, 茂木 博匡, 桑江 朝比呂, アマモ場における大気-海水間CO2フラックスの連続観測, 土木学会論文集B2(海岸工学)/70 巻 (2014) 2 号
これを水槽に当てはめると、kに関してはシュミット数も風速も変わらないので一定、Sも水温と塩分が変わらないので一定とみなせます。
また⊿pCO2はCO2の水中の分圧と大気の分圧の差です。この単位は[µatm]です。なおFの単位は[µmol-C/m2 /s]です。
参考1の図3より、数値を目視で読み取ると、分圧差が200μatmのときのフラックスが-0.05[µmol-C/m2 /s]なのでフラックスの絶対値をとって
0.05=kS×200
kS=0.05/200=0.00025
つまり
F=0.00025⊿pCO2
となります。まあ海上のデータなので流速とかは違うんですけど、めちゃくちゃ流れがあるわけではないと思うのでこの式を使います。
とはいえ海水のデータなので淡水ではどうなるかも計算しておきます。以下の参考2を使います。
参考2:西村 典子, 渡辺 桂一郎, 岸田 巧, 岩田 徹, 大滝 英治, 河川水中の二酸化炭素濃度(pCO2)の変動特性, 環境科学会誌/11 巻 (1998) 3 号
参考2の図6を目視で確認して、F=0.75[μg/m2/s]、⊿pCO2=1000[ppm]。pCO2(μatm)=pCO2(ppm)[P-e]です。
Pは大気圧、eは水蒸気圧ですが、文献中ではpCO2(μatm)=pCO2(ppm)と近似できるとしています。
またCO2の1gはCO2の分子量を44とすると1/44[mol]となります。
数値が出揃ったので以下の方程式を解きます。
0.75/44[μmol]=kS×1000
kS=0.75/(44×1000)≒0.000017
つまりF=0.000017⊿pCO2
海水ではF=0.00025⊿pCO2
だったので0.00025/0.000017=14.7
となり、ブレ幅は最大でも15倍くらいと思われます。
ここでヘンリーの法則を考えます。溶ける気体の物質量をC、比例定数をk、CO2分圧をPとすると以下が成立します。
C=kP
一般に大気で平衡した状態のCO2分圧は400[μatm]、水中のCO2濃度は2[mg/L]程度なので
2=400k
よって
k=2/400=0.005
つまり
C=0.005pCO2
ここで水草水槽の理想的な水中のCO2濃度が30mg/L程度なので
30=0.005pCO2
よって
pCO2=30/0.005=6000ppm=6000[μatm]
ここから海水参考のフラックスと淡水参考のフラックスを考えます。
外掛けフィルターの空気に触れる部分の面積は0.15[m]×0.1[m]=0.015[m2]くらいなので海水シナリオだと
F=0.00025×(6000-400)=1.4[µmol-C/m2 /s]より
1.4×0.015=0.021[µmol-C/s]くらい。
淡水シナリオだと
F=0.000017(6000-400)=0.095[µmol-C/m2 /s]より
0.095×0.015=0.0014[μmol-C/s]
なおµmol-Cというのは二酸化炭素中の炭素のモル数のことで、二酸化炭素のモル数と炭素のモル数は一致します。
アクアリストの実測値を以下のサイトを参考に考えます。(参考:能あるコリドラスはヒゲを隠す. 【アクアリウム】二酸化炭素ボンベの使用日数と交換頻度を実測)

このサイトによると水中へのCO2供給速度はCO2ガスボンベ74gを2秒に1滴の滴加量の場合には積算で294時間とあります。
ここから
74/294[g/時]=0.25[g/時]=6.9×10-5[g/s]のCO2が水中に添加されます。
CO2は44[g/mol]なので6.9×10-5[g]は6.9×10-5/44[mol]=1.6×10-6[mol]=1.6[μmol]
つまり1.6[μmol/s]が添加されます。
ここから、外掛けフィルターの漏れが海水シナリオで0.021[µmol-C/s]だったので、
0.021/1.6=0.013=1.3%
淡水シナリオでは0.0014[μmol-C/s]だったので
0.0014/1.6=0.00087=0.087%
ここから大雑把に計算してきましたが、外掛けフィルターでCO2が漏れる量というのは1.3%以下と計算できました。
まあ実際は水面での空気との拡散とか色々あるんでしょうけど、多めに見積もっても1割程度漏れるくらいなんじゃないでしょうか。
実際以下のYouTuberの方は外掛けフィルターで水草水槽をやっておられます。実際にCO2濃度測った動画じゃないんですけど、アクアショップの店長の言うことなんで、まあそれなりに小型水草水槽で外掛けフィルター大丈夫っていうのは正しいんでしょう。
確かに外掛けフィルターはCO2がある程度漏れます。
ただ添加量に対して漏れるのは多めに見積もっても1割程度と思われます。
以下外掛けフィルターと外部フィルターの価格を載せておきますがcharm楽天市場店の価格です。
GEXメガパワー2045なら45cm規格水槽まで使えて4200円程度で入手できます。
ただエーハイムの2213あたりになってくると1万円を超えてきます。
それに対して45cm規格水槽まで使える外掛けフィルターのテトラのAT50だと1800円程度で入手可能です。
60cm規格水槽まで使えるテトラの外掛けフィルターである、AT75Wの場合3600円程度で入手可能です。
最安値の比較でも45cm規格水槽なら外掛けフィルターと外部フィルターの差額は2400円程度あります。
60cm規格水槽なら差額は6000円から7000円程度になるでしょう。
74gのCO2ボンベはチャームさんで600円くらいで購入できます。
これで45cm規格水槽の水草水槽が1ヶ月くらいもちます。(2秒に1滴で一日8時間程度を想定)
まあ外掛けフィルターで1割くらいCO2が漏れたとすると、1ヶ月の損失は60円くらいですね。
フィルターの差額が45cm規格水槽で2400円程度だったので、だいたい40ヶ月で漏れによる損失とフィルターの差額がつり合います。
つまりまあ3年位で外部フィルターとの差額が回収できるかなくらい。60cm規格水槽ならさらに長い年月でようやく釣り合うくらいですね。
それほど大損するような量は漏れていないようです。
今回は外掛けフィルターで水槽のCO2はどのくらい漏れるのかというのを計算してみたという内容でした。
まあ私過去記事で外掛けフィルター微妙みたいな言い方したんですけど、それほど最悪の組み合わせではなかったようです。
恐れずに小型水槽で外掛けフィルターで水草水槽やってみてもいいかもしれませんね。
実際の測定データから出した答えではないので、真似するなら自己責任にはなりますが…。

60cm規格水槽だと外掛けフィルターのろ過力とかラインナップの関係でおとなしく外部フィルターを使ったほうが良いと思いますけどね…