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今回は水草の光合成に適したLEDに関して特に波長の視点から解説するという内容です。
光合成をおさらいしよう
まず光合成の反応式は以下となります。
6CO2+12H2O+光エネルギー→(C6H12O6)+6O2+6H2O
二酸化炭素と水から炭水化物と酸素と水が発生する過程となります。
光合成に必要な要素【光量・温度・CO2】
これからLEDライトの波長の話をしていきますが、その前に光合成に関して必要な知識を確認しておきましょう。良い波長を知ってもこれから解説する光合成の全体像がわからないと効果が低くなる場合もあるからです。
高校の生物などで出てくるのですが、光合成は光量と温度とCO2濃度の適正値があります。
これは植物の種によって違うのですが、一般に以下のような仕組みになっています。
- 光量:多いほど光合成速度向上。ある上限(光飽和点)以上では向上しない
- 温度:高いほど光合成速度向上。ただし30℃を超えたあたりで速度が低下する(多くの水草の場合)
- CO2濃度:高いほど光合成速度向上。ある上限以上では向上しない
これら3つすべての条件が適切でないと光合成速度は低下します。何か一つでも適切でないとそのレベルでの光合成速度になってしまいます。このときの足を引っ張る要素を限定要因といいます。
光が強ければたくさん光合成するのは直観でもわかると思います。光と水とCO2で炭水化物を作るのだから、光が多ければ光合成の材料が増えてたくさん光合成するわけです。
つまり波長も大事ですが光の強さそのものも大事ということです。
温度に関してはCO2の固定と関係していて詳細は以下の記事でまとめました。
概要を解説すると、水草というのはほとんどがC3植物で、その適温は以下となっています。
光呼吸を引き起しているRubiscoのオキシゲナーゼ活性はO2/CO2濃度比によって決まるが,両気体の溶解特性の違いによりこの濃度比は温度上昇にともなって高くなる。その結果光呼吸は高温になるほど促進される。
〔……〕
光合成の最適温度域もC4植 物(30~40℃)がC3植物(20~30℃)よりもおよそ10℃高い。
白岩 立彦, C3およびC4イネ科植物の生産生態と環境適応性, 芝草研究/32 巻 (2003-2004) 2 号
RuBisCOと呼ばれる葉緑体中の酵素はカルボキシラーゼ反応とオキシゲナーゼ反応を触媒していて、CO2の固定ではカルボキシラーゼ反応が必要です。これらはお互いに足を引っ張りあうので、片方が優位に立つともう片方が阻害されます。
つまり高温ではオキシゲナーゼ反応が優位に立ちやすく、高温になりすぎるとカルボキシラーゼ反応が阻害されてCO2固定、すなわち光合成の速度が低下します。
そのため30℃を超えるあたりで高温すぎて光合成速度が低下します。
カルボキシラーゼ反応を優位に立たせるにはCO2を酸素に対して高濃度にする必要があり、CO2に対して酸素が多いとオキシゲナーゼ反応が優位に立ちます。
精製酵素のカルボキシラーゼ (C) 活性 とオキシゲナーゼ (O) 活性 は互いに他の基質 (O2とCO2) により競合阻害され, 活性化因子 (CO2, Mg2+お よびRuBisCOアクチベース) も共通するので, 同じ活性中心の触媒反応である.
