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今回はメダカに酸素供給としてのエアレーションがなくても飼育は可能なのかという話をします。
ただ結果としてはタイトルの通り「非推奨」です。
エアレーションに関してはネット上にもたくさんの意見があります。
ただ、一概に「不要」とは言えない理由もあります。ここからは上の様々な意見に対して注意点を述べていきます。
確かに水草を入れておけば日中は水草の光合成によって酸素が供給されます。
熱帯魚飼育でも水草水槽においては日中は水草から酸素が供給される、エアレーションは光合成のためのCO2が抜けるという理由からエアレーションせずに光合成による酸素供給のみで魚を管理します。
ただ上の記事でもやったのですが、夜間は水草やろ過バクテリアが呼吸を行うので酸素が消費されます。
しかも光合成が止まって酸素が供給されないので酸素は減る一方です。
そのため以下の2つの場合に分けて考えて方がいいでしょう。
水面付近に風が吹くか、水面付近に水流があると再曝気という現象によって水面から水中に酸素が供給されます。
この現象によって屋外飼育の場合夜間でも酸素が供給される場合が多いのでエアレーションは無くてもいい場合があります。ただ後述する魚の数や水深や水温なども考慮して総合的に判断する必要があります。
屋内飼育の場合ですが、これは風がほとんど吹かない、水面付近に水中ポンプなどで水流を作らない場合がほとんどですので、エアレーションを推奨します。魚・水草・ろ過バクテリアという3つの生命体が酸素を消費して、酸素の供給源もほぼ無いからです。
上の水草の話を同じなのですが、水面に風が当たるか水面に流れがあれば酸素が供給されます。これは水面の面積が広いほどたくさん供給されます。
なので屋外飼育で広い水面なら風が吹いて酸素がそれなりに水中に溶け込むのでエアレーションは不要な場合があります。
ただ注意点としては魚の数や水深や水温に注意しましょう。
魚が多すぎれば酸素を消費する生命体が多くなって水中の酸素が足りなくなる可能性があります。
水深が深すぎると水面が広くても酸欠になります。
どういうことかと言うと、水面から水中に酸素が溶け込んでも、水深が深いと深い部分には酸素のある水が行き渡らないのです。酸素は水面付近にばかり多くなり、水深の深い部分は酸素が薄くなります。風が吹いても水面しか水が動かないので深い部分と浅い部分の水の流れができにくいんです。
メダカは夏の場合暑すぎる場所よりは多少涼しい場所に移動します。温かい空気が上へ登るように温かい水も密度の関係で上へ登るので水深の深い部分は冷たくなります。するとメダカは涼しさを求めて水深の深い部分に移動してそこは酸欠なわけです。
するとメダカが酸欠になって死んでしまいます。なので以下の記事で言っているようにメダカの水深は20cm程度までを推奨します。
また水温も大事。水中に溶け込む酸素の最大値である飽和溶存酸素量は水温が高くなると減ります。
水中の飽和溶存酸素量と水温の関係
25℃→8.11[mg/L]
36℃→6.94[mg/L]
参考:株式会社エム・システム技研, 溶存酸素計のはなし, 閲覧日:2023-01-12
ただし上限となる酸素量が減るだけです。つまりいくら風が吹いても夏場は水中に溶け込む酸素も限界値が低くなるということです。
これの何がまずいかというと、たくさんメダカを一つの容器に過密飼育している場合です。いくら風が吹いてもマックスの酸素量が制限されるので冬は大丈夫でも夏は酸素が足りなくなるという場合が想定されます。
これらから魚の標準代謝に要する酸素消費量RO(O2-ml/s)は
RO=0.0070w3/4……(6)
で表される。〔……〕
これより,養魚1尾当たりの酸素消費量は概ね標準代謝で消費される酸素量(6)式の1 – 5倍程度であることが分かる。
石田 善久, 木村 晴保, 養殖魚の魚体長と魚体重,放養密度および酸素消費の関係, 水産工学/39 巻 (2002-2003) 2 号
