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今回はグッピーと水温に関して総合的にまとめるという内容です。
グッピーというのは水温の影響を受けやすい魚です。
確かに沖縄などで野良グッピーが繁殖するというニュースになるくらい「水温がそれなりにあれば」強い魚です。
でも詳細に調べていくと「ある温度範囲では生存はするけど産仔しない」とか「高水温であるほど産仔数が増える」とか「水温によってオスとメスの産まれる比率が変わる」など結構水温に敏感な魚であることがわかります。
今回の記事ではこれまでの「枝葉」に相当する記事を有機的に組み合わせて、グッピーの水温に関して注意する点を総合的に解説することを目指します。
これによって水温という色々なパターンがある要素で何℃を保てばいいのか理論的に把握できるでしょう。
まあ結論としては「熱帯魚用の26℃固定のオートヒーターが無難」という当たり前の結果になるんですけどね。なんでそうなるのか色々な要素から総合的に導いているというのが今回の記事の主テーマです。
よくニュースなどでそのへんの河川にグッピーが自然繁殖しているという話を聞きます。
沖縄では野良グッピーなどと言われているグッピーが環境に適応して繁殖しているなんて話は有名です。
グッピーは結構強い種なので、環境がそろうと野生でも生きていけるんですね。
では何℃の水温なら生存できるのか。それについて解説したのが以下の記事です。

この記事の内容を簡単におさらいすると、グッピーの生存限界は13℃以上となります。
グッピーはその生存可能な水温がほぼ13℃以上であるから,日本の野外ではおおむね越冬しえないが,長野県戸倉・上山田温泉,福島県内郷温泉,静岡県蓮台寺温泉などの湯尻で自然繁殖をしていることが山岸ら(1966,67)により報告され,さらに人為的に鹿児島県指宿混泉,静岡県畑毛温泉などで繁殖に成功した(佐々,1971).
(1) 片山 信二, 藤曲 正登, 大田原 純子, 宮本 詢子, 二瓶 直子, 白坂 昭子, 和田 芳武, 佐々 学, 千葉市葭川に見いだされたグッピーの生息環境に関する研究, 衛生動物/23 巻 (1972) 3 号
生存限界は13℃以上、沖縄県以外にも温性街の温水排水が流れる場所で繁殖した例があります。
温度環境19℃のグループの雌では,配偶後60日目までに産子した個体はいなかった(図1)。24℃,および28℃のグループでは,それぞれ10個体全ての雌が産子した。
〔……〕
温度環境28℃のグループの雌は,温度環境24℃のグループの雌と比較して有意に雄偏りに子を産んでいた(Mann-WhitneyUtest,P<0.0001;図2)。
〔……〕
また,温度環境24℃のグループの雌に比べ,温度環境28℃のグループの雌の方が産んだ子の数が多かった。
(2) 工藤宏美, 狩野賢司, グッピーの産子形質に対する温度環境の影響, 東京学芸大学紀要. 自然科学系, 2011
上の文献(2)のように、グッピーは20℃付近では産子できず、24℃以上で産子が確認されていますが、オスが少ないという結果です。
このことから繁殖まで考えると24℃程度は最低でも必要と思われます。
つまり「26℃のオートヒーターで十分」と言えます。
グッピーは水温に応じて産仔数が変化します。水温が高いほうが産子数が増えます。それについて解説したのが以下の記事です。

