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今回はグッピーをエアレーション無しで飼う方法について解説します。
最近はボトルアクアリウムが流行してきていて、小さなガラス容器に水草を植えて少数の熱帯魚を飼育するという飼い方が広がりつつあります。
このような飼育スタイルを見て「グッピーをエアレーション無しで飼育したい」と考えるかもしれません。
結論を言えば「少数のグッピーを飼育するなら大丈夫」となります。
ここからはその理由を解説します。
エアレーションの大きな目的は「水中に酸素を供給すること」です。
酸素は水中で様々な役割を果たします。
夜間の水草の呼吸というのは、夜間は水草の光合成が止まるので、水草は呼吸が主体となって酸素の供給者から消費者に変わることを言います。
ろ過バクテリアは酸素を消費して活動するので、ろ過をちゃんとやろうと考えると酸素が必要になります。

こうした活動に酸素が絡んでくるので、エアレーションはこうした活動を促すためにも普通は必要なものです。
ではエアレーションしないと水中に酸素が供給されないのかといえばそうでもありません。
水中には水面と大気の境界面で酸素の供給が行われます。
ちょっと専門的な話になるので、読み飛ばして次の項目に移ってもかまいません。一応解説します。
まずエアレーションしない水面というのは静止流体なので、静止流体における水面の大気との酸素の移動を考えます。
この分野で有名なのが「表面更新説」という理論です。(P.V. Danckwerts; Ind. Eng. Chem., 43, 1460-1467 (1951))
この説によると静止流体の表面で起きる大気との酸素の授受は以下の式で表せます。(参考:杉原 裕司 山上 路生, 界面水理学における乱流とガス交換–実験とモデルの進展, ながれ 30(2011)181 - 193)
F=kL(CS-Cb)
\(k_{L}=\sqrt{Ds}\)
ここでFは気体のフラックス、要するに授受される酸素の量です。
kLが液相物質移動係数、CS、Cbはそれぞれ液相における溶存気体の界面濃度とバルク濃度です.要するに酸素を交換する部分の酸素の濃度差です。
濃度差はほとんど変わらないので、重要なのはkLとなります。
ここでDは液相での溶存気体の分子拡散係数、sは単位時間当たりに界面が更新される確率に相当し、表面更新率と呼びます。
Dも大して変動しないので、表面更新率sがどうやって決まるかが実質的なフラックスを決めます。
普通に考えて良く混合する水面なら更新は頻繁に起きてフラックスは増加します。逆に静止流体だと混合はほとんどないのでフラックスは減少します。
とはいえゼロではないので(完全に静止しているわけではない)のでいくらかはフラックスが存在します。
s→0のとき、すなわちほとんど表面の更新がない場合のkLは以下となるという説もあります。
rw→0のとき,kL=Dw/δw
竹原 幸生, 江藤 剛治, 水表面での気体輸送に関する研究の現状, 土木学会論文集/1993 巻 (1993) 461 号
ここでδwは静止膜の厚さ(濃度境界層)と呼ばれています。境膜説と呼ばれる理論です。要するにフラックスはゼロでは無いということです。
この状態がボトルアクアリウムの状態であり、やはり酸素供給の面で言えば弱いと言えます。
表面更新率に関してはレイノルズ数と傾斜角について検証した文献が存在します。
Eq. (11) を用い,かつ表面更新率S’を適当に仮定して,実測値Czの分布とのfittingを行って,求 めたS’の値 とReL数およびαとの関係について検討した結果をFig. 8に示した,本図から明らかなように,ReL数およびαが大 きくなると,S’が増大するという関係が得られ,次の実験式を得た.
\(S’=0.198\sqrt{Re_{L}}(\sin \alpha)^{0.53}\) (14)
またS’の値をDanckwertsが提案した表面更新率Sと比較するため,Eq.(8)を用いて概略的にSの値を算出した結果,S’≒2Sであった.
稲積 彦二, 川崎 順二郎, 鈴木 孝典, 渡部 真人, 花岡 宏明, 傾斜流下液膜における物質移動速度, 化学工学論文集/10 巻 (1984) 4 号
ReLは乱流レイノルズ数と呼ばれ以下の式で表せます。
ReL=\(\frac{\sqrt{\bar{u} ^{2}}L}{\nu}\)
\(\bar{u}\)が代表速度と呼ばれて要するに流体の速度です。Lは代表長さ、\(\nu\)が動粘度です。
流速が式に入っているので流れが無い静止流体はレイノルズ数が非常に小さいことがわかります。傾斜も水槽ではほぼゼロです。
つまり表面更新率が低いということになり、やはりフラックスは小さいと言えます。
以下の対策が有効です。
水槽に酸素が少ないならその酸素で収まる魚の数にするというのが最も現実的な解決方法です。
ではどのくらいならいいのかという話ですが、以下の雑誌に適正匹数が載っています。
参考:園原信也, ボトルアクアリウムバイブル (ブティック・ムックno.1799) ブティック社, 2024
「水量1Lにメダカサイズ1匹が目安」(ボトルアクアリウムバイブルより)
これは当サイトでメダカをエアレーション無しで飼育したいというときに考えた匹数と概ね一致します。

