夏の管理

ペットボトルで水槽の水温をゆっくり下げる方法

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今回は夏場の暑さ対策として凍らせたペットボトルを利用する場合、より生体への負担を少なくして水温を下げる方法に関する内容です。

なお今回の内容はあらゆる魚種、あらゆる環境で安全であるという検証はおこなっておりません。とりわけ水質に敏感な魚の場合、失敗するリスクもあります。当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。お試しする場合は読者各自の責任においてお試しください。

なお水温を下げる方法全般はこちらの記事もご覧ください。今回はこの中でも凍らせたペットボトル特化の内容となります。

ペットボトルで水温を下げることの問題点

基本的に凍らせたペットボトルを浮かべるだけでうまくいく場合もあります。我が家はグッピー水槽で生体に問題なく水温を低下させることができました。

しかしながらこの方法はそれなりにリスキーです。

水温が急激に下がって生体ダメージが大きい場合がある

やはり凍らせたペットボトルと水槽内の水の接触面では激しい伝熱現象が生じて、ペットボトル表面がかなり低温になりますし、伝熱量も常にペットボトルの表面全体が伝熱面となり大きくなります。

つまり凍らせたペットボトルの投入は水槽全体の水温の急激な低下と、ペットボトル表面の極端な低温化を生じさせます。

これによる生体ダメージを予防するために凍らせたペットボトルの投入を推奨しないという意見ももっともです。

さらに私の経験上プレコなどの水質に敏感な魚はさらにリスクが高くなります。

以前プレコにペルチェ式水槽用クーラーを使っていたことがあるんですが、3匹いたタイガープレコが全滅したことがあります。もちろんクーラーだけの問題ではないでしょうけど水槽の底で生活するプレコですから、冷えた水が底にたまって、体調を崩したことも原因の一つと思われます。

水槽用クーラーでこの状況ですから、ペットボトルで急激に水温を下げたらいい結果にならないのは容易に想像できます。

そうはいってもお金の問題もある

しかしながら水槽用クーラーの電気代を考えると、凍らせたペットボトルにもコスト的な利点が存在します。

以下は水槽用クーラーの消費電力です。

テトラ クールタワー CR-2 NEW 定格消費電力:140W(テトラ, テトラ クールタワー CR-2 NEW

仮に一日のクーラー稼働時間を午前10時から夕方6時の8時間とします。

すると消費電力合計は

140W×8=1.12kWhとなります。

これを一か月続けると

1.12×30=33.6kWhとなります。

これを電気料金に換算すると仮に1kWhあたりの料金単価が27円/kWhとした場合

33.6×27=907.2円

となります。

今度は500mLのペットボトルを4本凍らせる場合を考えます。

冷凍庫の電気代はひと月に31Lで約286.75円です。(出典:ドコモでんき, 冷凍庫の電気代はいくら?選び方のポイントや節電方法を紹介

500mLのペットボトル4本は2Lなので2Lのペットボトルを凍らせて保管するのにかかるひと月の電気代は単純に考えて

286.75×(2÷31)=18.5円

となります。

つまり水槽用クーラーをひと月稼働させると約900円かかるところ、ペットボトルを凍らせたものを冷却に使えば(500mLボトル一本を2時間使用と想定)約18円で済みます。比率で言えば約50倍ペットボトルのほうが単純に考えてお得です。

なんとかして凍らせたペットボトルを利用できないかと考えてこれから述べる方法を考えました。

水の膜でペットボトルを覆う【ペットボトル二重化】

凍らせたペットボトルを飼育水にドボンと投げ込むときの現象を考えてみます。

仮としてドボン投げ入れ状態の、氷とペットボトルと飼育水だけの伝熱を考えます。この時伝熱素材は薄いペットボトルとなります。

ペットボトルの熱伝導率は0.24[W/m・K]くらいです。さらにペットボトルの厚さは約0.34mmすなわち0.00034mくらいです。ここからペットボトルの熱抵抗値[m2・K/W]は断熱材の厚み÷熱伝導率から

