水槽トラブル・飼育方法

黒髭苔対策のマニアックな話【砂利に生える黒髭苔は埋めるといい】

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今回は砂利に生える黒髭苔をなんとかする方法の一つとして、砂利にそのまま黒髭苔を埋めるという方法を解説します。

黒髭苔除去方法まとめ

まず黒髭苔の除去方法をまとめて除去方法の全体像をおさらいします。その後黒髭苔の生態やなぜ埋めるという方法が必要なのかという話をします。

除去方法はおおむね以下のような方法がよく挙げられます。

  • リン酸を減らす
  • 水草を植える
  • 水換え
  • サイアミーズなどの黒髭苔を食べる生体を導入する
  • 木酢液や食酢を吹きかけて枯らしてから上記以外のプラティなどの魚に食べてもらう
  • 物理的に歯ブラシなどで剥がして魚用ネットなどで除去
  • 埋める(今回解説する方法)

埋める以外の方法についてはこれまで解説しました。よろしければ以下をご覧ください。

黒髭苔を埋める方法の必要性

黒髭苔を埋める方法が必要な場合があります。砂利に発生した黒髭苔は以下の条件がそろうと埋める以外の方法での管理が難しくなるからです。

  • リン酸除去剤を使いたくない
  • 水草がそれほど役に立たない(養分吸収能力低い)
  • 水換えしても現れる
  • サイアミーズを入れると水槽の魚をいじめる
  • 酢で枯らした後の黒髭苔を魚が食べない
  • 酢で枯らした後の黒髭苔の数が膨大で手で砂利一粒一粒から剥がすのが非常に手間→これが一番の要因
  • 砂利なので歯ブラシなどの道具が使えないので一粒一粒剥がすしかない

こんな条件に合致するのが我が家のグッピー・コリドラス水槽です。

コリドラスがいるのでサイアミーズにいじめられるためコケ取り生体が導入できません。上のサイアミーズの記事では解決策としてサイアミーズだけのトリートメント水槽を運営して黒髭苔が付いたフィルターやヒーターや水草をきれいにしてもらうという方法を解説しました。

しかし砂利だけは移動させてトリートメント水槽できれいにした後に再びちょうどいいところだけ戻すというのが非常に面倒です。

この作業、想像しただけで面倒ですよね。

これをしようとすると水草を少なくして砂利だけの水槽みたいにする必要があり、そうするとトリートメント水槽は本当に道具みたいな感じになって鑑賞性がなくなってしまいモチベーションが低下します。

しかも酢で枯らす方法で枯らした黒髭苔をあんまりグッピーが食べません。赤く枯れた黒髭苔が残ります。するとそれを一粒一粒手でちぎってティッシュやバケツにくっつける作業が発生して非常に面倒です。

だって黒髭苔はたくさん生えるんですから!

そこで黒髭苔を埋めるのです。

埋めれば見えなくなります。さらにこの後で解説しますが黒髭苔は光合成で自分の養分を作ります。

つまり遮光がある程度有効なのです。

埋めれば光を遮ることができ、黒髭苔は養分を作れず成長できません。

すぐに見えなくなる・黒髭苔の成長も止まる・簡単で手間が少ない。

黒髭苔を埋めるのは理にかなった方法なのです。

なお黒髭苔にサイアミーズが不要と言っているわけではありません。我が家ではサイアミーズトリートメント水槽を運営しています。それでも砂利の大量の黒髭苔だけは管理が面倒なので埋めるという方法を解説しているのです。

黒髭苔の生態

ここからは黒髭苔の生態を解説します。これによって埋めるという方法がなぜ有効なのかという説明ができます。

黒髭苔は紅藻の仲間で光合成をする

黒髭苔は紅藻の仲間です。紅藻は海藻に多いのですが、淡水の紅藻の仲間に黒髭苔が入ります。

そして紅藻は光合成色素を持ちます。

一方、褐藻は橙色の光合成色素フコキサンチン(カロテノイドの一種)を、紅藻は赤色の光合成色素フィコエリスリン(フィコビリンの一種)をもっています。

〔……〕

フコキサンチンやフィコエリスリンは緑色の植物が吸収しにくい緑色の光を光合成に利用することが出来ます。

日本植物学会, 【第2回】海の中の赤い植物”紅藻”の謎

酢で黒髭苔を枯らすと赤くなるのはフィコエリスリンの効果なのかもしれないですね。

光合成をするということは、光合成によって自分の栄養を作るということです。

光合成するので遮光するかLEDの色を変えると成長できない

黒髭苔は光合成をするので、遮光すれば成長できなくなります。

特にフィコエリスリンは緑色の光を吸収するので、赤と青の波長のLEDだけつければ黒髭苔の成長を止めることができるはず、という視点での実験をされている方もいるようです。