0.75[匹/L]というのが上の記事でエアレーション無しで飼育できるメダカの匹数の目安です。
1匹あたりの酸素消費量と風速6mの風が一日の1/3吹くという仮定から再曝気による酸素供給によって何匹メダカが飼えるのかというのを概算して求めました。

再曝気に関しては上の記事をご覧ください。要するに水面を撹拌したり流したりすることで水面を乱したり泡を混合したりして強制的に水中に酸素を送る現象です。この現象のほうが表面更新説よりもより多くの酸素が供給されます。
上の記事と雑誌には注意点があって、記事では一日の1/3に風速6mという結構強い風が吹いても0.75[匹/L]が限界ですし、雑誌でも水草を大量に植えてライトをつけることで日中に酸素が結構水中に発生しています。
つまり風も無い、水草も無いようなボトルアクアリウム、例えば石組み中心のボトルアクアリウムだとかなり心配な状況になるので注意してください。
水草を結構植えるという前提ならボトルアクアリウム用の水槽でおおよそ以下のような匹数となるでしょう。
「ジェックス GEX AQUARIUM グラスアクア ティアー-N」は水量約4Lなので、グッピーは2ペア、4匹程度飼育できるでしょう。
「GEX AQUARIUM グラスアクア ドロップ-N」は約2.2Lなのでグッピーならワンペア、2匹程度飼育できるでしょう。
「ジェックス GEX AQUARIUM グラスアクア スフィア-N」なら水量約4.5Lなのでグッピーなら2ペア、4匹程度飼育できるでしょう。
おすすめの水草や砂などは以降の章で解説するので参考にしてみてください。
水面が増えれば酸素が授受される面積が増えるので水槽へのトータルの供給酸素量が増えます。
例えば上のアクロ45フラットの場合、水槽の高さが無い割に横幅と奥行きが結構あるので、水面が多くなります。
高さがなければ水底に酸素の無い領域が少なくなって、少ない酸素供給でも行けるかもしれません。
一応22Lありますが、水中ポンプで強制的に水面に流れを作ったりしないなら、22匹も無理なので、5〜6匹くらい、グッピー的には3ペアくらいが限界だと思います。

上の記事で書きましたが、再曝気という現象で水面を揺らしたり乱したりすると水面から多くの酸素が供給されます。
つまり以下のような方法を用いることでエアレーションなしでも酸素を供給できます。
外掛けフィルターとか水中フィルターを使えば水面付近に流れが作れるので酸素を供給できます。
サイレントフレックスミニは高さが結構有るので横置き(商品サイトにやり方が掲載されています)したほうがいいかもしれません。
フィルターを利用するためには水槽本体が結構大きなモデルじゃないと使えないので、ボトルアクアリウムとの相性はあまりよくありませんが、ボトルアクアリウム用の水中ポンプで水面を揺らすモデルも存在します。
カスタムウェーブミニなら曲面水槽は厳しいですが、四角い水槽なら水面付近に流れを作ってやれば酸欠をある程度防止できるでしょう。
20cmキューブ水槽なら7L程度入るので、グッピーなら3ペア6匹くらい飼育できるでしょう。
もう少し余裕を持たせたいなら25cmキューブ水槽なら約14L水が入るので、魚と水草に余裕が生まれます。
水草とグッピーを共生させるのがボトルアクアリウムの醍醐味です。
基本的にボトルアクアリウムはCO2の添加量が少ないので、CO2を多量に消費するいわゆる「水草水槽」向けの水草は相性が良くない場合があります。
初心者向けで光さえ与えておけばそれなりに育つパールグラスやロタラあたりから始めるといいかもしれません。
ボトルアクアリウムにおける注意点は以下となります。
導入初期は水草が根付かないので思ったほど光合成しません。
そのため頻繁に水換えして、新しい水に含まれる酸素を頼りに生体が酸欠にならないようにします。またろ過ができていないのでアンモニウムイオンの強制排出という意味もあります。

それ以降の時期だと水草が光合成をするので、何もしないよりは酸素が豊富にある状態になります。ボトルアクアでは特にエアレーションなしでも生体が維持できている報告が多いので、おそらく大丈夫だとは思います。
生物ろ過も完成してくるので、アンモニウムイオンの強制排出も必要なくなってくるので水換え頻度を伸ばします。
なお生物ろ過そのものの解説は以下で詳細に行っているので参考にしてみてください。