0.00034÷0.24≒0.0014

くらいとなります。熱抵抗値は値が大きいほうが断熱性能が高く、熱が伝わりにくくなります。

ここで考えたいのが、凍らせたペットボトルをそれより大きなペットボトルに入れ子にして「氷」と「冷やされた水」と「水」にした場合の伝熱です。

水が1cm(0.01m)の厚みだった場合の熱抵抗値を求めてみます。つまりペットボトルを二重にして隙間に飼育水を満たした場合。

水の熱伝導率は0.6[W/m・K]くらいなので、同様に計算して熱抵抗値は

0.01÷0.6≒0.017

つまり比較すると

0.017÷0.0014≒12

12倍ほど水1cmのほうがペットボトルの薄い膜より熱抵抗値に関しては熱が伝わりにくいといえます。

先ほどの話でペットボトルを凍らせた場合のデメリットは水温が急減する点だと言いました。

しかし水の膜で凍らせたペットボトルを覆うと、伝熱量が減ります。

つまり熱の伝わり方がゆっくりになるため水温の急減が緩やかになります。

熱抵抗値は断熱材の厚み÷熱伝導率で算出されるので、もっとゆっくり伝熱させたいならもっと大きな容器に飼育水を満たしてそこに凍らせたペットボトルを入れれば、断熱材の厚みが増えるのでさらにゆっくり熱が伝わるはずです。

この仕組みを飼育水に応用したらどうなるだろう、というのが今回の記事の趣旨となります。

簡単に言うと「蔵」の仕組みと同じです。蔵は壁が厚いので外気温が高くても断熱性能が高くなり、熱くなりにくいという仕組みを利用しています。

実際に作成したもの

今回は40cmHigh水槽(30cm×30cm×40cm)のカージナルテトラのいる水槽と60cm規格水槽のコリドラスがいる水槽で実験しました。

用意するのは100均で購入したプラスチックボックスです。これにS字フックを通して、水槽に引っ掛けます。

ボックスの中に飼育水をある程度入れ、そこに凍らせたペットボトル500mLを入れます。

※ボックスに飼育水を入れるとペットボトルを取り出したときに衛生的に気になる場合は水道水を入れるとよいと思います。

High水槽に引っ掛けたのが以下となります。

次がコリドラス水槽。

水槽に備え付けた水温計とキッチン温度計を用いて以下の6点の水温を測りました。

  • High水槽水温計:水槽内に備え付けていた水温計。ある程度ボックスから離してある
  • High水槽貯水池内:ボックス内の飼育水の水温
  • High水槽貯水池脇右:ボックス外のボックスすぐ脇(右側)の本水槽の飼育水の水温
  • コリドラス水槽水温計
  • コリドラス水槽貯水池内
  • コリドラス水槽貯水池脇左:ボックス外のボックスすぐ脇(右側)の本水槽の飼育水の水温

ボックスのすぐ脇の水温の変化が小さければ本水槽の水温の変化は緩やかとみなせます。以上の6点の水温を気温が高くなり室温が高くなったある日に計測してみました。

場所High水槽水温計High水槽貯水池内High水槽貯水池脇右
30分経過28℃24.3℃29.8℃
60分経過28℃22.9℃29.2℃
90分経過28℃23.628.7℃
120分経過28℃27.2℃28.7℃
室温は全体の時間を通して約30.6℃であった
場所コリドラス水槽水温計コリドラス水槽貯水池内コリドラス水槽貯水池脇左
30分経過29℃22.9℃29.2℃
60分経過29℃21.4℃28.9℃
90分経過28.5℃22.9℃28.7℃
120分経過28℃26.6℃28.7℃
室温は全体の時間を通して約30.6℃であった

ボックス内の水温はかなり低温になりますが、ボックスすぐ脇の水温はかなり緩やかに低下しているのがわかると思います。水量の多いコリドラス水槽のほうが、同じ冷却能力で大量の水を冷却する必要があるので水温の低下が抑えられています。

またペットボトルの冷気が維持できる時間が2時間程度というのも計算通りです。

本水槽全体の水温は28℃程度をキープするか、29℃から28℃に緩やかに低下するくらいでした。High水槽の水温計の温度が水槽すぐ脇の水温とズレていますが、水温計のメモリが大きく、2℃間隔だったので、変化が見えにくかったのかもしれません。コリドラス水槽の水温計は1℃刻みだったので、より正確な値が読み取れたと思われます。

上の表を眺めれば、水の膜22℃と30℃くらいの飼育水の伝熱が起きているのがわかります。膜が無いと0℃の氷と30℃の飼育水の伝熱だったはずです。つまり熱の伝達が緩和されています。22℃で30℃を冷ますのと、0℃で30℃を冷ますなら22℃で冷ましたほうが緩やかに冷えますよね。