参考:アクアテラリウム・ザ・ワールド, 第48回 黒髭苔撃退法

緑色の波長を吸収せず、赤と青の波長を吸収・光合成するのが緑色の水草の特徴です。

よって赤と青のLEDも照射強度が強ければ水草の光合成を阻害せずに黒髭苔だけ狙い撃ちにできるはずですね。

ただ見た目が微妙なのと、この方法で黒髭苔を減らせてもまた黒髭苔は生えてくるので、常に赤と青のLEDをつけ続ける必要があり、鑑賞性の視点で多少難しい面があります。

そこで黒髭苔だけ遮光するようなことができれば、緑色の光も防げるのでよいのではないでしょうか。

そうです。埋めることが有効という話になります。

砂利以外の黒髭苔はメンテナンスやサイアミーズトリートメント水槽で何とかなるんです。

でも砂利一粒一粒にふわふわ生えている大量の黒髭苔だけは埋めたほうが簡単で効果的なのです。

光の波長的に赤と青だけのLEDが魚のビタミン生成に悪影響があるかははっきりしない

メダカ飼育でよく言われるのは、メダカは日光を当てることでビタミンAやDがよく働くので、日光に当てたほうがいいという内容です。

メダカは日光にあたると、免疫力を高めるビタミンAと骨の形成に役立つビタミンDの吸収が促され、生存率がアップします。

GEX, メダカが孵化したらすべきたった3つのこと

哺乳類が日光浴でビタミンDを生成するのはよく知られており、これは紫外線が皮膚に当たることで発生します。

魚類も同様に紫外線がトリガーになっていると仮定できますが、以下の文献では紫外線が届かない場所に生息する魚類にもビタミンDが豊富に含まれているとする報告もあります。

まず,(1)の可能性であるが,日光中の有効紫外線は海水の表面付近で吸収されるので,D3を大量に含む魚類が棲息している水深まで殆ど到達しない.しかも,魚の皮膚中の7−DHC含量は0.1〜2μg/gとラットの1/100〜1/2000程度しか含まれていないので,皮膚でのD3の大量合成はありえず,(1)の可能性は否定された.

竹内 敦子, 魚類を中心としたビタミンDの比較生物学, ビタミン/68 巻 (1994) 2 号

メダカに当てはまるかは議論がありそうですが、仮に当てはまるとすると日光でビタミンが生成されるみたいな話は微妙な感じです。

また仮に日光でビタミンが生成されるとすると、その要因は光量に依存して赤でも青でも大丈夫なのか、紫外線だけ必要なので紫外線がほとんど含まれないLED照明では無意味なのか、日光でビタミン合成という以外に何か光でメダカが元気になる要因があるのか、疑問が色々出てきます。

ただ実際にメダカ販売店では日光でメダカが元気になるというのは経験的にある話のようで、日光とメダカには何らかの関係があるというのは間違いなさそうです。

少し話が逸れましたが、要するに黒髭苔を枯らすために赤と青だけのLED照明にすると魚のビタミン合成を阻害して魚の元気がなくなる、というのははっきりしない問題のようです。つまり元気がなくなる可能性も否定できないので、様子を見ながら飼い主の責任で実行してください。

この問題を回避するためにも照明をいじらない「埋める」という方法は結構いいんじゃないでしょうか?

実践!黒髭苔を埋める!

我が家のグッピー水槽です。

砂利の黒髭苔です。

これを箸やピンセットでググっと砂利の中に埋めます。

埋めたところから黒髭苔の芽がニョキニョキ出てくるということもなく、すぐに砂利の景観が回復します。

まとめ【黒髭苔を埋めるという方法を知っていると便利な時がある】

今回は黒髭苔をなんとかする方法を色々挙げたあとに、黒髭苔を砂利に「埋める」という方法を紹介しました。

やっていることは簡単ですし、すぐ効果が見えるので、興味がありましたら参考にしてみてください。

砂利の黒髭苔でお悩みなら参考になるかもしれません