その根拠となる文献は「(2)工藤宏美, 狩野賢司, グッピーの産子形質に対する温度環境の影響, 東京学芸大学紀要. 自然科学系, 2011」となりますが、24℃より28℃のほうが、産子数自体が増え、オスの割合が増えます。
つまりたくさん産子させたいなら水温を28℃くらいにしておくと、低温よりたくさん産子するし、オスの割合も増えるということです。
このように,オスのオレンジ色を指標として配偶相手を選択することで,メスは息子の将来の繁殖成功,捕食の回避,餌の探索,および免疫力といった点において適応度の高い子を産むことができると考えられる。
〔……〕
以上のことから,メスは再交尾や配偶の順序,受け取る精子量の選択を通じて,精子競争に影響を与えることができ,配偶前に選り好む体色が派手なオスの子を選択的に産むという,隠れた選択を行っていると考えられる。
(3) 佐藤 綾, グッピーにおける性淘汰とオスの体色の多様性, The Japanese Journal of Animal Psychology, 68, 1, 89-97 (2018)
上の文献(3)にあるように、グッピーのメスはオスの退色などの「見た目」でオスを選択することがわかっています。
例えば水温が低い環境(24℃くらい)でオスが少ない環境より、水温が高い環境(28℃くらい)でオスが多い環境のほうがより多様なオスが配偶者候補になるので、メスはより「好み」のオスを選ぶことができ、繁殖上有利と思われます。
好みのオスを選べば捕食されにくく、エサをよく見つけられ、免疫も高い子を産仔できるので、長期的に見てその群れは長く繁栄するからです。
つまりオスが多様な群れのほうが長期的にグッピーは数を維持しやすいと言えます。特に自然環境ではそうでしょう。
まあ水槽内では外敵もいませんし、メスがどれだけ大きいかのほうが重要だったりしますけど。
以下の記事ではメスが大きいほうが産子数が増えて、そのためには高タンパク・高脂質のグッピー専用のエサが優れるという話をしました。

正直メスが大きければ卵はたくさん作られるし、オスが少なくてもそれを受精させてメスが作った卵はほとんど受精するので、オスが多様でなくても水槽内では特に影響がないように思われます。
それよりも重要なのが近親交配の世代数で、近親交配が進みすぎると繁殖力が低下してきてグッピーが維持しにくくなっていきます。
だいたい近親交配の限界は10世代くらいまでと言われています。だいたい5世代を超えたら新しい系統のグッピーを購入して水槽のグッピーに混ぜるとか、複数系統(水槽)でグッピーを繁殖させてそれをたまに混ぜるみたいなことをすれば長期間グッピーを維持できるでしょう。
ただ自然環境では「息子の将来の繁殖成功,捕食の回避,餌の探索,および免疫力といった点」は致命的な要素になるので、高水温のほうがオスが多様になってよりグッピーは繁殖で有利と言えるということです。
26℃ならオスとメスのバランスがちょうどよく産まれてくるのでやはり「26℃のオートヒーターで十分」と言えます。
グッピーは基本的にメスのほうが強いです。それについて解説したのが以下の記事となります。