なお室温が30.6℃だった日の屋外の気温は33℃程度でした。一般に夏の暑い日の気温はこのくらいの場所が多いだろうと仮定して室温30.6℃でのデータを取りました。

二重にしなかった場合との比較

30cmキューブ水槽で実験したかったのですが、余っている水槽がなかったので25cmキューブ水槽を使って実験してみました。

生体のいる水槽で実験するのはリスキーだったので、生体のいない水槽に凍らせたペットボトルを浮かべた結果を載せます。

一応水が循環するようにエアレーションをしました。

水槽はこんな感じです。

ここに凍らせたペットボトルをドボンと入れます。

計測結果は以下のようになりました。

場所水槽水温計ペットボトル近傍1cm室温
開始時29℃29℃30℃
30分経過27℃27.2℃30.5℃
60分経過26℃26.5℃30.9℃
90分経過26℃26.5℃31.2℃
120分経過26℃26.9℃31.2℃

ドボンと凍らせたペットボトルを入れると、開始30分で水温は2℃程度下がり、1時間で3度程度下がりました。上のペットボトル二重化の水の膜方式では2時間で約1℃の減少だったので、ドボンと直接水槽にペットボトルを入れると急激に水温が下がることがわかります。

二重化方式に使用した水槽は25cmキューブ水槽ではなく、それより大きな40cmHigh水槽と60cm規格水槽だったので、実際はもう少し温度変化は緩やかになると考えられますが、それなりに急激に水温が下がると予測できます。実際昨年直接40cmHigh水槽にドボンと凍らせたペットボトルを入れて冷却したときは2時間で水温2℃から3℃の低下でした。

またペットボトル周りはそんなに22℃とかの低温にはなっておらず、水槽全体の温度程度で推移しました。このことからエアレーションやろ過フィルターなどで水が循環すれば、それほど凍らせたペットボトルのすぐ脇が急冷されるという心配はなさそうです。

ただし、水槽全体の水温が急減するので、やはりリスキーではあります。

ペットボトル二重化方式だと二時間で1℃程度の緩やかな冷却となるので、この二重化方式の利点がわかると思います。

補足計算

一応次の三点に関して伝熱計算をして今回の主張がある程度正しいということを述べておきます。

  • 高温の外気(35℃)と水槽の水(28度)の伝熱量[W]
  • 外気と水槽の水の伝熱量から凍らせたペットボトルがどのくらいの時間使用可能か
  • 飼育水(30℃)と凍らせたペットボトル500mL(0℃)の伝熱

高温の外気(35℃)と水槽の水(28度)の伝熱量[W]

伝熱学の「熱通過」の理論を用います。式は以下となります。

\[Q=\frac{A(T_{h} – T_{c})}{\frac{1}{a_{h}}+\frac{\delta}{k}+\frac{1}{a_{c}}}\]

ここで

\(a_{h}\):高温流体と壁との熱伝達率

\(a_{c}\):低温流体と壁との熱伝達率

\(k\):壁の熱伝導率

\(T_{h}\):高温流体の温度

\(T_{c}\):低温流体の温度

\(A\):壁の面積

\(\delta\):壁の厚み

そして各種定数の値は以下となります。

\(a_{h}\):4.65 [W/m2・K] (参考:オリエンタルモーター, 熱通過率、熱伝達率、熱伝導率について

\(a_{c}\):405[W/m2・℃] (参考:日阪製作所, 伝熱促進について(自然対流、蒸発熱伝達、凝縮熱伝達)

\(k\):1.6[W/m・K] (参考:創建ペイント, ガラスの熱伝導率とは?結露の原因?納得解説と対処法まとめ

\(T_{h}\):35[℃]

\(T_{c}\):28[℃]

\(A\):30cm×40cm×4枚で0.48[m2] ガラスの上下の伝熱は簡単のため無視する

\(\delta\):5[mm]=0.005[m]

ここから熱流量Q[W]は

Q=Q=0.48(35-28)÷((1÷4.65)+(0.005/1.6)+(1÷405))=15.2[W]

凍らせたペットボトルがどのくらいの時間使用可能か

水が0℃から28℃まで上昇するのに必要な熱量は水の比熱を4186[J/kg・K]として500mLのペットボトルを0.5kgとして

4186×28×0.5=58604[J]

さらに氷が水になる潜熱を、0℃の氷が水になる潜熱量を333[kJ/kg]として

333000×0.5=166500[J]

よって氷が28℃の水になるのに必要な熱量は

166500+58604=225104[J]

これをすべてガラスと水槽の水での伝熱で賄うのにかかる時間は

225104[J]/15.2[W]=14800[s]=240[min]=4[h]

実際は水槽上下の伝熱も対流もあるから3時間くらい保てばいいと考えられます。

これは感覚的にペットボトル500mLで2時間という経験に合致するのではないでしょうか。少なくても単位の大きさでは大きく外れていません。

飼育水(30℃)と凍らせたペットボトル500mL(0℃)の伝熱

たいていの場合28℃の飼育水を氷で冷やすというよりは30℃くらいに温まった水を氷で冷やすので水温は30℃とします。

上の熱通過の式の各種定数を氷(0℃の水)と飼育水(30℃)の伝熱として再設定します。

\(a_{h}\):405 [W/m2・K] 

