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今回はメダカ水槽(ガラス)およびメダカ飼育容器(プラスチック製の鉢など)の掃除について網羅的に解説するという内容です。
メダカ水槽に発生する色々な汚れや有害物質
まずメダカ水槽を運営していると発生する汚れや有害物質に関する解説から始めます。
糞
糞は放っておけば分解されるだろうと考えるかもしれませんが、実際は完全には分解されず底砂や水底に分解されなかったものが堆積します。
これの何がまずいかというと、大量にあると細かく舞って鰓をふさいで酸欠にする危険性があります。
懸濁物が魚介類のえら(鰓)や気孔につまり窒息させたり,農作物の根や茎面および水生植物の葉面 に付着して枯死させたりする.
文献(1):徳平 淳, 水系汚濁について(水質汚濁と廃棄物処理), 日本機械学会誌/74 巻 (1971) 626 号
糞まみれの水底に寒い、動き疲れたといった理由でメダカがじっとしていることがあります。
そこでエラが詰まるということも無いとは言い切れません。
また糞は分解されてアンモニウムイオンになります。ろ過が十分できている水槽ならより害の少ない硝酸イオンに分解されますが、分解するバクテリアの住処が少ないベアタンク(底砂や水草無しの水槽)でのフィルターなし水槽の場合いつまでも有毒性の高いアンモニウムイオンが分解されず蓄積されるので魚に良くないです。
つまり糞を放置し続けるとメダカに良くないということです。
上の写真は発泡スチロールとゴミ袋で管理しているフィルター無しのメダカ飼育容器です。
底の糞がある程度目立ちます。飼育水も緑化しています。
コケ
メダカを飼育していると様々なコケが発生します。
- 糸状の緑色のネバネバしたコケ
- 茶色いガラス面のコケ
- 水槽を緑色に変色させるコケ
他にも黒髭コケとかアオミドロ、藍藻なども発生します。
ほとんどのコケは魚の飼育にはよくありません。
比較的無害な茶色いコケ(茶ゴケ)でも水槽の景観を悪化させ、水草の表面に繁殖して光合成を遮り水草を枯らします。
メダカは「青水(グリーンウォーター)」で飼育するとよいという話を聞いたことがあるかもしれません。
確かに青水はエサやりの減少や発色の改善などで有効なのですが、自然に緑色になった水は青水の構成要素である植物プランクトンで緑色になっているというよりは、アオミドロやドロドロしたコケで緑色になっている場合も多く、青水と思って放置していたらメダカの稚魚が全滅したという場合もあります。
つまり意図的にプロが青水を作るなら良いのですが、通常の飼育で勝手に緑色の水になったら単に良くない光合成をするコケが繁殖しているだけなので水を透明にする作業が必要です。
また色々なコケが発生し、それらを除去する方法が違うものが多いので、それぞれのコケに合わせた掃除が必要となります。
アンモニウムイオン(アンモニア態窒素)
アンモニウムイオンはエサの食べ残しや魚の糞や尿などが分解されると発生します。
毒性が比較的高く、これを生物ろ過することで比較的無害な硝酸イオンに分解します。
当サイトのいつもの話だと硝酸イオンが分解されないので水換えしましょう、という話になるのですが、メダカ飼育ではアンモニウムイオンそのものに注意が必要です。
どういうことかというと、メダカ鉢で砂やフィルターを入れないで管理すると硝化(生物ろ過)がバクテリア不足でうまく機能しません。
すると硝酸イオンまでアンモニウムイオンが分解されないので、毒性の高いアンモニウムイオンが簡単に水中に蓄積します。
きれいだな、と思って水が透明だからと1週間くらい水換えしないで放置するとアンモニウムイオンが蓄積してメダカに害となるという場合が想定されます。
1-4 尾区で,アンモニア態窒素濃度は飼育開始から上昇,7日もしくは 14日目でピークに達し,その後低下した。
文献(2):吉田 恵史郎 , 金子 豊二, キンギョCarassius auratusを用いた観賞魚を健全に飼育できる最大許容密度の推定, 日本水産学会誌/89 巻 (2023) 1 号
つまり全くの新しい水で7日エサをやってメダカを飼育すると、アンモニア態窒素(アンモニウムイオンとアンモニア)濃度が最高くらいになります。
フィルターが無い場合、ここで水換えしてもバクテリアの繁殖する場所が無いので、硝化がうまくいかず、そこにさらにエサ由来のアンモニア態窒素が蓄積するのでアンモニア態窒素の増加が止まりません。
そこで1週間に一回の水換えのときに1/3ではなく、全部新しい水にしてしまうと、再び1週間でアンモニア態窒素が最高に達します。
アンモニウムイオンが最高の状態はよくありません。
つまりメダカ飼育において週一回1/3の水換えをフィルター無し、底砂無しで実施するとアンモニア態窒素が蓄積して良くないという話になります。
