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今回はメダカ水槽で発生するフンを掃除する方法を色々と解説します。特に有効と思われるヒメタニシの効果について重点的に解説します。
フンはそのまま放置しても分解されない
メダカに限らず魚のフンはバクテリアの働きで次第に分解されますが、完全に水に溶けるわけではなく、ある程度の量がそのまま水中に溶けずに残ります。
これは我が家のメダカ飼育容器です。
緑化していますし、フンや食べ残しが底に溜まっています。
このフンの汚れですが、そのまま放置していると残り続けます。完全には分解されません。
ただし低床に砂や砂利を敷いておくとほとんど目立たなくなります。しかしながら砂をホースで吸い出すと汚れが吸い取れるので完全になくなるわけではないようです。
今回は低床なしのベアタンクでのフン掃除と、低床ありの水槽でのフン掃除について解説していきます。
そもそもこのフン汚れは何なのか
どうやら「デトリタス」という名前で呼ばれているようです。デトリタスというのは以下のようなものです。
生物遺体や生物の破片、あるいは生物の排泄物を起源とする微細な有機物粒子
自然界では以下の分解者がこれを分解したり食べたりしています。(参考1:国立環境研究所, 干潟の生態系- その機能評価と類型化 環境儀 NO.15)
- デトリタス食者(タニシなどの貝類)
- メイオベントス(そこそこ細かい(少なくても1mmの網はすり抜ける程度の)小型微生物)
- バクテリア
フン(デトリタス)掃除【ベアタンクの場合】
ベアタンクの場合、水槽の底にフンが溜まっていくので、これを何とかしなければいけません。
フンは放置するとエラに詰まったりする可能性があり、何らかの方法で水槽外に捨てる必要があります。
懸濁物が魚介類のえら(鰓)や気孔につまり窒息させたり,農作物の根や茎面および水生植物の葉面 に付着して枯死させたりする.
参考2:徳平 淳, 水系汚濁について(水質汚濁と廃棄物処理), 日本機械学会誌/74 巻 (1971) 626 号
そこで以下の方法を試したところ、一番成績が良かったのは「水換えで薄める」でした。
- 魚用ネットでこしとる→フンがネットをすり抜ける
- 目の細かい茶こしでこしとる→フンがネットをすり抜ける
- 水換えで薄める
上のメダカの掃除の記事で計算したところ、一週間でフンの濃度Kになるような水槽をx日で半分の水換えしたときのフンの濃度は(1/7)Kxとなります。だいたい3日か4日に一回水換えしたほうがいいでしょう。
特に水槽に低床やフィルターがなく、生物ろ過があまり効いていない水槽の場合、アンモニウムイオンが分解されず蓄積するので一週間待つとあまりよくありません。
注意点としては、フンは水槽の底に溜まっているので、ブラシなどで水中にまんべんなく舞うようにした状態で水換えするか、先にフンだけスポイトなでで吸い出してから水換えする必要があるということです。
フン(デトリタス)掃除【ベアタンクではない普通の水槽の場合】
砂利などの低床を敷いた水槽の場合、砂利の間にデトリタスが蓄積されていきます。
砂利の表面はきれいなのですが、ホースで吸い出すと間に詰まった汚れが吸い出されます。
週一回でなくてもいいですが、2週間に一回くらい水換えのときに砂利や砂をこうしたホースで掃除するとよいでしょう。
もちろん生物ろ過が必須なのでフィルターはちゃんと導入してください。
砂の目が細かい場合、ホースで吸い上げすぎて砂も一緒に吸ってしまうので、ホースできれいにするのは難しいかもしれません。
そういうときは砂を5mm程度の薄さに薄く敷いてあまり低床にデトリタスが溜まらないようにするとよいでしょう。
デトリタス食者「タニシなど」の利用
上でデトリタスを分解するのはデトリタス食者(タニシなどの貝類)、メイオベントス(そこそこ細かい(少なくても1mmの網はすり抜ける程度の)小型微生物)、バクテリアと述べました。
これが成立するならバクテリアだけでデトリタスはきれいさっぱり水に溶けるまで分解されるはずですが、実際は水槽に残り続けます。
そこで上の3者の中で水槽にいない存在である「デトリタス食者」であるタニシなどの貝類を水槽に導入してはどうかと考えました。
入手しやすいヒメタニシの性質として、デトリタスの摂食と緑化した水の透明化(つまり藻類などの摂食)を行うことが知られています。
観察1時間後,水中に浮遊している藻類がいなくなり,水が透明となった(図 4)。
〔……〕
それを補うために,付着藻類およびデトリタスの摂食性を持っていると考えられる.
参考3:林 文慶. 中村華子,高山晴夫, ヒメタニシの浮遊藻類摂餌行動観察, 土木学会第69回年次学術講演会(2014年)
水の透明化はろ過摂食と呼ばれているようです。
二枚貝類は水中の植物プランクトンや懸濁粒子を濾過摂食によって取り込むことによって水域の透明度の向上に貢献していると思われる。
参考4:中沢公士, 五味愛由伽, 井上沙緒里, 三森勇太, 中村梓実, 吉澤一家, 宮崎淳一, 淡水二枚貝を用いた水質浄化方法の検討 II(予報), 紀要論文 山梨大学教育人間科学部紀要 15 2013年.
ヒメタニシを緑化およびデトリタス沈殿状態のメダカ水槽に投入すればこれらの問題が解決するのではないかと考えました。
ヒメタニシはフンもしますが、それは浮遊性の細かいデトリタスではなく、ある程度固まったフンですからスポイトでの掃除もしやすいのではないかと。ついでに水も透明になればいいなと期待してみました。
というわけで緑化してデトリタスが沈殿したメダカ飼育容器にヒメタニシを投入してみました。
なお注意点として、水槽のアンモニウムイオンや硝酸イオンの摂食はタニシでも行わないので、これらを排出するために水換えは必要です。ベアタンクなら3日に一回半分程度、ベアタンクでないなら週一回1/3程度水換えするのを忘れずに。
というわけで我が家のメダカ飼育容器(発泡スチロールにゴミ袋を被せたもの)です。
前回の水換えから一週間程度経過しています。全体的に緑化してデトリタスが溜まっています。
ここにヒメタニシ5匹を投入して丸一日放置しました。すると以下のようになりました。
水の透明度が上がり、フワフワだったデトリタスがなんとなく凝集しているように見えます。
デトリタスが集めやすくなったのでスポイトで吸い出して足し水してみました。
デトリタスがかなり減りました。ただし足し水したときに残りのデトリタスが舞って若干透明度が下がりました。
写真のようにヒメタニシ投入で透明度の改善を考えれば結構なレベルで透明になります。
ただしグリーンウォーターの他の水槽でヒメタニシ5匹で同様の実験をしてみましたが、透明にならない水槽もありました。
どうやらエサの量が多く緑化スピードが速い場合はもっと大量のヒメタニシが必要なようです。
ただ効果がないわけではないので、ヒメタニシとスポイト掃除と水換えで結構きれいな状態を保てると思います。
まとめ【メダカのフンを掃除しやすくするならヒメタニシ・スポイト・水換え】
今回はメダカのフンを掃除するという内容を扱いました。
ヒメタニシはそこそこ優秀です。スポイト掃除と水換えを合わせて行えば結構フンの掃除がしやすくなります。
フンは放置せずに掃除するとメダカの維持向上に有効だと思います。
フン掃除したほうが元気に飼えるよ