金井 龍二, 光呼吸 植物自身の排気ガスによる光合成炭酸固定阻害の対応策, 化学と生物/41 巻 (2003) 6 号
このためCO2を添加してCO2濃度を上げ、カルボキシラーゼ反応を優位に立たせる必要があるわけです。
もちろん高温になりすぎない水温(一般には30℃以下)での話です。
発酵式CO2なら取り扱いが簡単です。
上の製品は高性能ですがコスパはそれなりなので、昔からあるボンベ式でもよいでしょう。
CO2は添加しすぎると水槽内の生体がCO2中毒などを引き起こす恐れがあるので夜間は特にCO2添加を止めてエアレーションしたほうがいいでしょう。
まずはCO2の濃度が適性か測ることをおすすめします。
陰性水草と陽性水草
光飽和点の違いで水草は以下の二種類に分かれます。
- 陽性水草(ミクロソリウムやアヌビアスナナなど)
- 陰性水草(ロタラやグロッソ、ヘアーグラスなど)
陽性水草というのは光飽和点が高く、光をどんどん強くしていけばどんどん光合成速度が上昇する水草です。
これとは反対に陰性水草というのは光飽和点が低く、光をどんどん強くして言ってもすぐに光飽和点に到達してしまい、強い光でもあまり効果がない水草です。
陰性植物はそれ以下では植物が生育できない光の下限値である補償点が低いため低光量でも生育できるという特徴がありますが、強いライトでたくさん光合成させようにも光が足かせになってたいして光合成速度が向上しません。
ライトの波長云々を考える前に高級なライトを適用する水草が陽性水草であるということを確認しておきましょう。
その他の注意事項【ソイルと液肥を使いましょう】
ほとんどの水草は弱酸性の軟水かつ17の必須元素が水中に存在している必要があります。
そのため水質を弱酸性の軟水に変えて維持してくれるソイルを使用したほうがいいでしょう。
様々な養分を含む栄養系ソイルを使うか、吸着系ソイルを使って足りない栄養素を液肥で補填するのが一般的です。
例えば以下のリベラソイルなら微量元素配合と商品説明にあります。
吸着系ソイルを使用するなら栄養系よりは養分が少ないので(弱酸性の軟水にする効果はある)、例えば以下の吸着系ソイルと液肥の組み合わせがいいんじゃないでしょうか。
テトラの液肥は各種ミネラル配合とあるので、これ一本でだいたい色々な栄養を補給できると思われます。
水草の光合成に適したLEDライトを選ぶための話
ここからは水草の光合成に適したLEDライトを主に光の波長に関する内容で解説していきます。
ただ光が強いだけではダメ
上で光合成には光の強さが必要と述べましたが、これは白熱電球や蛍光灯、太陽光の話で、LEDライトだとちょっと注意が必要です。
というのもLEDライトは基本的に単色の波長(赤とか青とか)を出力する素子なので、色々な波長を必要とする植物には工夫が必要なのです。
そもそも植物に必要な波長は何色なのか
植物工場のLEDライトはピンクっぽいものが多いですよね。
光の組み合わせとしては赤と青の光を混ぜるとピンクっぽい色(マゼンタ)になります。
つまり植物工場のLEDライトは赤と青のLEDライトを使っています。
これがなぜいいのかという話からしていきます。
植物は光合成のときにすべての色に反応しているわけではありません。
光合成では光を吸収する色素が存在しており、いくつかある色素はそれぞれ吸収する光の波長が異なります。
光合成色素の代表的なものには「クロロフィル」「カロテン」「キサントフィル」があります。
これらの光合成色素がよく吸収する波長は主に赤色と青紫色付近です。
これと葉に色々な波長の光を当てて各波長の光合成速度を調べた作用スペクトルというのがほぼ一致しています。
つまり光合成でよく作用するのは主に赤色と青紫色付近と考えられています。
このことから植物工場では光合成速度をより向上させ、余計な光を使わずコストを下げるために赤と青の光を使ったあのピンク色の光となるわけです。
ただし緑色の光が無駄なのか、というと最近の研究ではそうとも言い切れないという結果が出ています。
その結果、一般の緑葉では、青色光や赤色光の吸収率が90%程度であるのに対して、緑色光の吸収率も70~80%程度である10)。
寺島 一郎, 葉が緑色なのは緑色光を効率よく利用するためである, 光合成研究 20 (1) 2010
詳細は上記の文献をご覧ください。
結局のところ緑色の光も有効活用されるようなので、植物のポテンシャルをフルに活用したいなら緑色の光も無駄ではないようです。
つまりLEDで作り出せる「赤」「青」「緑」の波長は全部必要と言えそうです。
水草でも同様のことが言えるのか、種によって違うのではないか、という問題はありますが、「緑=不要」とも言い切れないのです。
またピンクに緑を足して白色にしたほうが、当然水草の鑑賞性も改善されます。ピンクの光では水草や魚がちゃんとした色に見えませんよね。
じゃあ全部の色が入っている「白色」のLEDで解決する?