簡単に内容をまとめます。
Up to 5 individuals, older than 60 days, from each of the strains were collected and held in thermally regulated 500 ml conical beakers, initially adjusted at 23℃. The water temperature in the conical beakers ware decreased at the rate of 0.5℃ per 10 min to 12℃.
(4) 藤尾 芳久, 中嶋 正道, 長浜 靖明, グッピーの低温耐性遺伝子の発見, The Japanese journal of genetics Genetics Society of Japan 65巻4号 1990年
〔……〕
The survival rate of females was higher than that of males in each of the strains.
グッピーを23℃から12℃まで10分ごとに0.5℃ずつ下げていった実験によると、どの系統のグッピーもメスの生存率が高かったという文献が存在します。それが文献(4)となります。つまりメスのほうが低温耐性が高いです。
また高温耐性はどうなのかというと以下の文献(5)がそれについて実験しています。
恒温水槽の水温は浸漬開始時を 23℃とし、 3時間後に 37℃になるように12分で 1℃ずつ上昇させた。
〔……〕
次に大型と小型を一緒にして、雌雄間の高温耐性の比較を行った (Fig.2)。Fig.2は雄よりも雌の方が死亡するまでの時間が長く、雌が雄よりも高温耐性が強いことを示している。
(5) 藤沢公忠・中嶋正道・藤尾芳久, グッピーにおける高温耐性の系統差について, 水産育種26(1998)
つまりメスのほうが高温耐性が高いということです。
これらの文献からグッピーはメスのほうが低水温・高水温に強いと言えます。
逆に言うとオスは低水温・高水温に弱いので、オスだけが死に始めるという状況になったら水温をよく確認してみるといいかもしれません。
グッピーの適温は20℃から28℃位の間と言われているので、その範囲を外れていないか確認しましょう。
産仔しないなら24℃以上が保たれているかも確認してください。
ここでも「26℃のオートヒーターで十分」と言えます。
一般にグッピーの適温は20℃から28℃位の間と言われています。でも実際24℃以上くらいじゃないと繁殖しませんし、30℃を超えるといつの間にか全滅しているというのはよくある話です。
実際我が家の水槽でもグッピーは30℃以上にひと夏放置するみたいなことをして全滅したことがあります。
繁殖する24℃以上でかつ暑すぎて死なない30℃より低温を満たすのでやはり「26℃固定のオートヒーターで十分」と言えます。
24℃以上を維持するには特に秋・冬・春はヒーターが必要です。
確かに28℃にできるならそのほうが良いですが、電気代もかかりますし、28℃を維持できるサーモスタット付きのヒーターって高額なので、26℃程度を維持できるオートヒーターで十分です。
| 水槽 | サイズ | 水量 |
| 30cmキューブ水槽 | 30×30×30cm | 約25L |
| 45cm規格水槽 | 45×27×30cm | 約29~31L |
| 60cm規格水槽 | 60×30×36cm | 約59L |
ヒーターには水量ごとにグレードが決まっているので、水槽の水量に合ったオートヒーターを選びましょう。
45cm水槽までなら以下のスダンディ120がおすすめです。サーモスタットが2段階入っており、空焚きで通電遮断されても再使用可能です(2段階どっちも働くと再使用不可)。
60cm水槽なら以下のオートヒーター160がおすすめです。
なお夏場はヒーター無しで飼育したくなりますが、白点病の増殖が止まる水温が25℃以上なので、26℃以上を保つために夏でもヒーターを入れておいたほうがいいでしょう。夏場のヒーターの必要性に関して解説した以下の記事もご覧ください。

夏は外気温が30℃以上になるので、なんとかして水槽を冷却する必要があります。

一般に水槽の冷却を行うには以下の4つの方法があります。これについては上の記事で解説しています。
どれにも一長一短あって、水槽用クーラーは人間用のクーラーより、水槽数が少ないときは電気代が少ないです。それについては以下の記事で解説しています。

水槽用の冷却ファンは水槽用クーラーよりはるかに電気代が少ないですが、室温30℃くらいのときに28℃程度を維持する能力しかないので、猛暑日だと冷却能力が足りないです。しかし逆に言うと室温30℃くらいの環境では電気代をかなり抑えて冷却できるのでそのときは重宝するアイテムです。
30cmキューブ水槽までならコトブキの104がいいでしょう。
60cm規格水槽までならコトブキの204がいいでしょう。
正直ファンなら100均のUSBファンでも十分冷却できるのですが、水槽用のものは水槽に取り付けやすい形状をしているので使いやすく、また上のコトブキの冷却ファンは104が1,698円程度、204が1,989円程度とファンの中でも安いのでチョイスしました。(価格はcharm楽天市場店の2025年9月7日の価格です)
また凍らせたペットボトルは30cmキューブ水槽以上の大きさがないとうまくいかないのですが、家にずっといる日なら低コストで水槽を冷却できます。そのやり方は以下の記事で解説しています。ただしコツがいるので自己責任でお願いします。冷やしすぎるとオスがどんどん死んでいくので調整をこまめに行うのが大事です。

今回はグッピーと水温に関して総合的にまとめるという内容でした。
グッピーは一般的な熱帯魚の適温である26℃くらいの水温を維持すればそれほど水温に関しては難しくないですが、産仔数などの注意点はあるので、参考にしてみてください。
なおグッピーは水温以外にも色々と注意点がある魚です。それについてまとめた以下の記事も参考にしてみてください。


ヒーター無しだと冬は越せないのでヒーターを使いましょう