ちなみにCO2の添加は水換えのときの新しい水に含まれるCO2を利用することになります。
水換えしたときの新しい水にはカルキ抜きを忘れずに。エーハイムのカルキ抜きはエラ保護成分入で高級ですが安心感のあるカルキ抜きです。我が家でも使っています。
ただできるなら夜間も何らかの酸素供給をしたほうが安定はします。
水草は夜間は光合成を止めて呼吸主体の活動になるので、酸素を多く消費します。すると夜間の酸欠というリスクが高まってしまいます。
なので、できれば水中ポンプで水面を揺らすとか、フィルターの吐き出し水を水面に流すとか、エアレーションするとかしてあげたほうが安心ではあります。
またライトで強制的に光を与えないと水草は十分な光合成を行いません。
リーフグローNは上でご紹介したグラスアクアシリーズの水槽に使えるボトルアクア用の照明です。高さ30cmまでの水槽に使えるので、25cmキューブ水槽とかにも使えると思います。
一般に硅砂が使われます。ボトルアクア用の製品が売っているのでそれを利用すればいいでしょう。以下の水草を育てる砂の場合、GEXのグラスアクアくらいはいけますが、25cmキューブ水槽くらいになるとこれだと足りないです。
水草は3cm程度は植えるための砂の厚みが必要なので、25cmキューブ水槽だと2Lくらいは必要です。大磯砂を参考に0.6L/kgと仮定して3.3kg程度必要です。
25cmキューブ水槽なら以下の硅砂がおすすめです。
注意点としてはソイルのように栄養が含まれていないので、魚のエサを頼りに水草を育成することになる点。

上の記事でやりましたが、魚のエサにはカリウムがあまり含まれていないので、これが不足して水草の成長阻害要因になる場合があります。
トロピカの茶液は窒素とリン酸というエサから供給される栄養素以外の栄養素をまんべんなく含んだ液肥です。おまじない程度に水槽に入れておくと水草がより元気になると思います。

グッピーにはヒーター必須です。
13℃までいける可能性がありますが、それだと繁殖しません。繁殖するには24℃程度必要です。
ボトルアクア用のヒーター(GEX ボトムヒーター20)が売っているのでそれを利用して24℃以上を確保してください。グラスアクアシリーズの水槽に使えます。
20cmキューブ、25cmキューブ水槽なら普通に熱帯魚用のオートヒーターを利用します。
SH55なら18Lまで使えるので25cmキューブ水槽でも使えます。
水温計は以下の浮く水温計なんかがいいんじゃないでしょうか。
また夏は水温が上がり過ぎるので何らかの方法で冷却が必要です。

室温30℃くらいまでなら冷却ファン、それ以上だと水槽用クーラーは水槽が小さすぎて使えないので、人間用のエアコンで部屋ごと冷やす必要があります。
ボトルアクアだと水槽が小さすぎて凍らせたペットボトルだと水温が下がりすぎるのでやめたほうがいいでしょう。
グッピーの飼育そのものにもそれなりにテクニックが必要です。一般的な熱帯魚の飼育方法で飼えますが、pHは中性から弱アルカリという違いがあるし、繁殖させて楽しむ魚なので繁殖用の知識も必要です。
当サイトではグッピーの飼育に関して色々と書いてきたので、そちらもご覧いただけますと幸いに存じます。






あまりボトルアクアの伝統的なスタイルにこだわらないならエアレーションしちゃったほうが水槽は間違いなく安定します。
もしエアレーションの音や気泡に抵抗が無いなら普通にエアレーションしちゃっていいです。
以下おすすめのエアーポンプとエアストーンです。静音性が高いという点で水心、細かい泡が出るという点でいぶきをチョイスしました。
ボトルアクアだとエアーポンプは水槽の横に置くでしょうから、逆流防止弁があると安心です。エアーポンプが水面より下にある場合は必須パーツです。大気圧とかの関係で水槽からエアーポンプに飼育水が逆流するのを防ぎます。
基本的に通販で品質が安定しているcharm系列のオンラインショップで購入すると失敗が少ないです。
国産グッピーなら日本の水質に適合したグッピーなので比較的水質で失敗しにくいです。
グッピーをエアレーション無しで飼う方法について解説しました。
主にボトルアクア中心に解説しました。これは大水槽でエアレーションなしでグッピーを飼育するシチュエーションが稀だからです。
比較的小さい水槽で自然に近い環境でグッピーを飼いたいという需要はボトルアクアがピッタリです。
エアレーションしないことで不便な点もありますが、きれいなボトルアクアが作れたらインテリアに合うきれいな水槽が作れます。
もしやってみたい場合に今回の記事が何かのお役に立ちましたら幸いに存じます。



酸素と適正匹数に特に注意が必要です