1-3尾区でアンモニア態窒素濃度は7 日目もしくは14日目に最大値(2.7-3.9mg/L)を示したものの,28日目には水産用水基準を十分に満たす0.2-0.6 mg/Lにまで低下した。アンモニア態窒素濃度は,いずれの試験区においても 0-7日の期間にほぼ直線的に増加した(Fig. 2)。
文献(2)より
ここから以下の一次関数を求めてみます。
2.7=k×7
k≒0.386
つまりアンモニア態窒素の量(y[mg/L])と飼育日数(x[日])の関係は
y=0.386x
となり、ここから文献(2)にある1.9[mg/L]以下という基準を満たしてしまう日数を求めると
1.9=0.386x
x=1.9/0.386=4.9[日]
という計算がある程度成り立つと考えられます。
つまり4日でだいたいアウトな濃度になると推定され、最低でも4日に一回は水換えをしないとまずそうだという話になります。
実際はベアタンク飼育の場合、水槽内のろ過バクテリアが少ないので、4日に一回1/3程度水換えしただけではアンモニア態窒素を排出しきれないので、水換え量を4日に一回全部の水にするとか、3日に一回半分くらい水換えするとかにしないと危険と考えられます。
対策としてはフィルターを入れる、底砂を入れるなどしてろ過バクテリアを水換えで失わないような工夫をするか水換え頻度を上記のようなタイミングにするかという話になります。
メダカ水槽の掃除方法
上で挙げた3つの問題についてどうやって掃除すればいいのかという話をしていきます。
糞の掃除(ベアタンク)
糞はベアタンクの場合一週間くらいで目立つようになります。
スポイトで細かく吸い取るでもいいですが、点でしか吸い込めないスポイトでピンポイントで糞取りをするとなかなかしんどいし、全体がきれいになりません。
そこで以下を試してみました。
- 魚用ネット
- 目の細かい茶こし
魚用ネットではどうでしょうか?
魚用ネットなら比較的大きな糞はこしとれます。
しかし通常サイズの細かい糞はネットをすり抜けてしまうため、水槽全体の糞を除去できません。
では目の細かい茶こしならどうかと試してみましたが、やはり細かい糞は除去できずスリットからすり抜けてしまいます。
どうやらメダカの糞というのはかなり細かいし、伸縮性も高いようで、細かいスリットで物理的にきれいにするというのはなかなか難しいようです。
ロカボーイなどのフィルターを入れれば解決するように思いますが、それでもロカボーイから多少離れたような場所では吸い込み力不足で全体の糞を吸い取ってはくれない印象。
となると解決策は「水換えで薄める」くらいしかありません。
水換えで糞の濃度を減らすときの目安
ちょっと計算してみます。
一週間くらいで糞の濃度がKとなるとします。糞の濃度は日数に応じて直線的に増加するとします。
ある日数xでの糞の濃度yは以下のようにあらわせます。
y=(1/7)Kx
ここでx日で水槽半分の水換えをするとします。
すると濃度は(1/(7×2))Kxとなります。
それからx日経つと濃度は以下となります。
(1/(7×2))Kx+(1/7)Kx
ここで半分の水換えをすると以下となります。
(1/(7×2×2))Kx+(1/(7×2))Kx
さらにx日経って水換えすると濃度は以下となります。
(1/(7×2×2×2))Kx+(1/(7×2×2))Kx+(1/(7×2))Kx
x日がn回目のときの濃度は以下となります。
(1/(7×2^n))Kx+(1/(7×2^(n-1)))Kx…+(1/(7×2))Kx
すなわち
{(1/2)^(n-1)+((1/2)^(n-2))…+1}(1/7)(1/2)Kx
これは初項(1/7)(1/2)、公比(1/2)の等比数列の和を含むので、等比数列の和の公式から以下のようにあらわせます。
{(1/7)(1/2)(1-(1/2)^n)/(1-(1/2))}Kx={(1/7)(1/2)(1-(1/2)^n)/(1/2)}Kx
ここでn→∞の場合(1/2)^n→0なので
{(1/7)(1/2)(1)/(1/2)}Kx=(1/7)Kx
例えば糞掃除を4日の間隔で実行すると糞の濃度は(4/7)Kとなり、まあまずまずの薄さになりそうです。
では3日に一回だとどうなるかというと(3/7)Kとなります。これでもいいですね。
ただしアンモニウムイオンの増加スピードが4日に一回の全換水を必要とするので、水槽半分の量の水換えで維持するなら3日に一回の半分の水換えがよさそうです。
一週間くらいで糞が目立つ水槽の場合、糞の濃度をある程度に抑えたいなら3日に一回くらい糞掃除と水換えをセットでするとよいでしょう。
もちろん糞がまんべんなく水中を漂っていないと糞の取りこぼしが出るので、ちゃんとヒーターやエアーチューブ、水槽の壁面の糞を歯ブラシなどでこすり落として水中に糞を漂わせておかないといけません。