\(a_{c}\):405[W/m2・℃] 

\(k\):0.24[W/m・K] (参考:八光電機, 熱の実験室

\(T_{h}\):30[℃]

\(T_{c}\):0[℃]

\(A\):大体0.044[m2]

\(\delta\):0.34[mm]=0.00034[m] (素材はペットボトル。参考:八光電機, 熱の実験室

ここから

Q=0.044(30-0)÷((1÷405)+(0.00034÷0.24)+(1÷405))=208[W]

これらの計算から言えること

まとめると

  • 高温の空気と飼育水の伝熱量は約15[W]
  • 高温の空気と飼育水の伝熱量を凍らせたペットボトルの冷気で打ち消すのにかかる時間は約3時間
  • 凍らせたペットボトルと飼育水の伝熱量は約208[W]

このことから

  • 経験的に凍らせた500mLペットボトル一本で2時間というのはある程度妥当な結果
  • 凍らせたペットボトルと飼育水の伝熱量のほうが高温空気と飼育水の伝熱量よりはるかに大きい

つまり凍らせたペットボトルと飼育水の伝熱量が多いために水槽では、高温空気の加温を上回るスピードで一気に飼育水が氷で冷やされて急激にかなりの低温になり、氷の冷却能力が溶けて下がってきてから高温空気でじわじわ28℃くらいまで温まっていくというのがある程度理論的に説明できます。

高温空気と飼育水の伝熱はコントロールしにくいので(ただし発泡スチロールやプチプチなどで水槽周りを囲えばそれなりに伝熱スピードは落ちる)、氷と飼育水の伝熱スピードをいかに抑えるかというのが大事だと言えます。

それが今回の「ペットボトルと飼育水の間に水の層を一枚かませる」という手法につながっていきます。

猛暑日は冷却ファンと併用するとより安心

外気温35℃くらいの猛暑日になると今回の方法は室温による水温上昇効果とペットボトルによる冷却効果がトントンくらいになってしまい、冷却能力が足りなくなる場合があります。

ペットボトルをたくさん用意できない場合は冷却ファンを併用すると安心です。

熱の収支は均衡しているので、そこにさらに冷却能力を冷却ファンでプラスすれば熱は冷却側に傾きます。

以下のテトラの製品はオートサーモスタット付きで25℃くらいに冷えると冷えすぎ防止で自動停止するので安心です。

水槽用クーラーよりはるかに消費電力が少ないので補助として使うのもアリです。

ただし正直100均のUSBファンでも代用可能です。

冷えすぎ防止機能が付いている、水槽専用に作られた製品なので性能にバラツキや失敗がないというのがメーカー品の良いところです。

追記【メダカ鉢ではコントロールが難しい】

我が家はメダカも飼っているのでメダカ鉢での結果も載せておきます。

結論としてはメダカ鉢では水温コントロールが難しいという結果でした。無理じゃないけど手間がかかるのです。

実験結果【いくつかの容器で冷却結果を観察しました】

まず大失敗からご紹介します。

水の膜1cmでいいだろうと考え、2Lペットボトルの下半分に500mLの寸胴型ペットボトルを入れました。その結果が以下です。

場所鉢水温
開始時30℃
20分経過28.9℃
40分経過27.7℃
※室温は31℃程度だった。

開始40分で2.3℃水温が低下してしまいました。ペットボトル内の水が水温変化の緩衝材なので、これが少ないとペットボトルをドボン投げ入れ状態と同じような感じになってしまい、危険ということがわかりました。

次がもう少し大きな100均の収納ケースに入れた場合。

場所水槽水温計容器内水温備考
開始時30.6℃
20分経過30.3℃
40分経過29.8℃
60分経過28.9℃ペットボトル撤去
80分経過28.9℃23.6℃
100分経過28.9℃26.5℃
120分経過29.2℃28.1℃
※室温は33℃程度だった。

伝熱面を減らして伝熱を少なくするために、100均のコの字型の部品でペットボトルを底上げして、収納ケースの下を少しだけメダカ鉢に入れるようにして、収納ケースの半分くらいまで緩衝用の水が溜まるようにして実験しました。

40分で0.8℃の減少でした。しかし開始1時間で1.5℃の減少となり、冷えすぎたのでペットボトルを除去して収納ケース内の冷えた水だけで冷却しました。すると水温がある程度の水温で維持されるくらいの結果になりました。

