水槽トラブル・飼育方法

水換えを毎日少しずつ行うと硝酸塩濃度はどう推移するのか

水槽トラブル・飼育方法

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今回は水換えを毎日少しずつ行う場合硝酸塩濃度がどうなるのかという話題に関する内容です。

毎日少量水換えしたときの硝酸塩濃度がどう推移するか理論的に計算してみました。

水換えに関する流派

水換えに関しては3つの流派があります。

  • 毎日少量水換えする←今回の主テーマ
  • 週一回1/3程度水換え
  • 一月に一回半分程度水換え

まずそれぞれの流派のメリットデメリットを簡単にご説明します。

毎日少量水換え

毎日少量水換えするときのメリットはなんと言っても「手間が少ない」という点です。

汲み出す水も少なければ、投入する水も少ない。

週一回1/3水換えすると例えば30cmキューブ水槽の水量が23Lくらいですから、7Lくらい水換えする必要があります。

水槽サイズ水量
30cmキューブ水槽30×30×30cm約22〜24L
45cm規格水槽45×27×30cm約29~31L
60cm規格水槽60×30×36cm約59L
スクロールできます

60cm規格水槽だと、20Lも水換えしないといけません。10Lのバケツをマックスまで入れて、それを洗面台まで2往復区しないといけないわけです。

10Lの水は約10kgですから、相当重いきつい作業となります。

これが例えば毎日水量の1/21の少量水換えだとしますと(1/3を7日で割りました)、30cmキューブ水槽では23Lの1/21で約1L、つまり1kgで済むわけです。

60cm規格水槽なら水量60Lとして約3Lで済みます。つまり3kgです。

つまり少量を高頻度で水換えすると水換えの「最大筋肉使用量」が少なくなり、女性や高齢者や子供の筋力でもなんとか日々のお世話ができるという点が毎日少量水換えする最大のメリットとなります。

ただデメリットもあって、私はコリドラスの繁殖を数年やっています。

この中で稚魚の白カビを防止するために毎日2回少量(水槽水量の8分の1くらい)水換えしています。

そうしないとアルテミアという粉みたいなエサから白カビが発生して稚魚が水カビ病で死んでしまうからです。水換えのたびに水底のゴミをスポイトで吸い出したり、ガラス面のコケ落としをして管理しています。

これである程度白カビが防げるのですが、やはり週一回1/3の水換えもさらにしています。

どうしてかと言うと、細かいゴミというのはフィルターとかヒーターの隙間にどうしても絡まって留まるんですよね。

だからそれらを「大掃除」してきれいに磨いて水槽をきれいに戻すというお世話がどうしても必要で、その過程で水槽内にゴミが結構舞いますし、そもそも毎日少量水換えしても水の透明度が次第に下がっていくんですよ。濁っていくんです。

これを週一回1/3の「大掃除」水換えできれいにします。水をある程度多めに抜くことで浮遊したゴミを多めに取り除けますし、水の透明度もいっきに多めのきれいな水が入ることで回復します。

少量の高頻度の水換えは濁りやゴミの除去という点で若干不安があります。ベアタンクの場合の話なので、水草やソイルを使っていないのでこの結果なんでしょうけど、高頻度の水換えにもこうしたデメリットが発生する可能性があるということは知っておいたほうがいいでしょう。この問題に関しては今回の記事の別の章で取り扱っているのでそちらもご覧ください。

また高頻度の水換えのデメリットとしてよく挙げられる「バクテリアが少なくなる」という話はあまり気にしなくていいと思います。

高頻度水換えで問題なのが「少量ではなく大量に」毎日水換えした場合です。確かにろ過バクテリアが増えてきているのにその水をいっきに毎日ゴッソリ捨てていればバクテリアの定着は遅くなります。

