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今回は黒髭コケを食べる魚としてサイアミーズフライングフォックスという魚をご紹介するという内容になります。
黒髭コケ概要
アクアリウムを続けていくとほとんどの場合黒髭コケとの付き合いを考えなければいけません。
黒髭コケはこのようなコケです。
紅藻の仲間です。
以前当ブログでは黒髭コケに関する内容を扱いました。
この中で黒髭コケは窒素が多いほど、またリン酸が多いほど増えやすいという内容を書きました。
アクアリウムフードの主な原料は魚粉であり、その窒素・リン酸・カリウムの比は次のようになっています。ただし実際はフードに米ぬかなども入っているのでカリウムはゼロではないです。以下はあくまで構成比の傾向となります。
魚粉(魚粉/魚粕/フィッシュミール) N:P:K(窒素/リン/カリ) 5〜9:5〜15:0
HORTI, 「魚粉や骨粉、油かすの肥料効果まとめ!使い方や注意点は?」
またある水生植物(マコモ)の吸収する窒素とリン酸の割合は約4:1です。
吸収されたTINおよびPO4-Pの比は、生育時期によって変化したが、3.8~6.8の間にあることが明らかになった。
(3)小浜暁子、江成敬次郎、玉置智、中山正与, 「水生植物(マコモ)による窒素・リン吸収量の評価」, 日本水処理生物学会誌 第39巻 第2号 59-66 (2003).
つまり窒素の方が多く吸収されます。
するとフード中に窒素とリン酸が同程度含まれているため、水草が窒素を多めに吸収すれば当然リン酸が余ります。
リン酸が多いと黒髭コケが成長しやすくなるので、必然的に余ったリン酸をエサにして黒髭コケが増えます。
そして水草のリン酸吸収に頼っている限りリン酸が余り続けるので、黒髭コケを止める術がなくなります。
さらにガラス面ではなく、水草や流木に毛のように生えていくので、除去するのが非常に難しいコケとなっています。
黒髭コケ対策【2種類】
ここからは主な黒髭コケ対策として以下の二種類をご紹介します。
- 木酢液や食酢をスポイトで直接黒髭コケに吹きかけて赤く枯らした後、ヤマトヌマエビなどに食べてもらう
- サイアミーズフライングフォックスを水槽に投入して食べてもらう
木酢液や食酢で枯らしてからエビ類に食べてもらう方法
タイトルの通りなのですが、木酢液や食酢を黒髭コケにかけると枯れます。かけ方は主に二種類あります。
- 水槽の水位を下げて水面より上に黒髭コケを出して筆などで塗る
- 水中にスポイトを持って行って、直接吹きかける
水面から出す方法は黒髭コケの場所がわかりにくく塗りずらいので、スポイトを使って水中で吹きかける方法を推奨します。吹きかけてしばらくすると黒髭コケが枯れます。二日かかるとかではないので、一日経っても枯れない場合はもう一度念入りに吹きかけましょう。
またかけすぎると酢は酸性なので水槽のpHが下がります。たくさん酢を使った場合、念のためpHを測って、下がりすぎていたら水換えしましょう。
枯れた黒髭コケは赤くなり、この状態になるとヤマトヌマエビなどのエビ類が食べるので除去できます。
サイアミーズフライングフォックスに食べてもらう
サイアミーズフライングフォックスという魚は黒髭コケを食べます。
上の写真の白と黒の模様の魚がサイアミーズとなります。
注意点は以下となります。
- すぐ黒髭コケを食べる個体と数か月以上経ってから食べ始める個体が混在している
- 大きくなる(12cmくらい)ので水槽が窮屈になりがち
- 若干縄張りを主張するので他魚との相性が微妙にある場合がある
育った環境がエサの豊富な環境の場合、黒髭コケが食べられるものだ、という概念を持っていない場合があり、なかなか食べ始めない場合があります。