光の三原色である「赤」「青」「緑」を組み合わせると白になります。
このことから白色LEDを使えばすべての波長が含まれていて十分じゃないか、という仮説が成り立ちます。
実際白色のLEDライトには色々な波長の光が含まれています。その中には緑や黄色の波長も入っています。
参考:スガツネ工業, 設計者・部品選定者なら知っておきたい【照明・LEDライト】の用語と基礎知識
とはいえ白色LEDの波長は赤が少ない傾向があるので、赤を足したり緑や青も足してもいいかもしれません。
不用意に赤を足すと当然合成される色は赤っぽい色になってしまいますし、緑を必要そうだからと足しても赤と緑が混ざって黄色っぽい合成色になってしまいます。そこで青も足す必要があります。
バランスをとるために赤を足すというひと手間に対して適切な緑と青のLEDを足す必要があるのです。
これをやっているのがcharmで人気のコスパよしと言われる「アクロ TRIANGLE LED GROW」シリーズです。
白色LEDに加えて赤と青と緑すべての色のLEDチップを採用しています。
白色で光量を稼いで赤を補填、バランスをとるために緑や青を加えていると推測されます。緑のチップを使うことで緑も通常のLEDライトより含まれており、光合成に有利かもしれません。
またRGBライトと呼ばれる「赤」と「青」と「緑」のLEDチップで水槽を照らすタイプの照明もあります。
Chihiros LEDと呼ばれる製品はRGBライトで、これには光の三原色が含まれているので、光合成に必要な波長が確保できると考えられます。調光機能付きで明るすぎたら光量を控えめにします。
超強力なのがこちら。
これでも水草が問題なく育つようです。詳細は製品ページのカスタマーレビューなどをご覧ください。
LEDライトに必要な光量【lm(ルーメン)】
上で波長の話をしましたが、光量も大事だということも解説しました。
ではどのくらいの光量が必要かという話をします。
charm楽天市場店熱帯魚通販大手のcharmによると、高光量を必要とするグロッソスティグマに必要な光量は「60cm水槽に2400~3000lm」とあります。
ルーメン(lm)というのは光源から放たれたすべての光「光束」の量を表す単位です。
大きい値ほど光量が強いと言えます。光の総量が多いということです。
60cm水槽に3000lm必要ということは、半分くらいの水面面積の30cmキューブ水槽なら1500lmくらい必要ということです。
アクロ TRIANGLE LED GROWの場合はGROW 300で1000lmなのでちょっと足りないかもしれませんが、これを水草用として販売しているのでこれでもそれなりにうまくいくと思われます。
心配なら高価ですがChihiros LED WRGB2 30にすれば2300lmあるので十分でしょう。電気代もかかりますが…。
もちろんGROW 600にすれば3000lmあるので60cm水槽なら十分でしょう。
陰性水草ならそれほど光は強くなくていい
上の話は陽性水草の場合の話でした。
陰性水草はそもそも高CO2濃度も不要で(あればそれなりに有利ではあります)、それほど光量も必要としません。
こうした陰性水草の照明なら、上で挙げた高光量の照明は不要です。
私が家中の熱帯魚水槽の照明で使っているのはコトブキのコトブキ工芸 フラットLEDシリーズです。
それなりに明るく、ミクロソリウムセミナロー中心の水槽がそれなりに明るく、水草がそれなりに成長します。
これでコトブキ工芸 フラットLED SS 3042の場合消費電力は5W程度なのでお財布に優しいです。光量は380lmです。
他にはGEXのクリアLEDパワー3シリーズでもよいでしょう。
クリアLEDパワー3 300なら光量は500lmでコトブキよりちょっと明るい。消費電力は9Wくらいです。
ここで不用意にアクロ TRIANGLE LED GROW 300とかを消費電力が同じくらいだから(9.8Wくらいです)と選んでしまうと光量が強すぎて、水草の光合成能力が高くないのでコケばかり成長することになりかねないので明るいけどものすごく明るくはないGEXの製品が有利かもしれません。
まとめ【水草の光合成に適したLEDライト】
今回は水草の光合成に適したLEDライトについて特に光の波長から解説するという内容でした。
赤と青に加えて緑もあったほうがよさそうという話をしました。
アクロ TRIANGLE LED GROWやChihiros LEDなどは水草育成用ライトとして販売されているのも納得のスペックでした。
水草水槽を目指したいならこうした照明を活用するとうまくいく可能性が高まると思われます。
CO2の添加も忘れずに。栄養分とpHも合わせてね