ただ毎日少量水換えすれば増えてきたバクテリアがゴッソリ無くなるということはないのであまり問題ありません。

ただ当然ろ材のスポンジなどには普通に週一回1/3の水換えと同じ量のゴミや汚れが溜まっていくのでフィルターの掃除は週一回とか月一回にちゃんとやらないといけません。

毎日大量に水換えするのは「ブリーダー」とか「業者」の人がやるプロのテクニックです。

アンモニウムイオンが出るなら毎日大量にそれを排出してきれいな水を足せば溜まる前に全部除去できるでしょ、バクテリアとか考えなくていいよねという理屈です。ただ加減が難しいので普通の飼育ではおすすめしません。水道代もすごくかかりますしね。

週一回1/3の水換え

これは基本的な熱帯魚飼育方法として多くのアクアリストが取り入れている基本的な方法です。

硝酸塩の除去やゴミの排出もできて水槽の水質も改善されます。またpHの維持にも有効です。いっきに水を抜くのでいっきに多めに新しいpHが整った水を投入でき、pHの硝化による下がり過ぎを防止できるというメリットもあります。

デメリットは上で述べたように「結構筋力を使う」という点。

60cm規格水槽では10kgの水を洗面台と2往復する必要があり、すごく重いです。

これで「つらい、もうやりたくない」となって心が折れる人もいるかもしれません。

それを回避するには例えば5Lだけ水を抜いてそれを4往復するとか「回数」でなんとかするしかないのですが、それだけ手間がかかります。

一月に一回半分程度水換え

これはあまりおすすめしません。特に水質の変化に敏感な熱帯魚には厳しいです。

  • pHが下がりすぎる
  • 汚れが大量に放置されて水質悪化
  • 硝酸塩も蓄積

硝化によってpHは日々どんどん下がっていくので、放置するとpHが下がりすぎて水質悪化に耐性のあるフナとか和金くらいならなんとかなりますが、普通の熱帯魚には過酷な水質になります。

