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今回は水草の光合成の仕組みを解説して、「そもそも光合成しにくい・しやすい水草の種類」「光合成しにくい水草の光合成を活発にする方法」「光合成しやすい水草の光合成をより活発にする方法」について解説します。
水草の光合成
水草は植物なので光合成をします。光合成の仕組みはかなり複雑ですが、水草の育成に重要な項目に絞って解説していきます。
二酸化炭素と水から酸素と炭水化物を作る
光合成の化学反応を大きな枠で考えると以下の化学反応式になります。
6CO2+12H2O+光エネルギー→(C6H12O6)+6O2+6H2O
二酸化炭素と水から炭水化物と酸素と水が発生する過程となります。
ちなみに発生する酸素は二酸化炭素の酸素由来ではなく、水由来となっています。
ただこの反応式は大枠を示しているだけで、実際はもっと複雑な反応をたどります。
光合成の変数
光合成の量を変えうる変数となる環境要因として以下があります。
- CO2濃度
- 光量
- 温度
上の3つは一つでも量が適切でないとそれが限定要因になって光合成速度が上昇しなくなります。限定要因になっている項目レベルの低速の光合成速度になるということです。
これにプラスして水草の光合成に影響を与える変数は以下となります。
- 流速(陸上植物では風)
- 無機養分
- pH
これにプラスして陸上植物特有の変数は上のほかに以下があります。
- 湿度
- 土壌水分
ただし水草では常に周りに水分があるのでこの変数は関係ないので今回は割愛します。
そもそも水草はC3?C4?CAM?
植物は光合成の仕方によって以下の3種類に分けられます。
- C3植物
- C4植物
- CAM植物
簡単に言うとC3植物はカルビン・ベンソン回路だけでCO2固定を行う植物で、C4植物はこれ以外のCO2取り込み経路がある植物です。C4植物のほうがCO2固定能力で優れる場面が多いと言われています。
CAM植物はCO2をどう取り込むかというところに特徴がある植物で、湿度の高い夜に気孔を開いてCO2を取り込んで蓄えて、乾燥する危険な日中は気孔を閉じて蓄えたCO2でカルビン・ベンソン回路でCO2固定を行う植物です。水草にもCAM植物のような種がいますが今回は割愛します。
C3植物は低CO2環境での適応性が悪く、CO2濃度(正確には酸素O濃度と二酸化炭素CO2濃度の比)が光合成の阻害要因になりがちです。
精製酵素のカルボキシラーゼ (C) 活性 とオキシゲナーゼ (O) 活性 は互いに他の基質 (O2とCO2) により競合阻害され, 活性化因子 (CO2, Mg2+お よびRuBisCOアクチベース) も共通するので, 同じ活性中心の触媒反応である.
金井 龍二, 光呼吸 植物自身の排気ガスによる光合成炭酸固定阻害の対応策, 化学と生物/41 巻 (2003) 6 号
要するに低CO2環境では相対的に酸素Oの濃度が上がり、オキシゲナーゼ (O) 活性(光呼吸)が優位になってカルボキシラーゼ (C) 活性が低下するということです。
するとCO2固定が十分行われなくなり、光合成の効率が低下します。
カルビン・ベンソン回路を回すにはカルボキシラーゼ (C) 活性が必要なので、これが阻害されるためにCO2固定を行うカルビン・ベンソン回路が十分働かなくなるわけです。
水草はC3植物が多いので、低CO2環境で光合成を十分できずに阻害要因になりがちなのでCO2を添加しましょうという話になります。
水生植物の多くは C3植物であることから,高 CO2に対する生長反応は大きいと考えられる(Poorter,1993).
