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今回は外部フィルターで酸欠になるのか、という話題に関する内容です。
水草水槽以外なら注意点さえ守れば酸欠になることはない
外部フィルターで酸欠を気にしなければいけないのは水草水槽の場合です。
水草水槽の場合、添加する二酸化炭素との兼ね合いで酸素のバランスを工夫しなければならず、ここが難しいのです。
しかしながら水草水槽以外ならちょっとした注意点さえ守れば酸欠になることはありません。
外部フィルターで酸欠になる原因
簡単に言うと、外部フィルターで酸欠になるのは「水面が揺れないとき」です。
水槽に酸素が供給される道筋は主に二つです。
- エアレーションによるブクブク
- 水面が揺れる
エアレーションするといかにも酸素が供給されているように見えますよね。
あれは空気の泡で水中に酸素を供給しているというのも多少効果がありますが、主な役割は気泡が水面に到達するときに水面が揺れてその過程で水中に酸素が供給されています。
つまり大事なのは水面を揺らすことです。
小川に酸素が供給されるのは、小川の水面が水の流れで揺れるからです。
外部フィルターというのは吐き出し口の設置方法によって水中に汲み上げた水を戻すだけという運用になる可能性があり、このとき水面が揺れないと酸欠になる可能性が高まります。
外部フィルターは水中の水を空気に触れずに水中に戻しているだけなので、こういう運用をすると酸素が入り込む余地がないのです。
水面の揺れの程度と水中への酸素供給【再曝気係数】
ちょっと専門的な話をすると、この揺れによる酸素供給というのは再曝気と呼ばれる現象で、諸説ありますが以下の式で表されることが一般的です。
tは時間、Cは溶存酸素濃度(mg/l)、k2 は再曝気係数(1/s)、Csは飽和 DO 濃度(mg/l)です。
DO濃度というのは溶存酸素濃度、つまりどれだけ水中に酸素が溶けているかという濃度です。
この式より、酸素が溶ける速度というのは、溶けうる酸素濃度の最大値と現在の酸素濃度の差が大きいほど速いとなります。つまりあんまり酸素が溶けていなければより速く溶けるということです。
また再曝気係数が大きければ速く溶けます。この再曝気係数の理論式の算出方法が複雑で諸説ありますが、以下の文献ではレイノルズ数と再曝気係数の実験が行われており、レイノルズ数が大きいほど再曝気係数が大きくなるという結果が出ています。
参考:奥野未知香, 開水路流れの再曝気に関する実験的研究, 山口大学水圏環境工学研究室
レイノルズ数というのは流れの複雑さを表す数で、大きいほど流れが複雑になります。
つまり水面が乱れていればそれだけ流れが複雑でレイノルズ数が増えるので、再曝気係数が増え、水中への酸素溶出速度が上がると言えます。
ただし浴槽に貯めたお湯を波立たせるような揺らし方よりは、浴槽のお湯をかき混ぜて流れを作るような状態のほうが酸素は溶け込みやすいでしょう。
上の文献の実験でも波というよりは流速を変えてレイノルズ数を変更しています。
水面を速い流れでボコボコと動かすような状況が酸素の溶出を促進します。
外部フィルターで酸欠にしない運用方法
ここからは外部フィルターで酸欠にしないための運用方法について解説します。
二酸化炭素の添加が不要な時
一番簡単なのは、外部フィルターの吐き出し口を水面付近かそのちょっと上に設置して、水面に吐き出した水が当たるようにすることです。シャワーパイプでもただのホースから出た水でもかまいません。
大事なのは水面が揺れることです。
心配ならエアレーションを併用してもよいでしょう。
水草水槽で二酸化炭素の添加が必要な時
水草水槽では二酸化炭素の添加が必要な場合が多いです。
このとき外部フィルターの吐き出した水が空気に触れるとそこから添加した二酸化炭素が空中に逃げます。