上の文献ではwは魚体重(kg)とされています。
メダカ1匹の体重は以下の文献から算出します。
その関係式は雌雄によつて多少異なるが雄ではW=0.00002597L2.933,雌ではW=0.00001212L3.183である。ただしWは体重(g),Lは体長(mm)である。
久保 伊津男, 櫻井 裕, メダカの計測, 魚類学雑誌/1 巻 (1950-1951) 5 号
メダカの体長を3cmとするとメスを想定して
W=0.00001212✕(30)3.183≒0.61[g]
ここから(6)式より
RO=0.0070w3/4=0.0070✕(0.00061[kg])3/4≒2.72✕10-5[ml/s]
この量の酸素がメダカ1匹によって消費されると考えられます。多めに見積もってこの5倍なので13.6✕10-5[ml/s]と考えます。
酸素は1.4289[g/L]程度です。(参考:株式会社オーバル, 密度表)つまり1.43[mg/ml]程度。
13.6✕10-5[ml/s]は19.5✕10-5[mg/s]程度となります。
ではエアレーションによってどのくらい酸素が溶け込むのかという計算をしてみます。
以下の文献を参考にします。
参考:諏訪 友則, 脇本 辰郎, 加藤 健司, 井口 学, 円筒浴内水中への酸素溶解効率に及ぼす空気吹込み方式の影響, 実験力学/18 巻 (2018) 2 号
この文献によるとFig.12の図から底面からエアレーションした場合の(CGs - CG)/( CGs -CG0)は300[s]で約0.1なので、300[s]で溶け込んだ酸素量は10倍に増えています。係数Cの単位は[kg/L]です。
一般的に魚などの生体に適切な溶存酸素量は、常温で5〜7ppmといわれています。
株式会社イワキ, エアーポンプ用語解説
25℃のときの飽和溶存酸素量8.11[mg/L]なのでCGsは8.11[mg/L]とします。[ppm]=[mg/L]と考えて、魚の適切な溶存酸素量を5[mg/L]とします。
ここでエアレーションするとどうなるかという話をします。
(CGs - CG)/( CGs -CG0)=0.1
として
(8.11 - CG)/(8.11 -5)=0.1
(8.11 - CG)=0.1✕3.11
-CG=0.1✕3.11-8.11
CG=8.11-0.1✕3.11≒7.8[mg/L]
つまり7.8-5=2.8[mg/L]酸素が増加します。
メダカの飼育容器としてテトラ じょうろでキレイメダカ鉢 40を考えると水量は8Lです。
この場合エアレーションによる酸素の増加は2.8✕8=22.4mg酸素が増加します。
これは300[s]での話なので
22.4/300≒0.075[mg/s]の酸素増加になります。
19.5✕10-5[mg/s]がメダカ1匹の酸素消費量と計算しました。
ここから何匹のメダカが酸欠にならずに呼吸できるか計算すると
0.075÷0.000195≒385匹
とりあえずエアレーションしておけば酸欠にはならなそうです。
エアーポンプでおすすめなのは水心です。静音性がそれなりに高く、流量調整機能付きで30cm〜60cm水槽まで使えるので一家に一台あると便利です。
エアストーンはいぶきのものが泡が細かくて酸素の溶け込みが良いです。
エアーチューブはオールシリコンのものが固くなりにくいです。長い目で見るとお得です。
以下の記事の数式を再掲します。
ここでk2は再曝気係数です。
以下の文献を考えます。
参考:細井 正延, 石田 昭, 井本久 仁吉, 溶存酸素量に及ぼす波浪の影響について, 海岸工学講演会論文集/23 巻 (1976)
この中で表1の最も風が弱いu25=6.12[m/s]のときのk2を載せると7.88[1/day]となります。
つまり7.88/(86400[s])≒9.12✕10-5[1/s]
つまり酸素の変化量は9.12✕10-5[1/s]✕(8.11 -5[mg/L])≒0.00028[mg/L/s]
