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はじめに
今回は初心者向けにアクアリウムの水質に関する話をしていきます。
魚を飼ったことがない方は
「週一回水換えをしましょう」
と言われても何故この作業をする必要があるのかわからないという方もいるかもしれません。
適切に水質を管理すれば、魚が元気に暮らせるだけでなく、コケの発生が抑制できるメリットもあるので、この機会に基本的なことを押さえましょう。
ちなみに今回は淡水魚の熱帯魚を対象に基本的なことを述べます。
金魚やメダカなら応用できますが、海水魚は別の理論で運営することになるので海水魚の飼育に関しては使えない話となるのでご承知おきください。
水換えの仕方
まず水換えの仕方を確認しましょう。
使うのはバケツ、クリーナーポンプ、スクレイバー、歯ブラシです。
スクレイパーでガラス面のコケを落とします。
次に歯ブラシで細かい部分やガラスの接合部の汚れを落とします。
そしてクリーナーポンプを水槽に入れて、シュポシュポすると水がバケツに落ちます。
バケツは水槽の水面より下にセットしてください。
サイフォンの原理と言って、クリーナーポンプの吐き出し口が水槽水面より低いとき、そこに流路があると水は勝手に流れ続けます。
シュポシュポし続けなくていいので楽ですね。
砂利や砂系の低床のときは砂掃除もしましょう。
このようにクリーナーポンプの水流を最小にすれば砂をいい感じに吸い上げてくれ、バケツに流れない絶妙な流量にできます。
流量調整できるクリーナーポンプですが、私はこちらを使っています。
砂掃除ができたら流量を最大に戻して、魚を吸い込まないようにしつつ、水をバケツに吸い出します。
だいたい水槽水量の1/3くらいが排出出来たら、排出水を捨てて、新しい水を同じだけ足します。新しい水は28℃程度に給湯器で温めてください。熱すぎたら適宜冷たい水道水で調整します。
カルキ抜きを忘れずに。
調理用カップがあると注ぎやすいので便利です。600mlくらいのものがちょうどいいです。
カルキ抜きを入れる習慣を持とう
水槽に入れる水には必ずカルキ抜き(塩素中和剤)を入れましょう。
これは水道水に塩素が含まれているからで、塩素は魚にとって有害なのです。
水道水の塩素は水道水の殺菌を目的として投入されていて、人間には安全な濃度なのですが、魚にとって安全な濃度ではないのです。
これを魚にとって無害なレベルまで中和するのがカルキ抜きの役目です。
塩素が有毒な理由
少し掘り下げてみます。
次の文献(1)での残留塩素のLC50(半数致死濃度)は次のようになっています。
表1.半連続試験での各時間各生物のLC50結果一覧
各時間のLC50(mg/l) | |||||
4hr | 8hr | 12hr | 24hr | 48hr | |
めだか | <1.5 | 0.7 | 0.7 | 0.6 | 0.6 |
金魚 | <3 | 2.5 | 2.2 | 1.2 | 0.45 |
虹鱒 | 1.05 | 0.65 | 0.32 | 0.3 | 0.22 |
やまめ | 1 | 0.7 | 0.31 | 0.23 | 0.17 |
モノアラ貝 | 0.9 |
参考(1):青井 透, 淡水魚に対する残留塩素の連続通水による毒性試験, 衛生工学シンポジウム論文集, 6, 71-76, 1998.
残留塩素がある濃度以上になると魚類は死亡してしまうことがわかります。
また次の文献(2)には残留塩素が魚類の鰓(エラ)に影響を与えると記述されています。
以上のように残留塩素は0.3mg/lあるいは0.5mg/lという低濃度で5分間曝露しただけでも, コイの鰓に形態変化を起こし, 呼吸量を低下させることが解った。
参考(2) 齋藤治子,水尾寛己(1988):残留塩素のコイの鰓呼吸に及ぼす影響,横浜市公害研究所報,12,145-146.