かといってエサを少なめにしても食べないときもあり、食べるかどうかは予測困難です。
しかし一度食べることを覚えると、きれいに水中の黒髭コケがなくなっていきます。水草の黒髭コケは手で除去するのは非常に大変なので、常にサイアミーズが食べてくれれば、水草の黒髭コケもきれいにしてくれます。
サイアミーズの導入は気長に食べるのを待つというのも重要な視点です。
また結構大きくなります。45cm水槽くらいだとかなり目立ちます。サイアミーズの他に目立たせたい魚と混泳する場合、混泳はせず後述する「サイアミーズだけの水草トリートメント水槽」を立ち上げるのも一つの手です。
そしてサイアミーズは結構縄張りを主張します。そのためコリドラスなどのおとなしい魚とは相性が悪い場合があります。混泳して追い掛け回されるようなら、後述する「サイアミーズだけの水草トリートメント水槽」を活用したほうが無難です。
サイアミーズだけの水草トリートメント水槽
やり方は簡単ですが、以下の注意点があります。
ソイルに水草を植えている場合はこの方法が使えない
ロタラなどのソイルに直接水草を植える水草の黒髭コケは今回の手法では対処できません。
ミクロソリウムなどの活着ができる陰性水草水槽などでのみ使える手法となります。
ソイルに植える水草の場合、木酢液などで枯らす方法をとりましょう。あるいは小さな植木鉢などに植えてそれをソイルに埋めるなどして、黒髭コケが付いてきたら「サイアミーズだけの水草トリートメント水槽」に植木鉢ごと移動させるという工夫もあり得ます。
さて、前置きが長くなりましたがやり方です。
- サイアミーズだけの水槽を立ち上げる
- 水中に置いてあるだけの水草、または石や流木に活着した水草をサイアミーズだけの水槽に移動させる
- サイアミーズが黒髭コケを食べてきれいになった水草を元の水槽に戻す
この方法で水草の黒髭コケはきれいになります。
他のガラスやフィルターの黒髭コケは歯ブラシでこするなどして落とします。
水草は歯ブラシでゴシゴシすると葉が切れるので磨けませんが、フィルターなどの人工物は硬さがあるので歯ブラシなどの道具が使えます。ゴシゴシ黒髭コケを落としましょう。ただし水槽のパッキンなどは優しく磨いてください、そうしないと水漏れの原因になります。
その他の黒髭コケ対策【上級者向け】
上記の方法以外にも黒髭コケ対策はあります。私が知っているのは以下の2つです。
- リン酸除去剤を使う
- RO水を使う
リン酸が多いから黒髭コケが発生するわけで、じゃあリン酸を除去してしまえばいいのではないか、という発想のもと行うのがリン酸除去剤です。
次にRO水。RO水はRO膜というものすごく細かいフィルターでろ過された水です。海水を淡水にするときなどにRO膜で塩分を除去したりします。ものすごくろ過されるので水中の栄養分がなくなります。栄養が無ければ黒髭コケが繫栄できません。
ただし上記二つのやり方は加減が難しく失敗の可能性もそれなりにありますし、コストもかかるので初心者にはおすすめできません。普通は木酢液やサイアミーズフライングフォックスで除去することになります。安易に手を出さないほうが無難です。きちんと管理できる上級者向けの方法となります。
追記:砂利の黒髭苔の除去でお困りなら埋めるという方法も
今回のサイアミーズトリートメント水槽の話では砂利の黒髭苔に効果が薄い場合があります。そういう時は黒髭苔を砂利に埋めるとうまくいく場合があります。
まとめ【黒髭コケにサイアミーズフライングフォックス】
今回は黒髭コケを食べる魚としてサイアミーズフライングフォックスをご紹介しました。
一度食べるスイッチが入ったら黒髭コケをよく食べてくれるので重宝します。
今回解説した方法で黒髭コケ対策をしてみてはいかかがでしょうか。
リン酸除去剤やRO水よりは簡単です