スポンジフィルターと投げ込みフィルターの比較【酸素とろ過】

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今回はエアーリフト式のスポンジフィルターと投げ込みフィルターの性能を酸素の溶け込みとろ過力の二つの側面から比較してみるという内容です。

エアーリフト式のフィルター

スポンジフィルターと投げ込みフィルターはどちらもエアーリフト式のフィルターです。

エアーポンプで空気を送って、それが立ち上るときに発生する上方向への流れを利用してろ材であるスポンジやフィルターマットに水を送ることでろ過を行います。

以下は投げ込みフィルターの仕組みの概要です。

スポンジフィルターは上の②の部分にスポンジを使ったフィルターになります。

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ろ過力の比較

結局のところ、水槽のフィルターのろ過力は以下の二点でだいたい決まります。

  • ろ材表面積
  • ろ材を通る水の速さ(速ければそれだけたくさんろ過できる)

フィルターの一番の目的は生物ろ過です。硝化と呼ばれる作用が大事で、エサの分解物である毒性の高いアンモニウムイオンをより毒性の低い硝酸イオンに分解するのが生物ろ過です。

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ろ過力が高いと言われる外部フィルターでリングろ材がびっしり詰まっているのはたくさんの微細な穴が空いたろ材でろ材体積当たりの表面積を稼ぎ、それをたくさん配置することでさらに表面積を稼いでいるわけです。

ろ材表面には硝化に関するバクテリアが住み着くので、表面積が多ければそれだけバクテリアがたくさん住み着き、たくさんエサを与えて発生したたくさんのアンモニウムイオンを素早く大量に硝酸イオンまで分解できます。

スポンジフィルターにはスポンジ内に無数の小さな空洞があり、それがたくさんの表面積を稼いでいます。

また投げ込みフィルターでは、フィルターマットのウール部分の中に繊維と繊維の空間が無数にあり、そこがたくさんの表面積を稼いでいます。

結局ウールを使ってもスポンジを使っても、表面積は結構稼げているので、どちらがより優秀かと言えば水槽サイズに適合したスポンジやフィルターマットを使えばろ過は十分足りるという結論でしょう。

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ただし、スポンジフィルターはスポンジが詰まってきたら飼育水で揉みだせばいいだけなので、メンテナンス性が良いです。スポンジも再利用可能なので、スポンジに住み着いたバクテリアがリセットされることもありません。

この点で投げ込みフィルターはフィルターマットが消耗品で、使っているとトロトロになって交換する必要があり、マットを交換することでバクテリアがリセットされてしまうため、コスパと性能で言えば消耗品代が少なく、ろ材のリセットリスクも少ないスポンジフィルターのほうがやや有利かと思います。

ただ、投げ込みフィルターもその点を考慮していないというわけではなく、例えばロカボーイの交換マットにはゼオライトが入っています。

ゼオライトはアンモニウムイオンをある程度吸着する能力があるので、マットを交換してバクテリアが再び定着するまではアンモニウムイオンを処理してくれます。

ろ過力で言えばどちらもそれなりにろ過するということです。

酸素の溶け込み力

スポンジフィルターも投げ込みフィルターもエアーリフト式のフィルターなので、水中にエアーが吐き出されエアレーションを行います。

この性能についても解説していきます。

気泡径と酸素の溶出の理論式

よくエアレーションで言われることとして「泡の細かさ」が挙げられます。

泡が細かいほど水中に酸素がよく溶け込むということです。

これを理論的に表した式が以下となります。(文献(1):平山 公明, 今岡 正美, 片山 けい子, 総括酸素移動容量係数の算出方法に関する考察, 山梨大學工學部研究報告 30 94-98, 1979)

dCLdt=KLa(CsCL)

ここで各種記号の意味は以下となります。単位の表現は意味が変わらない範囲で多少変えています。

CL:水中の溶存酸素濃度[mg/L]

t:時間[s]

KLa:総括物質移動容量係数[1/s]