望月久美子, 及川武久, 広田充, 李載錫, 鞠子茂, アオウキクサの生長に及ぼす CO2濃度と温度の影響, 筑波大学陸域環境価究センター報告 No. 3 115~119 (2002)
なおCO2濃度はある濃度以上では光合成速度が上昇しなくなります。ただし自然環境中のCO2濃度はCO2濃度の上限から見ればかなり低濃度となっています。だから添加する必要があるのです。
ただし水中CO2が高濃度すぎると水草水槽の場合生体に害があるので、高濃度すぎない濃度で調整する必要があります。
またオキシゲナーゼ (O) 活性は高温でも活性化するので高温ストレスを与えないようにするというのも必要です。
光呼吸を引き起しているRubiscoのオキシゲナーゼ活性はO2/CO2濃度比によって決まるが,両気体の溶解特性の違いによりこの濃度比は温度上昇にともなって高くなる。その結果光呼吸は高温になるほど促進される。
〔……〕
光合成の最適温度域もC4植 物(30~40℃)がC3植物(20~30℃)よりもおよそ10℃高い。
白岩 立彦, C3およびC4イネ科植物の生産生態と環境適応性, 芝草研究/32 巻 (2003-2004) 2 号
つまり水草が入っている水槽の水温は一般的な熱帯魚の飼育適温である26℃程度なので光合成の最適温度となります。
夏の猛暑で水温が30℃以上になる場合、最適温度から外れるので光合成が阻害されます。
C4植物が光合成で優れる理由
ちなみにC4植物が光合成で優れるという話は上の酵素云々の話に関係しています。
光を強くすれば光合成速度は上がるのですが、CO2濃度が限定要因になってある強さの光以上では光合成速度が上昇しなくなります。
強光下でもCO2がたくさんあればこの限定要因を突破してさらに光合成速度を上がることができるのですが、C3植物では盛んな光合成で植物周囲のCO2濃度が減少し、オキシゲナーゼ (O) 活性が優位になり、CO2を添加しない場合それ以上光合成速度が上がりません。
ところがC4植物はカルビン・ベンソン回路以外のCO2取り込み経路があって、CO2を体内で濃縮するような機構となっており体内で高CO2濃度となるためオキシゲナーゼ (O) 活性が優位になりにくく、低CO2濃度でも光合成が阻害されにくく、C3植物よりCO2固定を盛んに行います。
水草にはC3とC4両方の特性を使い分ける種がある
水草の中には状況に応じてC3とC4の植物の両方の特徴を使い分ける種があります。
なんとあの金魚藻である「オオカナダモ」(アナカリス)です。ほかにもそういう水草はあるのですが、オオカナダモの仲間の話をするにとどめます。
少なくとも3種類の淡水性単子葉植物(クロモ Hydrilla verticillata, オオカナダモ Egeria densa, カナダモ Elodea canadensis ; すべてトチカガミ科 Hydrocharitaceae)は,生育環境のCO2濃度が低下すると,〔……〕C4植物類似の特徴を示すようになる
徳富(宮尾) 光恵, 深山 浩, C3植物へのC4光合成回路の付与可能性, 問題点, そして展望, 化学と生物/43 巻 (2005) 10 号
上のクロモに関しては夏にC4植物のような機構に切り替わるのですが、その理由は以下となると考えられています。
夏期, 水草が過繁茂した日中の水中では, CO2濃度の低下とO2濃度の上昇が起こる. このようなC3光 合成にとっては不良な水中環境に対する適応戦略として,クロモはC4有機酸代謝を働かせているものとみることができる.
上野 修, 環境への適応からみた植物光合成代謝系の多様性と進化, 化学と生物/37 巻 (1999) 7 号
つまりアナカリス(オオカナダモ)はCO2濃度が低いときはC4光合成みたいなことをするのでCO2を添加しなくても光合成が阻害されにくく、それなりの温度でそれなりの光を当てるだけでそれなりに光合成すると考えられます。
実際アナカリスの育成では高濃度のCO2は必要ありません。
とはいえすべての水草がオオカナダモのようなC4の特徴を持っているわけではなく、多くはC3植物なので結局CO2の添加をしないとCO2が限定要因になって光合成が頭打ちになります。
カルビン・ベンソン回路
一応今回の記事は光合成の仕組みの解説なので重要な要素である「カルビン・ベンソン回路」についても簡単に解説します。
カルビン・ベンソン回路の大まかな構造は以下の画像のようになります。
本当はもっと細かい反応があるのですが、大枠では上のようになります。
順に説明していきます。
まずCO2は葉緑体に取り込まれるとストロマと呼ばれる部位で炭素数5(C5)のリブロースビスリン酸(RuBP)と結合して炭素数3(C3)のホスホグリセリン酸(PGA)となります。