つまり残留塩素は魚の鰓に作用し、呼吸困難にする作用があります。
残留塩素の影響は鰓への害だけではないでしょうけど、塩素がある濃度以上だと魚に有毒ということはおわかりだと思います。
おすすめのカルキ抜き
こちらが我が家で使っているカルキ抜きです。
これはらんちゅうを購入するときアクアショップの店員さんにおすすめされたカルキ抜きで、エラ保護成分が入っていてらんちゅうにいいらしいです。
実際我が家でらんちゅうに使っていますけど、異常はないですね。
らんちゅうは金魚の中でも特に飼育が難しいと言われており、そのらんちゅうで問題がないなら大抵の魚は大丈夫でしょう。
我が家の他の金魚、熱帯魚すべてにこのカルキ抜きを使用していますけど、問題は起きていません。
エラ保護成分をカルキ抜きに入れてくるあたり、メーカーは当然塩素のエラへの害を知っているんでしょうね。
カルキ抜きは使用量を守りましょう
ちなみにカルキ抜きはドバドバと目分量で大量に入れずにちゃんと使用量を守りましょう。
例えば上のエーハイムのカルキ抜きだと水槽20lで約4mg(キャップ約1/4杯)とあるので、10lのバケツ1杯だと約2mg(キャップ約1/8杯)ということがわかります。
結構使用量は少ないです。入れすぎても効果がものすごく上昇するわけでもなく、カルキ抜きの無駄遣いになるので、用量を守ったほうが経済的です。
我が家では10lだとちょうど45cm水槽の一回の水換え量くらいに相当しますね。
水槽の容量は体積の求め方で計算してください。
目安として水槽の全水量は
30cmキューブ水槽で約27l、
45cm規格水槽で約36l、
60cm規格水槽で約65l
くらいです。
この値は単純に立方体の体積を求めているだけなので、実際の水槽の水量はもう少し少なくなります。
計算するときはバケツに入った水量で計算してもいいですね。
水換えのときの水は温かい水を入れましょう
熱帯魚の水槽にはヒーターが入っています。
冷たい水を入れたらヒーターが温めてくれるから、水換えのときの水は水道水そのままの冷たい水を入れてもいい、と考えたくなりますが、生体に悪い影響があるのでやめましょう。
ちゃんと給湯器で28℃程度に温めた水(ぬるいお湯)を入れるようにしてください。
というのも熱帯魚は寒さに弱く、いきなり水温が下がるとショックで病気になったり、最悪死んでしまったりします。
熱すぎ(お風呂のお湯くらい)でも当然ダメなのですが、冷たすぎも良くないです。
買ってきた熱帯魚を「水合わせ」しましょうというのもこの理由です。
水温の急変を避けて、熱帯魚への温度ストレスを減らすことが必要です。
水換えのときはちゃんと温度を水槽の水温に合わせてから注ぐようにしましょう。
水温に関してはこちらもご覧ください。
水換えをする理由
塩素の中和は必要ですけど、そもそもなぜ水換えをするのかということには回答していませんでした。
ここからは水換えが必要な理由について書いていきます。
簡単に言うとエサがろ過されるとpHが下がっていきます。
pHが下がりすぎると魚は生活できなくなります。
だから水換えをしてpHが下がりすぎた飼育水を排出して、pHが中性の水道水を入れて飼育水を薄めて、pHも中性に近づけるのです。
他には硝酸イオンやリン酸の排出という目的もありますね。
水槽に水を入れ、フィルターを回すとろ過が行われ始めます。
ろ過の種類
ろ過には
物理ろ過
生物ろ過
化学ろ過
の3種類があります。
物理ろ過はフィルターのろ材で水中の細かなゴミを引っ掛けて、水中の浮遊物を除去してきれいにするろ過です。
化学ろ過はゼオライトや活性炭などのろ材に水中の有害物質を吸着させて、ろ材が吸着量の上限に達したら交換するろ過です。
水槽の黄ばみなど物理ろ過で取り除けない細かな(というより水中に溶け込んだ)汚れをきれいにすることができます。
生物ろ過はろ材に住み着いたバクテリアが水中の有機物を分解して無害にするろ過です。