Cs:水中の飽和溶存酸素濃度[mg/L]、つまり水中に溶け込む酸素の限界量

この式からCLの時間変化が水中への酸素の溶け込む速さを表しており、それはKLaと現在のCLで決まります。

KLaが大きければ速く溶け込むし、CLが小さければ、つまりあまりまだ酸素が溶けていなければ速く溶け込むということです。

ではKLaはどうやって算出するかというと、以下の文献(2)で表される場合があります。

文献(2):寺嶋 光春, Rajeev Goel, 安井 英斉, 数値流体力学(CFD)を使った曝気槽の解析(下水・廃水処理技術,大気・水保全技術), 環境工学総合シンポジウム講演論文集/2004.14 巻 (2004)

KLa=KLa

KL=2κDLO2USπdB

a=6ψdB

ここから

KLa=12ψκdB32DLO2USπ

ここで各文字の内容は以下となります。

KL:総括物質移動係数[m/s]

a:単位体積あたり気泡表面積[m2/m3]

a=S/V

S:浴槽の気泡表面積の合計[m2]

V:浴槽の容積[m3]

κ:補正係数[-]

DLO2:酸素拡散係数[m2/s]、温度と圧力・何に何を拡散させるかで決まるが、ここでは定数とする

US:気泡のスリップ速度[m/s]、つまり気泡の上昇速度

π:円周率[-]

dB:気泡径 [m]

ψ:気泡のホールドアップ[-]、つまり浴槽体積に対する気泡体積の合計

色々と文字が出てきましたが、dBにだけ注目するとKLaは気泡径の3/2乗に反比例するので、気泡径が大きくなるほどKLaは小さくなり、つまり酸素の溶け込む速度は遅くなる、逆に言えば、気泡径が小さくなるほど酸素の溶け込む速度は速くなると言えます。

気泡の上昇速度も考慮した気泡径と溶出速度の関係

ただし、注意しないといけないのはUSが小さくなるとKLaも小さくなるので、気泡径が小さくなると浮力が減ってUSも小さくなるので、多少酸素の溶ける速度は小さくなります。

ではこの相互関係のどちらが優勢かという話になります。

一般に気泡の上昇速度は気泡の浮力と粘性からくる抗力によって決まります。

浮力は気泡径の3乗に比例し、抗力は気泡断面積(投影面積)、つまり半径の2乗に比例します。浮力と抗力が釣り合った終端速度は文献(3)から以下の式で表せます。

wbwl=8dBg3Cd

文献(3):橋本 康史, 垂直管内二相流における気泡群の生成挙動, 東京大学卒業論文, 2002年

ここで文字の意味は以下となります。

wB:気泡速度

wl:液体速度

Cd:抗力係数

ρ:密度差

g:重力加速度

dB:気泡径

つまりKLaUSはdBの1/2乗となり、KLa式の分子ではdBの1/2乗の1/2乗つまり1/4乗となります。

そのためKLaの分子は1/4乗、分母は3/2乗なので、1/4-3/2=-5/4乗に比例、つまり5/4乗に反比例することになり、やはり気泡径が小さいほうがKLaは大きくなる、つまり小さい気泡径のほうが酸素の溶出速度は速いと言えます。

スポンジフィルターと投げ込みフィルターの酸素の溶け込みやすさ

結局気泡が小さいほうが酸素の溶け込む量は増えるわけですが、再曝気と呼ばれる水面付近の揺れや流れによって生じる水中への酸素の供給についても考慮する必要があります。

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気泡径が小さいのはエアストーン内蔵の投げ込みフィルターです。

しかし、気泡径が小さいとフィルターが吐き出す流れは弱くなります。

そして吐き出される流れが弱くなると再曝気の量が減ります。

つまりスポンジフィルターは気泡径によって生じる酸素の取り込みは弱いが、気泡が大きいので水面付近の流れは強くなり再曝気は強くなり、投げ込みフィルターは気泡径によって生じる酸素の取り込みは強いが、再曝気は弱くなる傾向にあります。

一長一短ではありますが、それほど両者の酸素供給に差はないと思います。

どちらも酸素供給不足で発生しやすい油膜はあまり出ないので酸素供給はそれなりと思われるからです。

いいとこ取りのパワーアップパイプ

ロカボーイなどの投げ込みフィルターにはパワーアップパイプと呼ばれる吐き出し口をテトラのスポンジフィルターのような形状に拡張するパーツが売られています。