30cmキューブ水槽の水換え頻度【60cm水槽と一緒でいいの？→いいんです】

2025年11月18日

今回は30cmキューブ水槽の水換え頻度はどのくらいがいいのかという話題に関する解説です。

そもそも30cmキューブ水槽の水換え頻度は週一回1/3でいいのか

結論としては30cmキューブ水槽であろうが、60cm規格水槽であろうが、水換えは週一回1/3で十分です。

ここからはなぜそう言えるのかということを解説していきます。

硝酸イオンの濃度は水換え量の割合と水換え頻度で決まる

過去記事で硝酸イオンの濃度に関して計算してみました。それについて書いたのが以下の記事です。

この中で硝酸塩濃度Nの収束値は水槽で一日の硝酸塩濃度の増加量k、a日に一回、(c/b)量を水換えするとした場合以下の式で表せます。

N=ka(b-c)/c

例えば週一回1/3の水換えの場合、a=7、b=3、c=1ですから

N=7k×(3-1)/1=14k

となるわけです。

またkの理論式も載せておきます。

47.6Lの水の入った水槽に合計64gの餌を投入し，硝酸イオン濃度は300ppmに達していることから，水槽容量をW（L），餌（テトラミン）の投入質量をF（g）とすると，得られる硝酸イオン濃度C\(_{NO3}\)（ppm)は次式で表される。

C_NO3 ＝0.193F/W×1000
松林勝志, 中川文寛, 半田真帆, 小坂敏文, 三谷知世, 218 汚水を出さない魚と野菜の同時生産(アクアポニックス)システムに関する研究 : アクアポニックスシステム稼働前の硝化サイクルの確立(安定化・無害化及び循環型廃棄物処理技術,資源循環・廃棄物処理技術), 環境工学総合シンポジウム講演論文集/2007.17 巻 (2007).

k=C_NO3＝0.193F/W×1000

ここでエサの投入量をF[g]、水槽の水量をW[L]としています。

例えば30cmキューブ水槽と60cm規格水槽の水量は以下となります。

水槽	サイズ	水量
30cmキューブ水槽	30×30×30cm	約22〜24L
45cm規格水槽	45×27×30cm	約29～31L
60cm規格水槽	60×30×36cm	約59L

30cmキューブ水槽（添字1）の水量をW₁=23L、60cm規格水槽（添字2）の水量をW₂=59Lとすると、W₂≒2.57W₁となります。

エサの投入量を水槽水量Wに比例するモデルと仮定します。比例定数をpとします。水量が増えれば魚も増えてそれに伴ってエサの量も増えるというモデルです。

つまりF=pWです。

この式より、F₁=pW₁、F₂=pW₂=2.57pW₁となります。

すると

k₁=0.193F₁/W₁×1000=0.193pW₁/W₁×1000=0.193p×1000

k₂=0.193F₂/W₂×1000=0.193×2.57pW₁/(2.57W₁)×1000=0.193p×1000

つまりk₁=k₂です。これをkとします。

つまり週一回1/3の水換えの場合

N₁=N₂=14k₁=14k₂=14k

つまり水槽水量に依存せずにkは一定とみなせるので、硝酸塩の濃度は30cmキューブ水槽と60cm規格水槽では、水換えの換える水量割合と頻度だけで表せるわけです。a日に一回、(c/b)量を水換えするという条件のみで決定されます。

まあもちろんkの中にpという比例定数が入っていて、一匹あたりの餌の量が多ければまた変わってきますが、同じ種類の熱帯魚や金魚を飼うなら一匹あたりの餌の量は変わらないので大きな問題にならないでしょう。

つまり水槽の大きさが違っても硝酸塩の濃度は変わらないので、週一回1/3の水換えをする限り、水槽によらず一定の濃度を保てます。

多くのアクアリストの経験によって水換え頻度は週一回1/3でだいたいなんとかなることがわかっています。

なので週一回1/3水換えすればたいていの場合は十分です。

もちろん一匹あたりに与える餌の量がめちゃくちゃ多い大型魚とかの場合はkが大きくなるので後述するpHや硝酸塩を測って適切な水換え頻度を見つけないといけません。

そもそもなんで水換えするのか

水換えするのは「硝酸塩の排出」が主な理由です。

水槽では生物ろ過が行われており、その最終物質が硝酸塩（硝酸イオン）なのです。

生物ろ過に関する詳細な解説は以下の記事でもやっています。

硝酸塩はそれほど毒性が無いのですが、過剰だと食欲不振などあまりお魚に良くない影響が出るので、定期的に水換えで水槽外に排出しているんですね。

またpHの正常化という側面もあります。

エサは生物ろ過の硝化という作用でアンモニウムイオン→亜硝酸イオン→硝酸イオンと分解されていくのですが、亜硝酸イオンが発生するタイミングでpHが下がります。このことについて解説した以下の記事もご覧ください。