RuBP + CO2 +H2O → 2 PGA
その後ATPをADPにする反応や還元型酵素X・2[H]をXにする反応などを経て炭水化物などの有機物を作ります。このXですが、NADPと呼ばれています。2[H]というのは水素イオンH+二つから成るということを表しています。
そしてATPを利用して再びRuBPを再生します。ここまでをカルビン・ベンソン回路と呼びます。
6分子のCO2を取り込んで1分子の6炭素化合物(C6H12O6)を生じる反応です。それを大まかにまとめた化学式は以下となります。
6CO2 + 18ATP + 12(X・2[H])→(C6H12O6) + 18ADP + 12X + 6H2O
ここで最初に示した光合成の反応式を再掲します。
6CO2+12H2O+光エネルギー→(C6H12O6)+6O2+6H2O
実際はATPや(X・2[H])を必要とする複雑な反応です。
なおATPと(X・2[H])がいきなり出てきましたが、これは葉緑体のチラコイドと呼ばれる部位で光を利用して発生する「光化学系Ⅱ」と「光化学系Ⅰ」という反応を利用して生成されます。複雑なので今回は割愛します。
光量
植物は光合成でCO2を取り込んでO2を放出しています。逆に呼吸もしていてO2を取り込んでCO2を放出しています。
これが拮抗してCO2の収支がプラスマイナスゼロになる光量を補償点と呼びます。補償点以下だと植物は生存できません。
それよりも光を強くしていくと光合成速度が上昇していき頭打ちになる光量に到達します。この光量を光飽和点といいます。
光飽和点は植物によって異なります。
光飽和点が高い植物は陽性植物といいます。
逆に光飽和点が低い植物は陰性植物といいます。陰性植物は一見光合成能力が低いように見えますが、その分呼吸量が低くなっているので弱い光でも呼吸によるCO2排出が少なく、見かけの光合成速度が低下しにくいので補償点よりも光合成速度が大きくなりやすく生存できます。
つまり陰性植物は弱光でも生存できるのです。その分光合成能力も低く成長は遅いわけですが。
水草に当てはめてみると陰性植物はミクロソリウムやアヌビアスナナなどの陰性水草が該当します。
陽性植物はロタラやグロッソ、ヘアーグラスなんかが該当すると思います。
陽性植物の光合成速度は呼吸量が多いので上昇にはそれなりの光量が必要です。なので陰性ではない水草を育成するなら光量の強いライトを入れないと補償点も高いのでなかなかちゃんと生存させることが厳しくなります。
温度
光合成は温度の影響も受けます。
低温から加温していくと光合成速度は上昇します。
ただ温度を上げれば光のように光飽和点のような一定値で高止まるわけではなく、過度の高温では光合成速度が低下します。
これは上の高温でオキシゲナーゼ (O) 活性が活性化しCO2固定能力が低下するという話も関係してきます。
流速
陸上植物では光合成でCO2が葉の気孔から取り込まれて植物に固定されるので、気孔周りのCO2濃度は重要です。濃度が高ければそれだけたくさんCO2を取り込んで光合成が盛んになるからです。
光合成量は風速とともに増加し,風速が50~60cm/secで最大となり,約40mgCO2/100cm2.hr. を示した後,緩やかに減少し,200cm/sec. では最大値の約85%の34mgCO2/100cm2.hr. に低下した。
〔……〕
この理由は風速が大きくなると境界層が薄くなり拡散抵抗も小さくなってCO2拡散は容易となるが,他 方葉内の水分子の拡散一蒸散一も容易となる。そのため葉内水分が少なくなり,光合成量が低下するためと考えられる。
矢吹 万寿, 宮川 秀夫, 風速と光合成に関する研究 (第2報) 風速と光合成との関係, 農業気象/26 巻 (1970-1971) 3 号
陸上植物には気孔があり、気孔からCO2を取り込んでいます。風速が高くなるとCO2の拡散抵抗が小さくなってCO2がより葉で移動するようになります。つまり葉緑体まで容易にCO2が届き光合成が活発になります。
しかしながら風速が上がると蒸散も活発になり葉の水分が低下するので、植物としては干からびまいと気孔を閉じるのでCO2の取り込みが低下します。気孔が閉じるとCO2が取り込めないからです。
そのため風速はある速度までは光合成を促進しますが、それ以上では光合成能力が低下します。
というのが陸上植物の話ですが、水草ではどうかというと、水草(特に完全に水中にいる沈水植物)には気孔がなく、葉の表面から直接CO2を取り込みます。
つまり気孔云々の話は当てはまらないわけですが、水草水槽のCO2のストーンの位置はフィルターの吸水口付近とか、水流でCO2が乗る位置と言われています。