また汚れも長期間排出できないので、こまめにスポイトで吸い出すとかしないと汚れが溜まって熱帯魚の死亡率が上がります。

フィルターのろ過が完成していても硝酸塩は多めに蓄積するので(後の章で計算します)水質悪化に耐性のある魚しか生存できません。

唯一のメリットが「水換えの手間が少ない」という点。月一回頑張れば後は放置で良いです。和金とかフナなどの丈夫な魚を飼うなら手段としてアリかもしれません。

毎日少量水換えする時の硝酸塩濃度の変化

過去に週一回の水換えをしたときの硝酸塩濃度を計算した記事を書きました。

このときの硝酸塩濃度Nの収束値は水槽で一日の硝酸塩濃度の増加量k、x日で水換えを定期的にするとした場合以下となります。

N=2kx

ただこれは毎回1/3の水換えをした場合の収束値なので、今回は毎日1/8の水換えをした場合と、月一回1/2水換えした場合の計算をしていきます。

毎日1/8の水換えをした場合

一日目で

N=k

となります。

これが水換えによって

N=(7/8)k

となります。

次の日は

N=(7/8)k+k

となります。

これが2日目の水換えで

N={(7/8)^2}k+(7/8)k

となります。

n日目では

N={(7/8)^n+(7/8)^(n-1)+…+(7/8)}k

となります。

これは

N=kk=1n(78)k

となります。

初項(7/8)、公比(7/8)の項数nの等比数列の和の公式から

N=k×78{1(78)n}178 =k7{1(78)n}

(7/8)は1より小さいので、nが増えれば増えるほど、第2項のnの累乗は小さくなっていく。

ここで第2項はnが増えるほど小さくなっていき、最終的にn→∞なら限りなく0に近づく。つまり

N=7k

にどんどん近づいていく。

つまり硝酸塩濃度Nはある値に収束する。それは

N=7k

である。

●一応毎日1/14のさらに少量の水換えをした場合の計算もします。

一日目で

N=k

となります。

これが水換えによって

N=(13/14)k

となります。

次の日は

N=(13/14)k+k

となります。

これが2日目の水換えで

N={(13/14)^2}k+(13/14)k

となります。

n日目では

N={(13/14)^n+(13/14)^(n-1)+…+(13/14)}k

となります。

これは

N=kk=1n(1314)k

となります。

初項(13/14)、公比(13/14)の項数nの等比数列の和の公式から

N=k×1314{1(1314)n}11314 =k13{1(1314)n}

(13/14)は1より小さいので、nが増えれば増えるほど、第2項のnの累乗は小さくなっていく。

ここで第2項はnが増えるほど小さくなっていき、最終的にn→∞なら限りなく0に近づく。つまり

N=13k

にどんどん近づいていく。

つまり硝酸塩濃度Nはある値に収束する。それは

N=13k

である。

月一回1/2水換えした場合

月一回1/2水換えした場合

30日目で

N=30k

となります。

これが水換えによって

N=30k✕(1/2)

となります。

次の30日は

N=30k✕(1/2)+30k

となります。

これが水換えで

N=30k{(1/2)^2+(1/2)}

となります。

n回目では

N=30k{(1/2)^n+(1/2)^(n-1)+…+(1/2)}

となります。

これは

N=30kk=1n(12)k

となります。初項(1/2)、公比(1/2)、項数nの等比数列の和です。

すなわち等比級数の和の公式から

N=30k×12{1(12)n}112 =30k{12(12)n+1}

(1/2)は1より小さいので、nが増えれば増えるほど、第2項のnの累乗は小さくなっていく。

ここで第2項はnが増えるほど小さくなっていき、最終的にn→∞なら限りなく0に近づく。つまり

N=30k

にどんどん近づいていく。

つまり硝酸塩濃度Nは水換え回数nが増えるにつれてある値に収束する。それは

N=30k

である。

3つの流派の硝酸塩濃度の比較

週一回1/3の水換えの場合収束値は

N=14k

毎日1/8の水換えの場合収束値は

N=7k

毎日1/14の水換えの場合収束地は

N=13k

ひと月に一回半分の水換えの場合の収束値は

N=30k

意外に高頻度で少量水換えしても週一回より少ない硝酸塩濃度に維持できるようですね。

また週一回1/3の水換えに相当する毎日の水換え量は1/14程度と考えられます。7日続けると1/2の水量の水を換えることになるので、経済性で言えば週一回1/3の水換えに軍配が上がります。あくまで水換えの労力負担を多少減らすという点で毎日少量水換えするといいでしょう。

高頻度の少量水換えをよりうまく運営する方法

基本的に底砂を入れておけばある程度硝酸イオンの蓄積や濁り問題は解決します。

底砂があれば水カビの発生がある程度抑えられます。底砂に汚れが埋まって底砂の中で分解されるのである程度野ざらしにエサがベアタンクで溜まってカビるのを防げるのです。すると水中の濁りが抑えられます。

もちろん食べ残しがあればエサの量を見直したり、食べ残しをスポイトで回収するという手間も必要です。

まあコリドラスの稚魚育成では水槽の底に溜まったアルテミアを食べてもらわないといけないのでこの手法は使えませんが…。

またソイルを入れておけばイオン交換の性質があるのでアンモニウムイオンや硝酸イオンを吸着して水中から除去できます。

するとより長期間水換えしなくてもある程度水質を維持できます。水中の硝酸イオンの蓄積がある程度防げるからです。

またソイルにはpH緩衝という性質もあるので、pHの下がりすぎを抑えることも可能です。

もちろんコケは生えるので定期的に掃除する手間はかかります。

ソイルは1年に一回くらい交換が必要です。

また水草を植えればある程度硝酸イオンを除去できます。

ただpHを下げる効果はあまり無いので、定期的な水換えは必要です。

まとめ【毎日少しずつ水換えしてもそれなりに水はきれいになる】

今回は毎日少しずつ水換えした場合の硝酸塩濃度の変化を計算してみました。

理論上は少量の水換えをしても硝酸塩濃度はある程度低く維持できそうですね。

ただやはり実際にやってみると色々と細かい問題は起きてくるので、その都度対応するのが必要でしょう。

pHだけはコントロールが難しいので測った方がいいです