つまりたくさん二酸化炭素を添加しているのにその効果がなくなってしまうのです。
なので水草水槽のときの吐き出し口の正解は水面を揺らさない水面のちょっと下、つまり水面をあまり揺らさない位置となります。
ここまでの話でわかるように、こういう運用をすると水中への酸素の供給が少なくなり、魚は酸欠になりやすくなります。
ただメダカなどを飼っていると特にエアレーションなしでもフィルターなしでもメダカは生きています。
つまり水面を揺らさなくても水中への酸素供給というのはある程度あります。
水面を揺らさないから必ず酸欠になるというわけではないのです。
しかしながら水槽の魚の数が多かったり、大きな体長の熱帯魚を水槽に入れたりする場合酸素が足りなくなります。
そこでどうすればいいのかという話ですが、以下のような運用を考えたほうがいいかもしれません。
- 水草をたくさん入れてライトを強力なものにして光合成を増やして水中の酸素量を上げる
- そもそも酸素をたくさん消費する熱帯魚を入れない、あるいは魚の数を減らす
水草は二酸化炭素を消費して酸素を出すので、光合成をしている間は水中への酸素供給が増えて酸欠防止になります。
また水草水槽に入れる魚自体をコントロールするという方法もあります。
魚が少なければ、あるいは酸素を多く消費しない魚を入れれば水中の酸素の消費量が少なくなり、貧弱な酸素供給でもなんとかなります。
コンテストの水草水槽にたくさん魚が入っていない、大きな魚がたくさん入っていないのはこういう理由もあると思われます。
また光合成で酸素供給を補う方法の場合、夜間は光合成が止まります。水草は光合成しているときもしていないときも呼吸をしているので、夜間は呼吸のみの状態になり酸素を消費して二酸化炭素を放出しています。
つまり夜間に酸欠になりやすくなります。
このため夜間だけ二酸化炭素の添加を止めてエアレーションするというのが有効です。
エアレーションと照明のオンオフをタイマー式にすればある程度失敗無く運営できるでしょう。手作業で行うとたまに忘れて翌日魚が水面でパクパク酸素を求めるような場合があります。
エアレーションだけでもタイマー制にするといいです。
強力な照明
ここでは光合成を促進する強力な照明をご紹介します。
熱帯魚通販大手のcharmの情報によると60cm20W3灯以上は2400~3000lmとありますので、この光量が得られるLEDライトをご紹介します。
アクロ TRIANGLE LEDシリーズです。
まず600。これは60cm水槽用です。3000lm。
次が450。45cm水槽向け。2000lm。
次が300。こちらは30cm水槽向け。1000lm。
アクロ TRIANGLE LEDシリーズは600、450、300と数字が小さくなるにつれ照明ユニットが一つずつ少なくなりますが、その分水槽の幅も小さくなるので実質60cm20W3灯相当の光量が得られます。
なお光量が増えるとコケがすごいスピードで生えるのでスクレイパーを頻繁に使うことになるのは注意しましょう。
おすすめのスクレイパーはフレックスのものがおすすめ。スクレイパーは金属製のものが多いですが、金属だとガラスに引っかかった時にガラスが削れます。プラスチック製なら削れる心配が少ないです。
おすすめ外部フィルター
上で述べた注意点さえ守れば外部フィルターの何を選ぶかは酸欠とあまり関係はありません。
どの外部フィルターを選ぶか迷うようなら、エーハイムかテトラあたりを選んでおけばいいでしょう。
2213なら60cm水槽までカバーできます。
テトラのVX-60でもいいでしょう。
まとめ【外部フィルターは注意点を守れば酸欠になりにくい】
今回は外部フィルターは酸欠になるのか、という内容で解説しました。
基本的に水面を揺らせば酸欠になりにくいです。
水草水槽の場合は光合成の促進と夜間エアレーションで対策しましょう。
二酸化炭素を添加するかどうかで対応が変わります