くらいとなります。8Lの水槽を仮定すると8倍して0.00224[mg/s]の酸素増加です。
0.000195[mg/s]がメダカ1匹の酸素消費量としたので、何匹住めるかと考えると
0.00224÷0.000195≒19[匹]
ただしこれは一日中風速6[m]で再曝気した場合を想定しているので、この風速が自然界で一日の1/3程度吹くと考えると
19/3≒6[匹]
このくらいが8Lの水槽で屋外飼育でエアレーション無しに飼える目安と計算できます。
まとめると以下が言えそうです。
上の計算でやったように風まかせの屋外飼育では6/8=0.75[匹/L]くらいが酸欠せずに飼えると考えられます。
屋内飼育では風が無いのでエアレーションが必須とはいえ、屋外飼育でもこのくらいを目安にすれば飼えると思います。
こう考えると「1匹に1L」という経験則もある程度正しいようですね。
上でやったように風が吹いても0.75[匹/L]くらいにしておいたほうがいいんじゃないかと思います。
確かに飽和溶存酸素量は水温が高いほど減ります。
冬はたくさん容器に過密飼育できても夏は少なめの匹数にしておいたほうがいいでしょう。
たとえ屋外飼育でも0.75[匹/L]くらいがいいんじゃないでしょうか。
酸素云々の前に40℃くらいに水温が上がるとメダカの生存適温から大きく外れるので高温対策は必須です。
すだれや遮光ネットなどで高温対策しましょう。
上の記事でやったのですが、高頻度水換えで酸素供給をやろうと考えてみると、水道水の溶存酸素量が5[mg/L]程度と考えられます。
まず、DO値の測定結果から、すべてのサンプルの水においてDO値が5 mg/L以上であることがわかった。
木村 憲喜, 中村 文子, 身近な水道水や池, 河川水の溶存酸素量(DO)と化学的酸素要求量(COD)の測定, 和歌山大学教育学部紀要. 自然科学, 2023
0.000195[mg/s]がメダカ1匹の酸素消費量と考えられます。ここで以下のサイトを参考にしてみると4[mg/L]くらいまでギリギリ生存できると考えられます。
一般に多くの魚は溶存酸素量が5mg/L以上の水中に生息し、その下限は3~4mg/Lと言われています
株式会社共立理化学研究所, AZ-DO-溶存酸素キット0112-5×4Pプロテックス様OL
つまり1[mg/L]減る状態でマズい状態になるわけです。水槽の水量を8Lとすると8mgの酸素が消費されるとまずいことになります。
メダカの酸素消費から
8÷0.000195≒41025[s]≒683[分]≒11[時間]くらいがメダカ1匹で限界まで酸素を消費します。
つまり11時間に一回メダカ1匹飼うのに一回水換えしないといけないわけです。2匹だと5.5時間に一回、4匹だと2.75時間に一回です。
あまり現実的ではありませんね。一匹だけ飼育するなら一日2回毎日水換えすればなんとかというところでしょうか。水道代でエアーポンプが買えると思います。電気代も水道代よりはかからないと思います。
風が屋外でよく吹けば大丈夫かもしれませんが屋内では辛いと思います。
結局エアレーション無しで飼えるシチュエーションは以下となります。
この条件がすべてそろった時がエアレーション無しでメダカが飼えるときと言えそうです。
これ以外では水草を入れた屋外過密飼育なら夜間にエアレーションするとか、屋内飼育なら一日中エアレーションするとかが必要です。
できれば難しいことをしないでエアレーションしたほうが早いです
エアーポンプでおすすめなのは水心です。静音性がそれなりに高く、流量調整機能付きで30cm〜60cm水槽まで使えるので一家に一台あると便利です。
エアストーンはいぶきのものが泡が細かくて酸素の溶け込みが良いです。
エアーチューブはオールシリコンのものが固くなりにくいです。長い目で見るとお得です。
エアレーションの泡が細かいほうが酸素がよく溶け込むという内容は以下の記事で解説しています。