エアレーションの流れなどで糞が一か所に集まっている場合はそこだけピンポイントでスポイトで吸い出してから水換えすればなお糞の濃度は小さくできます。
糞が舞うと魚のエラに良くないですが、すぐ水換えで濃度が減るので大きな問題にはならないと思います。どのみち糞は除去しないといけないですし。
水換えで糞が舞いすぎるならもっと早い段階で水換えをするようにしましょう。
糞の掃除(ガラス水槽)
ガラス水槽の場合糞は底砂に蓄積されていきます。
大磯砂などの目の粗い砂利系の低床なら専用のホースで吸い出すとよいです。
砂の粒が細かくて上のクリーナーでは吸い出せない場合は、そもそもの砂の高さを5mmくらいの浅めに敷くとよいです。
溜まる場所をなくすということです。
上の写真は我が家のコリドラス・メダカ水槽です。
低床の砂を浅く敷くことで糞などの汚れの蓄積を抑えています。砂が浅いので購入する砂の量も少なくて済みます。
またそれでも溜まってしまう分は見つけたらスポイトで吸い出すとか、分解されるのを待つとか、そういう対処になります。
コケ掃除(茶ゴケ)
茶ゴケでガラス水槽ならスクレイパーを使いましょう。
我が家のように発泡スチロールとゴミ袋の組み合わせの場合スクレイパーが使えないので何らかのブラシでコケ落としをします。
これでヒーターの線とかヒーター本体、壁面、エアーホースなどをこすってコケ落としします。
糞なども舞うのでコケ落とし後に水換えします。
コケ(糸状)
アオミドロなどを含む糸状のコケは歯ブラシや通常のお掃除ブラシ、割りばしなどにからめとって、水槽の外に取り出します。
水換えと一緒にコケ取りをするとよいでしょう。
コケ(水中の緑化)
水中全体を緑色にするコケは魚用ネットでも物理的に取り除くことはできないので、水換えで取り除くしかありません。
計算は上の糞と同様に考えると、一週間くらいで緑が濃くなってきたなというくらいなら、3日に一回水槽の半分の水を換えればある程度の薄さを維持することができるでしょう。
ここまででよく出てくるのが3日に一回という数字です。
アンモニウムイオンの除去も、糞も、水の緑化も3日に一回くらいがベアタンクの目安と言えそうです。
もちろん緑化はフィルターと底砂を敷いたガラス水槽では発生しにくいので(直射日光に当てないような管理をすれば)ちゃんとフィルターと底砂を敷いていれば週一回1/3の水換えでもいいでしょう。
その他コケ(黒髭・藍藻・トロトロ)
黒髭コケや藍藻、トロトロしたコケは以下で解説したような方法で除去するとよいでしょう。
藍藻の対策としては以下のようなものが効果的と思われます。
- 水換えして栄養になるリン酸を減らす
- 遮光:光合成をさせない
- 物理的にブラシなどで藍藻を浮かせてから水換え
- どうしようもないほど蔓延ったら魚をバケツに退避させて用具を塩素系漂白剤で殺菌。後に新水に交換してカルキ抜きを入れて塩素を抜いてさらに水全部を水換え。それから生体を戻す(結果は自己責任になります)
ベアタンクの場合のアンモニウムイオン
ベアタンクだと上で述べたようにアンモニウムイオンの除去能力が低いので、3日に一回半分程度の水換えを推奨します。
硝化でアンモニウムイオンの除去をするのではなく、物理的に水換えで除去するということです。
ちゃんとしたガラス水槽でのアンモニウムイオン
フィルターと底砂を利用するならアンモニウムイオンを硝化で除去できるので、お好みのフィルターを利用してろ過バクテリアが繁殖するのを待ちましょう。
バクテリアが十分繁殖するのに2週間から1か月かかるので、それまでは繋ぎのロカボーイゼオライト入りマットでアンモニウムイオンを吸着除去するとよいでしょう。活性炭よりゼオライトのほうがアンモニウムイオンの吸着能力が高いです。
まとめ【メダカ水槽の掃除はベアタンクかどうかで変わる】
今回はメダカ水槽の掃除の方法についてその全体像を解説しました。
まとめると以下のようになります。
- ベアタンク・フィルター無しなら3日に一回糞掃除・コケ落とし・水槽半分程度の水換え
- ベアタンク・フィルターありなら3日に一回糞掃除・コケ落とし・水槽半分程度の水換え。アンモニア態窒素は低くできるので汚れが少ないならもう少し水換え頻度は伸ばしてもよい
- 通常のガラス水槽なら週一回コケ落とし・水槽1/3程度の水換え、たまに糞掃除
あとはブラシやスクレイパーなどを駆使してコケ落としを頑張りましょう。
また毎日水換えするとろ過バクテリアの繁殖が悪くなるので、通常のガラス水槽なら一週間くらい待ってからバクテリアを繁殖させて水換えしたほうがよいでしょう。もちろんあまりにも汚れるスピードが速いなら3日に一回くらいの頻度でもよいです。
汚れやコケは一週間待たずに見つけたらすぐ掃除するくらいのほうが水換えが楽になります。