基本は物理ろ過と生物ろ過で十分です。黄ばみが気になるというときにろ材に吸着ろ過用のろ材を足すくらいでいいでしょう。
ろ材の種類についてですが、物理ろ過ならウールマット、生物ろ過なら多孔質リングやセラミックボールなどが有名ですね。ただしろ材を自由に組み合わせるのは上部式ろ過や外部式ろ過の場合だけで、大抵はろ過器専用のろ材を定期的に飼育水で洗いながら使えば物理・生物ろ過は十分行われます。ロカボーイや外かけ式フィルターなんかも純正のろ材を使えばOKです。
ろ過器に関してはこちらもご覧ください。
生物ろ過
生物ろ過は特に重要なので詳しく述べます。
と言っても詳細は次の記事にまとめてあるので、そちらをご覧ください。
簡単に説明すると、水槽のエサは色々な分解作用を経てアンモニウムイオンになります。
アンモニウムイオンは有害なので水槽に大量にあるとまずいです。
アンモニウムイオンは亜硝酸菌・硝酸菌という二種類の菌によって分解され、硝酸イオンになります。硝酸イオンなら大量になければ魚は水中で生活できます。
この作用を硝化といい、硝化を行うのが生物ろ過です。
硝化はフィルターのろ材に住み着いた亜硝酸菌と硝酸菌が行います。
しかしこの二つの菌は増えるまで時間がかかるので、初めて水槽をセットした状態のろ材には十分な数がいません。
そのため水槽をセットするときはできれば3週間くらいパイロットフィッシュを水槽で飼育して、少なめにエサを与えつつ、二つの菌を十分な量になるまで増やしましょう。
パイロットフィッシュとは赤ヒレなどの水質の悪化に強い魚のことで、二つの菌が十分増えたら、パイロットフィッシュを別水槽に戻して、本命の魚を入れます。
エサを与え続けるとpHが下がる
エサを与えているとpHが下がります。
これは次の記事で解説しました。
だいたいpH=4くらいまで下がります。
pH=4だと魚は生活できません。
そのため水換えによってpHが低い飼育水を排出して、pHが中性くらいの水道水で薄めて、pHを中性に近づけるということが必要なのです。
硝酸イオンの排出という意味もある
生物ろ過で生じた硝酸イオンは大量にあると毒性が出てきます。
そして通常の水槽では硝酸イオンは分解されず水中に蓄積していくばかりとなります。
これを水換えによって排出して、硝酸イオンが無い水道水で薄めて、硝酸イオン濃度を下げるのです。
水換えはコケ予防にもなる
水換えは水中の硝酸イオンやリン酸を減らすという効果があります。
エサには窒素とリンが含まれているので、これが魚のフンや尿として水中に排出されます。
水草がある程度成長に使いますが、使いきれないので、最終的にコケのエサになります。
すると水槽にコケが広がり景観を損ないます。
水換えをすることで硝酸イオンとリン酸の濃度が高い水を排出し、濃度を下げることができます。
するとコケの栄養が減るので、コケの発生を減少させることができるのです。
なぜ水槽水量の1/3を換えるのか
生物ろ過で取り上げたバクテリア(亜硝酸菌や硝酸菌など)は飼育水の中に結構います。
このとき水槽の全水量を水換えしてしまうと、バクテリアがごっそりなくなってしまい、ろ過力が低下します。
するとアンモニウムイオンが分解されなくなるので、魚に良くないわけです。
そのためバクテリアをある程度維持しつつ、水槽に新しい水を入れるということが必要で、その目安が経験的に水槽の全水量の1/3と言われています。
もちろん水槽に濁りや変色(グリーンウォーターなど)が起きれば、いつもより多めに、高頻度に水換えをするということが必要です。
ただ、通常の問題が起きていない水槽では1/3を週一回くらい水換えすればいいですね。
我が家はその方針で水槽を維持できています。
まとめ
今回は水槽の水質管理に関して、水換えをメインにその効能や基本的な考え方を述べました。
週一回1/3くらいの水換えをちゃんとやりましょう。