pHは下がりすぎるとお魚の快適な水質ではなくなるので、定期的にpHを測って、お魚の適正pHを維持することになります。

水換えのときの新しい水はほぼ中性の場合が多いので（お住まいの地域によります）、pHが下がった水槽の水を薄めて中性付近にpHを戻すのも水換えする理由です。

基本的に週一回1/3の水換えでなんとかなる場合が多いですが、心配なら簡単に測れる試薬やキットが販売されているのでそうしたもので定期的に測るとより安心です。

リンク

住友化学のpH測定液は園芸用ですが、水槽のpHも普通に測れます。試薬の色が見やすいので我が家ではこれを使っています。

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テトラの製品はpHだけでなく、硝酸塩や亜硝酸塩まで測れるので生物ろ過がうまくいっているかなども同時に測れます。亜硝酸塩が検出されずに硝酸塩が検出されるならだいたい生物ろ過は完成しています。

当たり前ですがカルキ抜きは入れましょう

水道水には塩素が入っています。

塩素が入っていると魚は呼吸困難のような症状を起こして死んでしまいます。

水換えの必要性に関しては以下の記事でも解説しています。

我が家で使っているのはエーハイムのカルキ抜きですね。エラ保護成分入りでより魚に優しいです。高いですけどおすすめです。

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水換えを高頻度で行うべき魚

週一回1/3で十分と言いましたが、すべての魚でそれが当てはまるわけではありません。

ここでは週2回半分とか毎日水換えすべき魚について解説します。

特定のコリドラス

まずコリドラスの特定の魚種。新鮮な水を好むため高頻度な水換えが必要です。

コリドラスsp.アルア
コリドラスベネズエラブラック
イルミネータス
バルバータス

コリドラスの魚種別の難易度に関しては以下の記事のまとめてあります。上のコリドラス以外なら週一回1/3でいいです。4分類でコリドラスについて解説しているのでよろしければご覧ください。

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おそらく上で上げたコリドラスは週2回半分量の水換えでも厳しいと思います。

できれば毎日1/3〜1/2くらい換えてあげたほうがいいでしょう。週一回1/3では間違いなく失敗します。私はベネズエラブラックでこのことを知らずに週一回1/3水換えで失敗したことがあります。

キンペコなどの小型プレコ

次がキンペコ系の小型プレコ。小型プレコ特集は以下の記事でやりました。

基本的に小型プレコは川幅の広い渓流みたいな清浄な河で暮らしているので、新鮮な水と豊富な酸素を必要とします。

シングー川の動画は以下のようなものがあります。参考にしてみてください。

週一回1/3でもなんとかなりますが、できれば週2回1/3とか、もっと言えば毎日1/3とかでも水換えして大丈夫です。

また生物ろ過で完成していないアンモニアとか亜硝酸が検出される環境に弱いとされていて、立ち上げ初期などは注意が必要です。

立ち上げ初期の水換え頻度に関しての以下の記事も参考にしてみてください。

ディスカス

次がディスカス。

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ディスカスハンバーグや生餌を与えることになるので、ベアタンクで高頻度水換えを必要とします。

生餌系はものすごい勢いで水が汚れるんです。

毎日1/2くらい水換えしたほうがいいでしょう。

その他肉食魚

詳細は省きますが、肉食魚は生餌系を与えるので、水がすごく汚れます。

水換え頻度は多くなるでしょう。

まとめ【30cmキューブ水槽の水換え頻度】

今回は30cmキューブ水槽の水換え頻度はどのくらいがいいのかという話題に関する解説しました。

水槽のサイズに関わらず週一回1/3でほぼ大丈夫です。

心配なら試薬や試験紙で適正値が維持できる水換え頻度を探ってください。

こまめなお世話が重要です。コケ落としなどは週一回と言わずにもっとこまめに行いましょう