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上部フィルターにエアレーションは必要?普通は不要

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今回は上部フィルターにエアレーションは必要なのかという話題に関する解説です。

目次

結論:水面が揺れればエアレーションは基本的に不要

当サイトでは過去に外部フィルターのエアレーション効果について解説しました。それが以下の記事になります。

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この中で水流などで水面が乱れていれば「再曝気」という原理で水中に酸素が供給されるという話をしました。

上部フィルターでも汲み上げた水が上部フィルターから水面に落ちることで水面が揺れるので再曝気の原理で水中に酸素が供給されます。

おすすめ上部フィルター

45cm規格水槽なら以下の上部フィルターがおすすめ。

トリプルボックス450は普通の上部フィルターです。吐き出し口がそのまま落水するわけではなく、L字の吐き出し口になっていて、より水面を揺らすことができます。

60cm規格水槽のおすすめ上部フィルターは以下となります。

トリプルボックス600は普通の上部フィルターです。450の60cm規格水槽バージョンですね。

もしフレームレス水槽に上部フィルターを使いたいならGEXの製品(デュアルクリーン)がかろうじて使えます。

ただ上に置けますが、伝い漏れの懸念はあるので注意してください。

60cm規格水槽向けのフィルターは他にもあるので、フレームレス水槽で無理して上部フィルターにするメリットはあまりありません。

60cm規格水槽向けのフィルターに関しては以下の記事でまとめています。

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それでもエアレーションが必要になるケース

確かに再曝気によるエアレーション効果によって水中に酸素が供給されるのですが、いわゆるエアーポンプとエアストーンによる「ブクブク」で水中に酸素を供給したほうがいいケースも存在します。

過密飼育

過密飼育の場合再曝気だけだと酸欠になる可能性があります。

例えば当サイトではメダカの屋外飼育において、風による再曝気だけでメダカが何匹飼えるのかという内容で解説しました。それが以下の記事です。

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この中で風速6m/s程度の場合、飼育できるメダカは0.75[匹/L]程度となりました。

上部フィルターの再曝気による酸素供給量がこれと同等程度と考えてみて、例えば各種水槽サイズを考えてみます。

水槽サイズ水量
30cmキューブ水槽30×30×30cm約22〜24L
45cm規格水槽45×27×30cm約29~31L
60cm規格水槽60×30×36cm約59L

30cmキューブ水槽の場合23L程度ですから、0.75×23≒17匹程度が適正匹数になります。

これを超える過密飼育の場合酸素の量が足りなくなる可能性があります。

これはメダカの話でしたが、金魚を例に考えるとさらに状況は深刻です。金魚の体長SL[mm]と体重BW[g]の関係式は以下となります。

BW=0.00004×SL2.9327 (R2 =0.9412)(参考:吉田 恵史郎 , 金子 豊二, キンギョCarassius auratusを用いた観賞魚を健全に飼育できる最大許容密度の推定, 日本水産学会誌/89 巻 (2023) 1 号)

ここから体長5cmの金魚の体重は以下と推定されます。

BW=0.00004×(50)2.9327≒3.8[g]

これらから魚の標準代謝に要する酸素消費量RO(O2-ml/s)は
RO=0.0070w3/4……(6)
で表される。

〔……〕

これより,養魚1尾当たりの酸素消費量は概ね標準代謝で消費される酸素量(6)式の1 – 5倍程度であることが分かる。

石田 善久, 木村 晴保, 養殖魚の魚体長と魚体重,放養密度および酸素消費の関係, 水産工学/39 巻 (2002-2003) 2 号

上の文献ではwは魚体重(kg)とされています。

ここから5cmの金魚の酸素消費量は以下となります。

RO=0.0070(0.0038)3/4≒1.1×10-4[ml/s]

だいたいこの5倍消費されると考えて5.5×10-4[ml/s]となります。

メダカの酸素消費量が1.36✕10-4[ml/s]程度だったので、金魚の酸素消費量はメダカの約4倍程度。

つまり30cmキューブ水槽の場合17匹程度の1/4の4匹程度までが再曝気で飼育可能な匹数となり、これを超えると上部フィルターだけの酸素供給では不安になります。

30cmキューブ水槽と45cm規格水槽ではそれほど水量が変わらないので、45cm規格水槽でも4〜5匹を超える匹数をブクブクなしに飼おうとすると酸素供給からやや不安です。

