コラム

水草が吸収できなかったCO2をSDGsな方法で回収する例

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今回は水草水槽で水槽の水中に添加するCO2のうち、水草が吸収できなかったものを大気に放出する代わりに何らかの方法で回収できないかという内容を扱います。

吸収できなかったCO2は大気中に放出される

普通に考えて、CO2を添加したら水中のCO2濃度は上がり、水草が光合成に使わなかった分は水中へ放出されます。

使わなかった分がそのまま水中に残っていれば、次の日もCO2濃度は高いままですが、次の日も添加しなければいけないことを考えるとある程度は水中から大気中へCO2が放出されていると考えられます。

発酵式CO2なら原料は砂糖ですから植物由来なので多少はカーボンニュートラルですが、ミドボンなどの液化CO2は製造元が石油精製や石油化学プラントで発生した炭酸ガスが原料なので、資源を無駄にしないという点ではいいのですが、地球温暖化の視点で言えば化石燃料の炭素を大気に放出していると見ることも可能です。

とはいえ、SDGsの観点で言えばこのCO2は回収されたほうが環境には優しいです。

どうにかしてこのCO2を回収できないでしょうか?

家庭レベルでCO2を回収するのはかなり難しい

CO2を直接回収するDAC

DACとは「ダイレクト・エア・キャプチャー」のことで、大気中から直接CO2を回収する方法です。

主に以下の3つの方式があります。

  • 溶液吸収(アルカリ系の液体にCO2をとらえて、加熱などで放出)
  • 固体吸着(ゼオライトなどに吸着させて、圧力で放出)
  • 膜分離(CO2だけ通す膜を使ってそこを通った気体を回収)

基本的に装置が大きくなり、ビルに一台みたいな世界にはなってきましたが、まだまだ家庭に一台というレベルの低コスト化・小型化は実現できているレベルにありません。

近い将来家庭用のDACが開発されれば、水草水槽のある部屋にDACを太陽光発電パネルの電気で一日中稼働させておけばCO2の回収は可能となるでしょうけど現在はまだその段階にはありません。

発酵式CO2添加方式で排出されるCO2を計算してみた

ミドボンのCO2量を計算するのは難しかったので、ひと月で砂糖(分子式C12H22O11)を500g使用する発酵式CO2発生装置(GEX BIO CO2)を参考にCO2の発生重量を求めてみます。

ここから高校化学の話になるので面倒な数式が並びます。結果だけ下のほうにマーカーで強調したので、そこだけ見ればいいですよ。

砂糖C12H22O11の式量は

12×12+1×22+16×11=342

よって砂糖は342g/molとなる。

砂糖500gとなると

500/342≒1.462mol

となる。

アボガドロ数を6.02×1023とすると砂糖の分子の数は

1.462×6.02×1023個となる。計算すると約8.80×1023個となる。

砂糖分子一個には炭素が12個含まれるので、砂糖500g中の炭素の数は

12×8.80×1023個≒105.6×1023

となる。

仮に砂糖500g中の炭素がすべてCO2になると仮定すると、105.6×1023個のCO2となる。

CO2の式量は

12+16×2=44

なので、44g/molとなり、44gで6.02×1023個である。

つまりCO2は6.02×1023/44[個/g]となり、105.6×1023個のCO2は

105.6×1023/(6.02×1023/44)=44×105.6/6.02≒772g

となる。

結局砂糖500gから発生するCO2は約772gである。

つまりひと月で772gのCO2を発生するので一年で772g×12≒9.3kgのCO2を何らかの方法で回収すれば帳尻は合う計算となります。

なおこれは水草のCO2吸収量を考えていないので、実際はもう少し少ない量のCO2を回収すればよいと考えられます。

家庭でできるCO2回収は「植物を育てること」

これが一番簡単なんじゃないかなと思います。

今は色々なアプリで家庭で出ているCO2の排出量を算出するものが結構あるので、その中で排出量の大きい行動を減らすとか代替するでもいいですね。

今回はわかりやすく、植物を育ててそれが光合成でCO2を吸収してくれるので、どのくらいの植物をどのくらい育てればいいのかという視点で解説していきます。

観葉植物を育てる

以下の記事によると観葉植物のCO2吸収量が明らかになっています。

【天気】晴れ。【温度】15~25度。【照度】3000~10000ルックス。【場所】窓際から1・5~2・0メートル(直射日光が当たらない位置)。

〔……〕

結果、鉢植えのLサイズ(高さ150㎝から180㎝)の観葉植物が、年間平均1,5㎏のCO2を吸収することがわかりました。

緑人, 室内の植物のCO2吸収値

室内で窓辺で日光を当てればなおCO2の吸収量は上がるでしょう。

直射日光を当てない位置での実験なので、かなり現実の室内の観葉植物の様子を表せていると思います。

この実験から上で述べた9.3kgのCO2を回収するには、Lサイズの観葉植物が9.3÷1.5=6.2個必要です。

つまり部屋にLサイズの観葉植物を6個程度置けば、発酵式CO2添加で生じたCO2を間接的に回収できていることになります。なんとなく規模感はわかりますよね。

これは窓辺から離した実験の結果から算出しているので、窓辺で太陽光をたくさん当てた植物の場合さらに必要数は減ります。

観葉植物がちゃんと部屋できれいに管理されている部屋はかっこいいので、地球温暖化対策にもなるSDGsなアクアリウムへの入り口として、部屋で観葉植物を育ててみるものいいんじゃないでしょうか?

観葉植物なら野菜ほど日光にシビアではないので、楽しみながらCO2回収ができますよ。

部屋に置ける育てやすい観葉植物3選

ここでは一例として部屋で育てやすい観葉植物を3つお示しします。参考になりましたら幸いに存じます。

まずはコーヒーの木。

水やりをしすぎて根腐れするようなことにならなければ、夏は直射日光を避けて窓辺、春と秋は日に当てる、冬はとにかく温かい部屋で10℃以上を常に保つということを徹底すればそれなりに大きく成長するので、CO2の回収に貢献するでしょう。

次がパキラ。

簡単に大きくなって、大きくなりすぎたらバッサリ切ることで再び芽が出て再成長するという強靭な観葉植物。

バッサリ切った枝は土に埋めれば新芽が出てきて増殖できます。

低コストでたくさんの鉢を増殖させたいなら便利な観葉植物です。これもコーヒーの木同様冬の寒さに弱いので10℃以上をキープするようにしましょう。

最後がポトス。

伸びてきたらツルを切って土に埋めると簡単に増殖します。

ポトスは色々なところに色々な種類のものが流通しているので、お好きなポトスを選んで育ててみてはいかがでしょうか。

パキラとコーヒーの木よりは耐寒性があり、8℃以上をキープできれば冬越し可能ですが、冬の窓辺は寒いので窓から離すなどの対策を行いましょう。

そのほか観葉植物の育て方などは検索してみてください。

まとめ【水草添加のCO2を回収するなら植物を育てよう】

今回は水草水槽に添加するCO2の吸収されなかった余りのCO2を回収する方法はないのか、という視点で解説しました。

残念ながら企業がやっているようなDACでCO2を家庭で直接回収するというレベルには時代が到達していないので、代替手段として、排出分のCO2を観葉植物などで回収してみてはいかがでしょうか。

植物を育てるのも楽しいですよ!