グッピーの水換え頻度【私は週一回1/3です…】

2025年8月11日2025年11月6日

今回はグッピーの水換え頻度はどうすればいいのかという内容です。

適切な頻度を見つけるのは結構手間がかかります…

そもそもなぜ水換えするのか

詳しくは上の記事でやりましたが、主な水換えの目的を以下にまとめます。

硝酸イオンの排出
pHの調整
コケ防止
掃除

硝酸イオンの排出

水槽にはエサが毎日投入されます。

それは魚が食べて排泄物として水中に排出したり、腐敗して粉々になったりして、最終的に水中で「アンモニウムイオン」になります。

このアンモニウムイオンですが、魚に有毒です。

しかし水中では「硝化菌」と呼ばれる「亜硝酸菌」と「硝酸菌」というのが自然に増えて、「アンモニウムイオン→亜硝酸イオン→硝酸イオン」という分解（これを硝化といいます）が生じて、硝酸イオンまで分解されれば毒性はかなり小さくなります。

この一連の変換を行うのが「生物ろ過」です。

例えば投げ込みフィルターとか外掛けフィルターのろ材はフワフワしたフェルト生地ですよね。

上部フィルターにはウールマットが入っていますし、外部フィルターにはセラミックリングろ材が大量に入っています。

これらはゴミを絡め取って水槽から除去する「物理ろ過」の役割もありますが、「生物ろ過」のろ材として活躍します。

ろ材は複雑に絡まったフェルト生地の無数の表面とかセラミックの多孔質部分の無数の表面を有していて、要するに「表面積」が非常に多い素材です。

この表面積にたくさんの硝化菌が住み着いて生物ろ過をしてくれるわけです。

生物ろ過の詳細な仕組みに関しては以下の記事でも扱っているのでよろしければご覧ください。

ところがこの硝酸イオンですが、通常はそれ以上水槽内で分解されません。池や川では「脱窒」という反応で硝酸イオンはさらに分解されて水中からなくなっていくのですが、水槽内だと硝酸イオンが溜まり続けます。

硝酸イオンも蓄積しすぎると魚に有毒なので、これをなんとかして水槽外に排出しないといけません。

その操作をするのが「水換え」です。

水換えで硝酸イオンを水槽外に排出して、新しい水を入れることで硝酸イオンを薄めます。

水換えをしないと硝酸イオンが蓄積されすぎて魚に有毒なので、適切に水換えをするのは重要です。

ソイルを使うとか、硝酸イオンを分解させるコンディショナーを使えばまた話が変わってくるのですが、通常は水換えが硝酸イオンを取り除く基本となります。

より正確に水槽の状態を把握したいなら試薬があるので、それで亜硝酸イオンと硝酸イオンの変化を追いながらどのくらいの量の水換えでどのくらい除去できるのか実験することもあります。

リンク

pHの調整【グッピーの適正は中性〜弱アルカリ性です】

上の生物ろ過ですが、副産物として「水素イオン」が発生します。

アンモニウムイオンが亜硝酸イオンに変換される反応で水素イオンが発生するので、pHが下がります。

水槽のpHが下がったり上がったりする要因は多岐にわたって簡単ではないのですが、ろ過がうまくいっている水槽は基本的に硝化によってpHが下がっていきます。

魚には適切なpHが存在し、グッピーの場合中性から弱アルカリ性です。

つまり何らかの方法で下がったpHをどこかで上げないとpHの適切な値からズレて魚が弱ります。

このpHを戻す操作が「水換え」です。

水道水のpHは基本的に中性付近ですから、水換えでpHが下がった飼育水を排出してpHが中性付近の新しい水で薄めることでpHを適切な値になるように調整します。

ただ注意点としては「全換え」はやめたほうがいいということ。

飼育水を全部排出して新しい水を入れるとpHが変動しすぎてpHショックの危険性が高まる場合があります。

例えばpHが5.0の水槽があったとして、それを全換えしたらpHは7くらいに変化します。

pHショックはpHの変動が1.0程度で発生する可能性があるので、pHが低くなりすぎた水槽で一気にpHを上げると魚がpHショックで弱る可能性があります。

pHを適切な値に調整するのが水換え最大の難所

普通は週一回1/3の頻度で水換えすればなんとなくpHは適正な値になる場合が多いです。

ただしpHの降下スピードは与えるエサの量によるので（エサが多ければそれだけ硝化がたくさん起きて水素イオンが増加します）、一週間過ぎたらpHが5.0まで下がってしまって、1/3水換えしても6.0くらいまでしか戻らないみたいなこともありえます。

このペースで水換えしていくと、次の一週間でpHが4.5まで下がって、水換えで5.5までしか戻らないみたいなこともあるわけです。

このケースでは水換え頻度を高頻度にするか、水換えの量を増やすか（例えば1/2量とか2/3量にする）、エサの量を調整するために水中の魚の数を減らして週一回の水換えで収まるようにするかなどの対策が必要です。

ただし上で述べたようにpH5.0を7.0にするような水換えはやめたほうがいいでしょう。

つまりpHをこまめに測って、pHが6.3か6.4くらいになるタイミングを見つけて、そのタイミングで水換えしてみて1/3量でいいのか1/2でいいのか判断するみたいなことが必要です。