実際は「体長1cmに飼育水1L」の法則から45cm規格水槽で飼える金魚の限界は6匹と出てきます。それについて解説したのが以下の記事です。

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つまりなんにせよ適正匹数を超える匹数を飼おうとすると酸素供給の面から上部フィルターだけで飼うのは推奨されず、ブクブクによるエアレーションで酸素を補う必要があるということです。

おすすめのエアーポンプとエアストーン

基本的に「水心」というエアーポンプと「いぶき」のエアストーンを選んでおけば間違いないです。

SSPP-3Sは60cm水槽まで使えるパワフルさと、30cmキューブ水槽でもエア量を調整できる機能付きというメリットがあり、静音性も高いのでおすすめのエアーポンプです。

いぶきのエアストーンは細かい泡が出ると言われていて、以下で解説しますが泡は細かいほうが酸素供給能力が高いのでおすすめです。

エアーチューブは以下のソフトタイプが曲げやすくて使いやすいです。

固くなりにくいシリコンタイプもあるのでお好みで。

ブクブクでも酸素は供給される

よく「水面が揺れるから酸素が供給される。ブクブクは酸素をほとんど供給しない」という主張がなされることがあるのですが、細かい泡でシュワシュワやると結構酸素は供給されます。

まず泡が細かいほうが酸素はよく溶け込むという話が以下の記事です。

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次がエアレーションしたときとしないときの酸素供給量について解説したのが以下の記事です。

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この中で再曝気だけの酸素供給量は0.00028[mg/L/s]程度と見積もられ、エアレーションするとこれが0.009375[mg/L/s]程度まで上昇するので、0.009375÷0.00028≒33倍酸素が供給されます。

エアレーションしなくていいなら浄化槽などの中でエアレーションなんてやらずに水面を水中ポンプで撹拌するだけでいいはずです。

あえてエアレーションでブクブクとブロワーでやるのはそれだけブクブクに酸素供給能力があるからです。

浄化槽の中の浄化用のバクテリアは好気性微生物ですから酸素が必要で、酸素供給にブクブクが使われているわけです。

だから水槽のブクブクにはちゃんと意味があります。

キンペコなどの酸素を多く必要とする魚

キンペコなどのプレコはエアーがシュワシュワした流れのある渓流のような場所で暮らしていると言われています。プレコに水流が必要という内容で解説した以下の記事も参考にしてみてください。

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つまり上部フィルターで再曝気だけで酸素供給をしようとすると、プレコの場合はやや不足気味になります。

上で述べたようにエアレーションしたほうが再曝気より酸素はよく溶け込むので、プレコを元気に飼いたいならエアレーションを追加することを考えたほうがいいでしょう。

例えば以下のプレコブリーダーの方の動画ではディフューザーとエアレーションでシュワシュワの水槽を作ってキンペコを飼育しています。

泡が酸素を供給しないならディフューザーで泡を水中に送り込むことに意味はないはずです。なのにディフューザーが酸素供給の手段としてアクアグッズに長年存在するということは泡をシュワシュワすることにエアレーション効果があることの証明ではないでしょうか。

なお60cm規格水槽向けのエアレーション機器については以下の記事で解説しているので参考にしてみてください。

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夏はブクブク推奨

過密飼育でもない、キンペコの飼育でもないような酸素をそれほど要求しない環境でも夏はブクブクによるエアレーションを推奨します。

というのも夏は水温が上がるため、水中に溶け込む酸素の限界値である飽和溶存酸素量が減少します。

また再曝気・エアレーション双方の手段で酸素供給スピードが減少します。メダカの話ですがそれについて解説したのが以下の記事です。

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夏は酸欠になりやすいのでエアレーションしたほうが魚に有益です。

なお水温30℃を超えると多くの熱帯魚は調子を崩すので、クーラーなどで冷却するのは基本です。水槽の飼育水の冷却に関して書いた以下の記事も参考にしてみてください。

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まとめ【上部フィルターにエアレーションは場合によっては必要】

今回は上部フィルターにエアレーションは必要なのかという話題に関する解説でした。

基本的にエアレーションは不要ですが、無いよりはあったほうがいいです。

また過密飼育やキンペコなどの酸素を多く必要とする魚の場合は別途ブクブクでエアレーションをして酸素を補ったほうがいいでしょう。

特にプレコの飼育ではエアレーションを追加しましょう

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