水草が光合成すると葉の表面付近ではCO2が取り込まれてCO2濃度が低下します。ここに程よい水流が当たれば新しいCO2が豊富な水が供給されるのでCO2濃度が低下せずに新たな光合成をすることができます。
CO2濃度が高ければオキシゲナーゼ (O) 活性が低下し、カルボキシラーゼ (C) 活性が優位になりやすいので光合成が活発になります。
つまりCO2を水草に添加するときは水中にCO2が行き渡るように流れがある程度あったほうがいいでしょう。強すぎる流れは水草の鑑賞性を損なったり抜けたり、魚が洗濯機状態の水流で体力を奪われたりするので、ほどほどがよさそうです。
無機養分
水草は二酸化炭素と水で酸素と炭水化物を作るわけですが、当然他にもいろいろな養分が必要です。
一般に植物に必要な栄養素は必須元素と呼ばれています。17種類あります。
必須元素は直接光合成に利用しないものもあるでしょうけど、植物が健康に生育できないと光合成もできないので、結果的に光合成には必須元素が必要です。
このうち比較的大量に必要なものを多量元素と呼び以下が該当します。ちなみにCとHとOは水とCO2から獲得します。それ以外は土壌から吸収しています。
- 炭素C
- 水素H
- 酸素O
- 窒素N
- リンP
- カリウムK
- 硫黄S
- カルシウムCa
- マグネシウムMg
また必要量が比較的少ないものを微量元素と呼び以下が該当します。
- 塩素Cl
- ホウ素B
- 鉄Fe
- マンガンMn
- 銅Cu
- 亜鉛Zn
- ニッケルNi
- モリブデンMo
水草では水中から獲得する必要があるわけですが、当然魚のエサだけでは偏りが出てきてしまいます。
魚のエサは魚粉や昆虫などから構成されており、土の成分がそのまま同じ比率でエサに含まれているわけではありません。
窒素とリンくらいならエサ経由で水草に取り込めますが、例えばカリウムなどはエサだけでは不足します。
そのほかの微量元素に至ってはエサだけでは不安が相当増します。
そこでソイルの出番です。栄養系のソイルを選べば、微量元素がブレンドされており、必須元素の不足を回避できます。例えば以下のリベラソイルなら微量元素配合と商品説明にあります。
ソイルは土を焼き固めたものに色々な栄養素をブレンドしたものなので水草育成にはソイルを使うのが妥当なところとなります。
もちろん大磯砂などの低床でも育成できないことはないです。
ただしその場合大磯砂などの砂利や田砂などの砂では栄養がほとんどないので、色々と必須元素の不足を液肥などで補填してあげる必要があります。
例えば以下の液肥では必要な栄養素を相当カバーしているような文言が添えられています。
各種ミネラルを含有し、水草の生長に必要な全ての栄養素が水草の葉に速やかに直接作用します。
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pH
水草は種類によりますが、基本的に重炭酸イオンではなくCO2をメインで取り込んでいると言われています。
光合成の炭素源としては炭酸ガスなのか重炭酸イオンなのか論じられてい る26)−30) が,水中炭素源はpH5以下では大部分が 二酸化炭素の形でpH8付近では大部分が重炭酸イオンの形で存在すること31) ,オオカナダモの光合成速度はpH8以上ではほとんど見られずpHが低下するにつれて速くなる27) ことなどから,二酸化炭素が光合成の炭素源として利用されている事を示唆すると考えられる.
正元 和盛, 竹市 稜子, 坂田 孝久, 西田 成一, 葉緑体デンプン観察のためのオオカナダモ葉・ヒャクニチソウ葉細胞の素材開発と理科教員実技研修での活用, 熊本大学教育実践研究 第32号,39−49,2015
pH5から8の間で光合成の炭素源はCO2と重炭酸イオンHCO3–となりますが、基本的にCO2メインで光合成に利用するので、pHが中性より高いとCO2が使えないので光合成が弱くなる種もいるということです。
② pH:水草は比較的広範囲のpHで生育可能であるが,pH4以下では生育が抑制され,pH3.5では根の細胞分裂や伸長がpH5の場合の半分以下に損なわれる18)。
沖 陽子, 水生雑草ホテイアオイをめぐる諸問題, 農業技術協會 農業技術 35巻11号 p. 495-501 1980年
このようにpHが低すぎると生育そのものが抑制されるので光合成の土台となる植物体が成長できないため、葉も成長せず、光合成能力も頭打ちになります。
つまりpHは高すぎても低すぎてもダメで、適切なpHがあるということです。一般には弱酸性から中性と言われています。
例えば熱帯魚通販大手のcharmのサイトによれば、アヌビアスナナ、ロタラ、ヘアーグラスそれぞれの適切なpHの目安を以下のように示しています。(参考:charm楽天市場店)