もしくは6.5とか6.6のタイミングで1/4換えてみるみたいな実験も必要かもしれません。こまめに少量水換えするというやり方をする人も割といるようです。

上の記事でやりましたが、少量のこまめな水換えでも硝酸イオンを適切な値に維持できますが、その分水道水の消費量も増えるので、お財布と相談してください。

要するにpHが致命的な値になる前に水換えして、pHが中性付近に戻る水換えの量をある程度実験で探る必要があるということです。

機械式のpHメーターもいいですが、校正が結構面倒（純水や校正液を色々操作する必要があります）なので、私は農業用のpH試薬を使って判断しています。

リンク

アクアリウム用のチェッカーもあります。

リンク

なお立ち上げ初期の水槽の場合、硝化サイクルがうまくできていないので、上の実験は硝化が十分行われる状態になってからの話となります。

なお上で書いたように、本当に細かくやるなら硝酸イオンとの兼ね合いとpHの兼ね合いの両方を考えて、水換えの頻度と量を実験する必要があり、水換えというのは結構難しい話になってきます。

私はpHだけ考えてやることも多いです。硝酸イオンは確かに蓄積されていくばかりなのですが、コケが生えたり水草が育てばそっちに移動するので、コケ落としと適切な掃除・育った水草のトリミングをすることでも除去できるからです。

高頻度水換えのコツ

高頻度水換えで重要なのは「ろ材を洗うときは飼育水かカルキ抜きした水で行う」ことと、「高頻度に全換えしない」ことの2点です。

生物ろ過は主にフィルターのろ材で行われるので、その要であるろ材をカルキが入った水道水でジャブジャブ洗うと硝化菌がほとんど死滅してしまってろ過がうまくいかなくなります。

カルキの無い飼育水か、カルキ抜きした水でろ材を「たまに」掃除します。

頻繁にろ材を洗ってもバクテリアは増えないのであまり意味ないです。ちょっと詰まってきたなくらいで掃除するのがいいでしょう。

また高頻度に全換えしないのも大事。

重要なのはpHと硝酸イオンの量なので、それは頻度によりますが1/3とか1/2の水換え量でもうまくいくことが多いです。

全換えは水道代がかかるだけなので、やらなくてもいいでしょう。

コケ防止

水中にアンモニウムイオンや硝酸イオンが増えてくるとコケが発生します。

水換えのタイミングでスクレイパーでガラス面のコケを落とします。フレックスのスクレイパーはプラスチック製でガラス面を傷つけにくいので私もずっと使っています。

リンク

ガラス面のコケ意外にも「黒ひげコケ」がやっかいな存在です。

ガラス面のコケも黒ひげコケも結局は水中のアンモニウムイオンや硝酸イオンをエサに増殖するので、水換えでエサの素を減らしてあげればコケ防止、そこまでいかなくても大繁殖の予防くらいにはなるでしょう。

長期的にリセットしないで管理できる水槽のやり方も参考にしてみてください。

掃除

色々な試薬を使ってpHとか硝酸イオンを調整できないことは無いですが、結局掃除は必要です。

コケからは逃げられないですし、フィルターのゴミつまりも直さないといけないですし、石や水草の黒ひげコケも定期的に除去しないといけません。

見栄えも悪くなるので定期的にちゃんと掃除しましょう。

大磯砂を利用している場合は底砂の定期的な掃除も大切です。たまに水換えのときにプロホースでガサゴソとやりましょう。

リンク

その他の水換えの注意点

水温を調整する

魚は±2℃の水温変化で水温ショックを引き起こす可能性が高まります。

つまり飼育水の水温に合わせて水換えしないと魚は弱ります。

ちゃんと給湯器で温水を作って、それに冷たい水道水を入れて水温を調整してから新しい水としてちょうどよい水温の水を入れましょう。

ヒーターとか水槽用クーラーが入っているから、冷たい水道水や薄めない給湯器のお湯を入れてもちょうどいい温度に調整されるだろうと考えてドバドバそういう水を水槽に入れてしまうと水温ショックの素なので注意してください。

もちろんカルキ抜きを入れるのは基本です。

リンク

エーハイムのカルキ抜きはエラ保護成分入りで塩素の害をより軽減できるためやや高額ですが我が家でも使っています。

フィルターの掃除のときにろ材を水道水で洗わない

上でちらっと触れましたが、フィルターのろ材には硝化菌が住み着いているのでカルキ（塩素）で簡単に死滅してしまいます。

フィルターが詰まってきたら、水換えのときに水槽から汲み出した飼育水を使うか、カルキ抜きした水道水で汚れを落とすようにしましょう。

薬浴中は水換えしない（薬の投与指示に従う）

普通に考えて薬浴中に水換えしたら、薬の成分が薄まって薬の効果がなくなりますよね。

魚病薬を使うときは薬のパッケージにこういう使い方をしてくださいと書いてあるのでそれに従います。

機械的に薬浴中も週一回の水換えだ！とやらないようにしましょう。

病気療養中の水換えは魚に負担をかけるのでその意味でも水換えはご法度です。

まとめ【グッピーの水換え頻度】

今回はグッピーの水換え頻度について解説しました。

pHや硝酸イオンの量と関係があるので、適切な頻度を見つけるのは結構難しいです。

ただ普通は週一回1/3くらいでうまくいことが多いでしょう。

目的を理解した上で水換えするとよりうまくいきやすいです