次が観賞用の水が多いほうがもっとゆっくりになるんじゃないかと考えて緩衝用の水を収納ケースギリギリまで入れて実験してみました。

場所水槽水温計容器内水温備考
開始時30.9℃29.2℃
20分経過30.3℃20.4
40分経過29.5℃18.6℃ペットボトル撤去
60分経過28.7℃21.0℃
※室温は30.6℃〜32.6℃だった。途中で夕立があって室温が下がった。

40分で1.4℃の減少、60分で2.2℃の減少となってしまいました。

この実験結果から言えること

まず緩衝用の水が少ないと、急激に水温が下がってしまうので、ある程度の量が緩衝用の水として必要です。

またメダカ鉢は水量が40cmHigh水槽とか60cm規格水槽より少ないので、冷やす対象の水が少なく、簡単に冷えてしまうため、500mLのペットボトルでは溶けるまで放置するのは危険という結果となりました。

そのため開始20分から40分くらいは水温をこまめにチェックして、0.7℃~1℃程度の水温変化でペットボトルを収納ケースから抜く操作が必要です。

一般に水温ショックと言われる、水温の急減で魚の元気がなくなる温度範囲がプラスマイナス2℃以上と言われているので、2℃下がってからでは遅いと思われます。

ペットボトルを抜いても収納ケース内の低温の水は残るので、これによる冷却も考慮して0.7℃~1℃程度水温が下がったらペットボトルを抜くような運用が必要と思われます。冷却された収納ケース内の水による冷却効果も考えると0.7℃低下くらいでペットボトルを抜いたほうが無難です。

1℃下がってしまった場合は、収納ケース内の水が23℃以下くらいだと水温がさらに下がっていくので、収納ケースごとメダカ鉢から撤去するなどの工夫が必要と思われます。

また室温の変化にも結構影響を受けます。緩衝用の水を収納ケースギリギリまで入れたときは途中で夕立が来て室温が2度ほど低下しました。すると緩衝用の水を半分くらいしか入れないときより冷却スピードが上昇して、早く冷えてしまいます。

これはやはりメダカ鉢の水量が少ないことに起因すると考えられます。

なおこれを改善するなら500mLペットボトル内の水を半分くらいに減らして冷却源を少なくするとか、伝熱面を減らすためにより細いペットボトルを使うとかが考えられますが、手元にないので今回はこれ以上の実験はしないことにしました。

なお現在の私の運用方法としては氷が水槽内にあるのがダメっぽいという結論の下、水槽の外で収納ケースに水道水を3分の1くらい入れて、凍らせたペットボトルをそこに入れ、水槽の外で冷たい水を作って、その冷たい水が入った収納ケースだけメダカ鉢に入れるという運用になっています。水温23℃くらいの水だけなら冷却能力はペットボトル入りより小さいので、多少ゆっくり冷えるだろうとの方針です。まあぬるくなった水をまた冷却するので1時間に1回くらい作業しなければいけませんが…。

この場合0.5℃くらい下がったら冷却源は撤去します。エアレーションがちゃんとしていないと温度ムラができてよくないのでエアレーションされているか要確認です。水温30℃程度ではやらないほうがかえってメダカが弱らない感じなので室温35℃とかの超酷暑以外ではペットボトル冷却はしていません。

メダカは35℃くらいでも元気な場合が多いので無理して冷却する必要はあまりありません。

メダカ鉢の場合、読者の方それぞれの環境で伝熱を微調整する必要があるので、もしペットボトルで冷却したいならご自身でいろいろと調整してください。

追記【2024年は夏越えできました】

2024年の40cmHigh水槽と60cmコリドラス水槽はペットボトルと冷却ファン中心の冷却管理をしたところ何とかほとんど減らずに夏越えできました。

まとめ【ペットボトルを入れ子状にするとゆっくり冷える】

今回はペットボトルで水槽の水温を下げるときに、直接凍らせたペットボトルを投入するよりも緩やかに水槽の飼育水を冷却する方法として、凍らせたペットボトルを入れ子状にするという方法を紹介しました。

ここまでやるなら室内をエアコンで直接冷やしたほうが手間が無いような気もしますが、電気代も値上がりしている昨今、電気代を少しでも減らす方法にも一定の需要があるように思われます。

今回の方法は100均のプラスチック容器に飼育水を入れて、そこに凍らせたペットボトルを浮かべるだけです。方法自体は単純で簡単です。

低予算アクアリウムでの何らかの参考になりましたら幸いに存じます。

夏休みの自由研究みたいだったね。それなりにうまくいってよかったね!