- アヌビアスナナ:pH → 5~7.5
- ロタラ ロトンディフォリア コロラタ:pH → 5~7pH
- ヘアーグラス ショート:pH → 5~7
- バリスネリア スピラリス:pH→6~7.5
だいたい弱酸性から中性ですね。
ただしバリスネリアはpHがややアルカリ性寄りになっています。水草ごとに適切なpHが微妙に違うので購入前にpHの条件を把握しておいたほうがいいでしょう。
水草を育成したくなったら色々な種類があるので調べてみましょう。
以下の熱帯魚通販大手charmなら品ぞろえも品質も良いです。
charm楽天市場店そもそも光合成しにくい・しやすい水草の種類
ここまでの話から光合成しやすい水草の特徴は以下となります。
- C4光合成能力を持っている:低CO2環境でも光合成能力が高い
- 陽性植物:光飽和点が高く、強光でも光合成速度がどんどん上がる
逆に光合成しにくい水草の特徴は以下となります。
- 陰性植物:光飽和点が低く、光を強くしても光合成速度が向上しない
光合成しにくい水草の光合成を活発にする方法
結論から言うと光合成しにくい水草の光合成を活発にする方法はほとんどありません。
CO2を添加しても多少光合成速度が向上するだけで、光量が限定要因になってしまって光合成速度は上がりません。
光合成を活発にするには光とCO2と温度の条件すべてが整っていないといけないわけで、一つでも条件が悪いと悪い条件なりの光合成速度にしかならないのです。
陰性水草は気泡を見るというより、ライトの光量が低くても育成できる水草として価値があるでしょう。
ミクロソリウムセミナローならちょうど30cmキューブ水槽くらいの水槽高さでも天井を超えることが無く、低光量のライトでも育成できて使いやすいです。
光合成しやすい水草の光合成をより活発にする方法
上で述べたように、陽性植物の光合成はCO2が限定要因になりがちなので、適切な量のCO2を添加するのが第一歩です。CO2は水流に乗せる位置にストーンを配置して水槽によくCO2が行き届くようにします。
水温も適温を守り、高光量が確保できる強力なライトを使います。以下はアクロのコスパが良いと言われている製品です。光量が強く、水草育成に向いています。
また必須元素の不足を起こさないように、液肥やソイルを利用します。
上の水草一番サンドは栄養系ソイルですが、微量元素についてはパッケージで示されていないので、心配なら上の液肥と併用するといいかもしれません。
pHも水草に合わせた値にします。アルカリ寄りが好きな水草なら石を入れたりサンゴ砂を入れたりして調整します。それ以外ならソイルを使うとよいでしょう。水質を弱酸性にする効果があります。
弱酸性にするソイルなら上の水草一番サンドのほかに以下のようなものもあります。栄養系ではないので液肥の使用も検討してください。
アルカリにしたいなら以下のろ材なら外掛けフィルターなどのろ材に使えてpHの降下を抑制できるので使いやすいかもしれません。
サンゴ砂でもいいですが、量は様子を見ながら調整しましょう。
アクアリウムでのCO2添加方法には大きく3つあります。
- ボンベ式
- 化学式
- 発酵式
ボンベ式はちょっと間違うと中身が一気に抜けてボンベが無駄になる可能性がありますが、流量調整がしやすいです。
化学式と発酵式は徐々に反応が進むので一気にCO2ボンベが無駄になることはないです。100均の材料が使えるためランニングコストが低いなど利点はありますが、化学式は化学反応なので結晶ができたりして掃除が面倒だったりします。
発酵式は自作もできるくらい仕組みが簡単です。自作の場合はペットボトルと砂糖とドライイーストで作成可能です。ただ発酵は生物の反応なので室温の影響を受け、CO2発生量を細かく調整するのは難しいです。
一長一短なのでお好みで選んでください。
まずはボンベ式。以下のセットなら一通り入っています。
次が化学式。こちらも一通り入ったセットです。
こちらは高級な発酵式。耐圧容器で流量調整機能付きなので使いやすいです。安全弁(高圧になったらCO2を逃す)付きで安心です。高級なだけはあります。
夜間は特にCO2を出しっぱなしにすると光合成で消費できないのでCO2中毒になりやすいため、夜間は添加を止めてエアレーションする方がよいでしょう。
まとめ【光合成の仕組みから水草の光合成を活発にする方法】
今回は水草の光合成の仕組みを解説しました。
光合成を活発にする変数について色々と項目を挙げました。
結論としては水草育成でよく言われていることを理論的に再発見するような内容となりました。
ちょっと水草に詳しくなるくらいの解説になったのではないかと愚考します。
光合成は結構複雑な仕組みです